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中山金杯

  • 2008年01月07日(月) 13時00分
 6歳アドマイヤフジ(父アドマイヤベガ)が力強く抜け出し、4歳1月の日経新春杯以来、ちょうど2年ぶりの勝ち星を記録。ようやく復活してみせた。

 骨折のため4歳時に約1年間の休養があったあと、体調だけでなく苦しくなるとレースをあきらめてしまう精神のスランプも重なり、ずっと歯がゆいレースを続けていたが、今回は詰めの甘さをカバーするため、さらにはスローの流れを読んで最初から好位キープ。さらには自分からスパートの積極策が大正解。完全復活と考えていい。

 ディープインパクトの3冠は5、4、6着にとどまったが、体型、さらには母方の血統背景から長距離タイプとして本格化の可能性がある。6歳とはいえまだキャリア21戦。今年こそは…の期待をしていいだろう。先行策が実を結んだ自信は大きい。

 ベテラン7歳のエアシェイディもスローの流れに対処するため、いつもより前につけ、さらに早めのスパートに出たがあと一歩及ばずの2着。なんと6度目の重賞2着だった。この馬、これで重賞2〜5着の善戦が合計11回にも達したことになる。1600mで一瞬の切れを生かす作戦に出てもあと一歩が不足。1800〜2000mでは逆になし崩し。不思議な、悲しい馬になってしまった。ひとつぐらいはGIII格の重賞なら手が届いてもいいと思えるが、やっぱりこの先も同じなのだろうか。もっとも獲得総賞金は約3億円。これほどありがたい馬はいないのかもしれない。

 人気のサイレントプライドはちょっとカリカリしていたが、決して気配は悪くなかった。レースの流れは前後半の1000mずつが「62.0-58.7秒」の超スロー。先行するかと思えたが、目標になる不利を嫌ったのか5〜6番手に控える作戦。1角ですでにアドマイヤフジのあとになってしまった。飛躍を期待される今年、差す形を身につけたい意図もあったと思われるが、この馬、平坦コースならともかく坂のあるコースではスパッと切れないどころか典型的なジリ脚質。今回も追い出しにかかった坂でまったく伸びなかった。まだ5歳になったばかり。もっとパワーアップする可能性はあるが、上のスズノマーチもそうであるように切れるタイプには育ちにくいだろう。積極策で粘りこむ作戦のほうがまだ今年の展望は広がる気がする。

 伏兵の4歳メイショウレガーロが積極策に出てスローのマイペースから小差の3着に粘ったが、ほかはベテラン組が上位を占め、勝ったアドマイヤフジ以外、今年大きく飛躍できそうな新星は登場しなかった。中でも昨年のダービー1番人気フサイチホウオーはいったいどうしてしまったのだろう。パドックでは落ち着いて歩き、決して悪い状態ではないとみえたが、このスランプはもう体調面のことではない。かかったとはいえ、とても15着にまで沈む流れではなかった。時間がかかっても仕方がない。何とか立ち直ってほしいものだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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