競輪
有馬記念
- 2007年12月24日(月) 13時00分
数あるビッグレースの中で、中山2500mこそもっとも難しい距離とコ―スであることは知れ渡っている。そのうえ有馬記念の設定は、さまざまな路線を歩んできたエース格をみんな集めてしまう年末最後のグランプリ。最大のチャンピオンシップではあっても、一方で、どんな結末が用意されていても不思議ではないオールスター戦であることも知られている。それが12月の最終日、もう後のないビッグレースとして行われるのだから、圧倒的な売り上げを誇るのは当然。さまざまな要素があふれすぎているレースでもある。したがって、歴史はいつも予想外、想定外の波乱を許してきた。今年、また新しい大波乱のページが加わった。
といって快走した馬の評価が低くなるものではない。勝ったマツリダゴッホは同じ中山2500mの日経賞で3着にとどまった当時より、明らかに、それも一変のパワーアップだった。その当時が480kg。それが今回は498�圈�ただ大きくなったというだけでなくスタミナも強化されていた。サンデーサイレンス最後の世代、母はナリタトップロードの半姉。メンバーが揃いすぎていたため人気の圏外に置かれたが、やっといま本格化してきたのだと今後にも大きく期待していいだろう。間をあけたローテーションで突然の変身が大きすぎたのだけれど…。
前半の1200m通過が1分13秒8。後半のそれが1分13秒2。ゆったり流れたのは確かでも馬場状態からして決して興ざめのスローでもない。先行して一度は先頭に立って頑張り通した3歳牝馬ダイワスカーレットも素晴らしい。まだ兄のダイワメジャーの方が総合力で一枚上かとも思えたが、マツリダゴッホとともに自分からスパートして粘りこんだのだから、たぶん、ライバルのウオッカに差をつけ、これで最優秀3歳牝馬の座は確定しただろう。3着ダイワメジャーもほぼ能力は出し切った。崩れた人気馬が多い中にあってチャンピオンらしい存在感を引退レースでも十分に示した。
凡走の原因が難しいのは1番人気で8着に沈んだメイショウサムソン。追い切りの動きなど決して悪くなく陣営も自信を示していたが、当日のパドックは落ち着きというより、あまりに元気がなく体全体が小さく映った。輝いて見えるライバルと比べくすんでいた。おそらく先行策を考えていたと思われるが、1番枠の利を生かすどころか最初から流れに乗れず、向こう正面ではウオッカを追走するような位置どり。まったく競馬にならなかった。前回、ジャパンCの負け方も決してコースどりだけではなかったが、ひょっとしてこの馬、寒い時期はまったくダメなのかもしれない。
期待したポップロックは満点に近いデキ、これまで以上にバネさえ感じさせる動きをみせていた。中団より前からペリエ騎手も早め早めにスパートしようとしたが、ここ2戦と比べ反応が悪すぎた。余力十分とみえたが、この秋4戦目、有馬記念の有力馬にもっとも多いピークすぎの1頭だったのだろう。そんなにタフではなかった。
ロックドゥカンブは負けたとはいえ素晴らしい体になってきた。もう南半球生まれの半年遅れの幼さなどない。流れに乗れていたなら勝ち負けできていたかもしれない。M.キネーン騎手はそれは世界を代表するトップジョッキーだが、いきなり中山の2500mに対応できるほどの天才型でもない。世界遠征を展望するときに意味のある乗り替わりではあったが、今回に限ればマイナスの方が大きすぎた。このキネーン騎手を含めて外国人騎手が4人。みんな世界のトップ騎手だから、レースのレベルを上げて新しい国際競走に育てるためには歓迎すべきことかとも思うが、どうも変…という声も大きい。
