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朝日杯FS

  • 2007年12月10日(月) 13時00分
 抽選をくぐり抜け、8頭の中から1頭だけ出走できたゴスホークケンの鮮やかな逃げ圧勝だった。さらに1番枠を引き当てたこと、球節に不安がある時に幸運にもニューポリトラックの調教コース開場で調整がうまくいったことなど、さまざまな要素をすべて味方にしたから運の強い馬だ。そのうえ、自身の好スタートとともに内枠の伏兵もみんな好スタートから先行して粘り、結果として上位入線は内枠の馬ばかり。外枠の有力馬は壊滅という中山1600mのコースの特質までプラス要素に引き入れてしまった。

 しかし、1分33秒5の勝ち時計は04年マイネルレコルトの持つレースレコードと0.1秒差の好時計。ただ逃げ切ったというのではなく、ゴール寸前も少しもラップは落ちずに後続を突き放しているから立派。「46.3−47.2秒」の前後半は、前半が速く流れがちな中山のマイル戦とすると典型的な一定の平均ペースの数字。ワンペース型が多いストームキャット系産駒のもっともいいところが全面的に爆発したといえるが、上がり3Fは35.2秒。勝ったこの馬が最速で、追い詰めてきた馬はいないのだから今後のマイル路線でも強気になれる。また、こういうスピード型がいると、来季のマイル路線のレースは見どころがふえる。

 ゴスホークケンの快勝ぶりだけが目立って、これを追い詰めた馬がいないのは物足りないが、みんなキャリアの浅い2歳馬同士。負けるときに完敗になるのは、前回のゴスホークケンもそうだったのだから仕方がないのだろう。キャプテントゥーレは最初から勝ち馬をマークする位置にいたことを考えると、もう少し伸びて欲しかった。体つきに非力感はなくなっているが、全体にはパワーもう一歩か。レッツゴーキリシマはしぶとい粘り腰が持ち味。地味でもまず大崩れしないから立派なものだ。4着ドリームシグナルは上がり3Fは35.4秒にとどまるもののゴール寸前のストライドはこの馬が一番シャープだった。まだまだ変わってくる。

 人気のスズジュピターは、当日の気配も満点に近く、負けるのはともかくもう少し中身のある競馬ができると思えたが、1.2秒も差のある5着では完敗。好スタートで2角を回るまでは好位置にいたが、しだいに下がって4角では通過順の取り方にもよるが後方3〜4番手あたり。GI級の人気の中心馬にしてはちょっと消極的だったかという気がしないでもないが、まだ底をみせたとも思えず次走の巻き返しに期待したい。

 アポロドルチェは、外枠からずっと外を回らざるを得ない展開。当日の気配も京王杯2歳Sと比べるともう一歩の感もあり、使い出して4戦目。ちょうど目にみえない疲れが出る時期だったのかもしれない。ヤマニンキングリーは1800mを4戦連続したあとの1600mで、まして先行型の大半が残る展開では不発も仕方がない。中京2歳Sか、ラジオNIKKEI杯の方が適鞍だったかもしれない。

 勝ったゴスホークケンだけがうまくツボにはまってあふれるスピード能力を爆発させ、ほかは展開とか流れに敗因を求めたくなるような結果だったが、それにしても見せ場も作れない馬が多かったのは、GI格のレースだけにちょっと物足りない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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