スローで楽に追走できたとはいえ、日本ダービーを脅威の上がり33.0秒で独走したウオッカの能力は文句なし。この組み合わせではレーティングで2番手のダイワスカーレットを6ポイントも上回っている。遠征断念の不安はほとんどなく、すっきりしすぎるぐらいに仕上がり、外枠でかかりさえしなければ…だろう。対するダイワスカーレットは、桜花賞でウオッカに完勝している強みに加え、秋のステップもきわめて順調に踏み出した。ローズSはあえて目標になるペースメーカーの形をとり、楽々と振り切っている。
この2頭を倒したり割って入るのは非常に難しいが、秋を迎えたベッラレイアにはその可能性が十分あると考えたい。まず、春は除外の連続でずっと予定のステップレースを使えず、一戦ごとに体つきに余裕がなくなり、オークスはギリギリの444kgだった。それに比べると、オーバーホール完了の今季の体つきはまさに一変。戻っただけでなく、ふっくら見せるほど柔らかくなっている。鍛えて男馬のようにも映るウオッカ、ダイワスカーレットとは手法の異なる体づくりだが、秋華賞を狙う牝馬としてはまったく不安はない。
ローズSは好位のインでスカーレットを見ながら追走。0.1秒及ばず、上がり33.2秒で差を詰めたベッラレイアもまだ必死ではなかった。武豊騎手に手替わりしての初戦、少し早めに動いても大丈夫か? 馬群は平気か? どのくらいの脚を使えるか? ステップレースのテーマは確実にクリアしている。流れひとつで十分逆転可能に思えた。
京都内回り2000mに対する自在性、どこからでもスパートできる器用さ。この視点ではスカーレット、ウオッカより、むしろベッラレイア=武豊騎手の方が上回っているとも思える。
もうひとつは父ナリタトップロードを筆頭に、その父サッカーボーイの血を引く馬はみんな秋に一気に本物になること。ヒシミラクル、ティコティコタック…など。ベッラレイアもそういう特徴を受け継いでいる可能性がかなりある。
ウオッカ、ダイワスカーレットを秋に逆転の可能性にかけたい。人気は片寄る秋華賞で、たしかに力関係はそうなのだが、大波乱があるならこういう年。行く一手のヒシアスペンや、同じく3連勝で思われているより能力のあるタガノプルミエール、なぜか急に人気落ちのミンティエアーなど、伏兵にも手を広げたい。