ウオッカはダービーのあと、ダービー馬ゆえに受け入れなければならない苦しい立場もあって、完全に自分を失っている。ダービーを中心の一連のレース内容からして、中山の2500mなどもっともウオッカに合わないレースだろう。ダービーのあと凱旋門賞を展望した。そこまではいいが、そのあとは全面的にリズムが狂い、ツキにまで見放されている。もう流れを変えなければならない。レース選択はどのみち挑戦の連続ではあるが、オーナー中心の陣営の展望と、天才ウオッカは完全にかみ合わなくなっている。
といって快走した馬の評価が低くなるものではない。勝ったマツリダゴッホは同じ中山2500mの日経賞で3着にとどまった当時より、明らかに、それも一変のパワーアップだった。その当時が480kg。それが今回は498�圈�ただ大きくなったというだけでなくスタミナも強化されていた。サンデーサイレンス最後の世代、母はナリタトップロードの半姉。メンバーが揃いすぎていたため人気の圏外に置かれたが、やっといま本格化してきたのだと今後にも大きく期待していいだろう。間をあけたローテーションで突然の変身が大きすぎたのだけれど…。
前半の1200m通過が1分13秒8。後半のそれが1分13秒2。ゆったり流れたのは確かでも馬場状態からして決して興ざめのスローでもない。先行して一度は先頭に立って頑張り通した3歳牝馬ダイワスカーレットも素晴らしい。まだ兄のダイワメジャーの方が総合力で一枚上かとも思えたが、マツリダゴッホとともに自分からスパートして粘りこんだのだから、たぶん、ライバルのウオッカに差をつけ、これで最優秀3歳牝馬の座は確定しただろう。3着ダイワメジャーもほぼ能力は出し切った。崩れた人気馬が多い中にあってチャンピオンらしい存在感を引退レースでも十分に示した。
凡走の原因が難しいのは1番人気で8着に沈んだメイショウサムソン。追い切りの動きなど決して悪くなく陣営も自信を示していたが、当日のパドックは落ち着きというより、あまりに元気がなく体全体が小さく映った。輝いて見えるライバルと比べくすんでいた。おそらく先行策を考えていたと思われるが、1番枠の利を生かすどころか最初から流れに乗れず、向こう正面ではウオッカを追走するような位置どり。まったく競馬にならなかった。前回、ジャパンCの負け方も決してコースどりだけではなかったが、ひょっとしてこの馬、寒い時期はまったくダメなのかもしれない。
期待したポップロックは満点に近いデキ、これまで以上にバネさえ感じさせる動きをみせていた。中団より前からペリエ騎手も早め早めにスパートしようとしたが、ここ2戦と比べ反応が悪すぎた。余力十分とみえたが、この秋4戦目、有馬記念の有力馬にもっとも多いピークすぎの1頭だったのだろう。そんなにタフではなかった。
ロックドゥカンブは負けたとはいえ素晴らしい体になってきた。もう南半球生まれの半年遅れの幼さなどない。流れに乗れていたなら勝ち負けできていたかもしれない。M.キネーン騎手はそれは世界を代表するトップジョッキーだが、いきなり中山の2500mに対応できるほどの天才型でもない。世界遠征を展望するときに意味のある乗り替わりではあったが、今回に限ればマイナスの方が大きすぎた。このキネーン騎手を含めて外国人騎手が4人。みんな世界のトップ騎手だから、レースのレベルを上げて新しい国際競走に育てるためには歓迎すべきことかとも思うが、どうも変…という声も大きい。
ウオッカはダービーのあと、ダービー馬ゆえに受け入れなければならない苦しい立場もあって、完全に自分を失っている。ダービーを中心の一連のレース内容からして、中山の2500mなどもっともウオッカに合わないレースだろう。ダービーのあと凱旋門賞を展望した。そこまではいいが、そのあとは全面的にリズムが狂い、ツキにまで見放されている。もう流れを変えなければならない。レース選択はどのみち挑戦の連続ではあるが、オーナー中心の陣営の展望と、天才ウオッカは完全にかみ合わなくなっている。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
