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キーンランドC

  • 2007年08月27日(月) 12時50分
 サマースプリントシリーズの第4戦。ここまで「夏の牝馬」の活躍がことのほか目立っていたが、ここも牝馬クーヴェルチュールとアグネスラズベリの決着だった。この新設重賞は第1回の昨年もチアフルスマイル=シーイズトウショウ。牝馬同士の組み合わせだったから、早くも典型的な牝馬向きスプリント戦のパターンが成立しつつある。

 勝った3歳クーヴェルチュールは、ほぼ平坦に近い福島の芝1200mはパーフェクトの1、1、1着。そして平坦の札幌芝1200mもこれで1、10、1着。とはいえ、10着は1位入線の降着なので、限りなく中身は3戦3勝に近い。フラットコースの1200mこそベストのスプリンター誕生といえる。

 しかし、この秋のスプリンターズS(9月30日)は、海外勢の特にオーストラリア組の遠征はインフルエンザ騒動で実現しない可能性が大きく、また、スプリント界にGI級が少ないこと。さらにはオーバーホール中の有力候補のトレセン帰厩が遅れる危険大であることから、クーヴェルチュールは一躍有力候補にまで浮上したともいえる。重馬場で内枠の不利があったアイビスサマーDも差は0.1秒だけ。非力なようにみせて大幅にパワーアップしているのだろう。

 アグネスラズベリは短距離に戻って大正解。今回はレース全体が(33.9秒=34.7秒)という先行脚質の馬向きだったことを考えると、負けたとはいえその中身は濃い。シリーズポイントは目下トップの15点。残る1戦が地元の「セントウルS」というのもこの馬に有利だろう。すっかり立ち直った角田騎手は、ジョッキーシリーズのポイントはほぼ当確にも近い25点で断然トップ。チャンピオンの座が見えてきた。

 3着ワイルドシャウトと、4着ブラックバースピンは、前回の函館スプリントSの内容から今回の好走は当然。もっとパンチアップの逆転まであるかと思えたが、差は小さかったとはいえ牝馬2頭に完敗だった。ともにまだ上昇必至でも案外?の感はぬぐえない。

 この路線に戻った形のローレルゲレイロが、スプリント界にはエース格がいないこともあって期待をあわせての1番人気。たちまち二の脚がついて好位のイン追走になったあたりまで期待通りだったが、オーバーホールには成功したものの当日の馬体の張りもう一歩。まだ仕上がり途上だったかもしれない。1600m以下で凡走したのは初めて。次走、もう一度この路線のセントウルSあたりに出走してくるようなら再注目したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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