同じ長距離戦でも、一番紛れのなさそうな東京コースの長距離レースがもっとも荒れることになっている。ごまかしは利かない。また、ほかのコースよりペース(流れ)の占める割合は大きくない。だからこそ逆に、普段はあまり前面に出てこないスタミナ能力や底力が引き出されることになり、それはいつもの1600m〜2000mとはかなり異なる力関係をもたらすことを示している。このレースは、1984年からハンデ戦になったが、トップハンデ馬は28回中たった2勝だけ。またこの10年に限ると、連対馬20頭のうち、約半分の9頭までが7番人気以下の伏兵馬によって占められている。
上がり馬を狙っていい。10月6日のオクトーバーSは1600万の条件戦だが、早め早めに動く馬が多かったため2400m2分23秒6の大接戦。時計以上にハイレベルだった。
そこで0.1秒差3着のカゼノコウテイ(父テイエムオペラオー)と、ゴール寸前きわどく差し切ったリキアイサイレンスは今回ともに52kgの軽ハンデ。直前に東京コースで好走したのだから狙う根拠はある。迷ったが、6歳リキアイサイレンスが中心。6歳秋のいま初めて重賞挑戦の地味な叩き上げ型だが、ここへきて体つきが鋭く、いかにもステイヤーらしく変わってきた。気難しいタイプだからなのか、なぜか後藤騎手とだけ絶好な相性の良さを示し、11戦[4-4-1-2]。すべて掲示板に載り、かつ連対8回はすべて2000m以上である。
サンデーサイレンス産駒でも、牝系は近くに活躍馬がいないから地味なように映るが、アルマームードから広がる名門中の名門で、この馬の場合は4代母がコスマー。コスマーはヘイローの母だから、ヘイロー同士が関係してのクロスではなく、直系子孫としてコスマーの血を3×4で持つことになる。
リキアイサイレンスは2500mにも2分31秒5があり、長距離での時計の裏づけは人気馬にも一歩も譲らない。スローとみれば早めに自分で動ける自在性もある。