注目のエアエミネム(父デインヒル)が好位から抜け出し、これで4連勝となった。勝ち時計の1分59秒5は、76年のトウショウボーイの1分58秒9に次ぎ史上第2位。前半の1000m通過60.6秒のスローを考えると、文句なしにハイレベルだった。ただし、エアエミネムの勝ちっぷりを、予想通りに強かったとするか、案外、そんなにたいしたことはなかったとするか、ファンの見解も大きく分かれるだろう。太めとはいえこのコースに1分58秒6をもつクロフネを封じ、さらには春の2冠連続2着のダンツフレーム(今年の3歳の能力基準馬)に勝ったという意味では、これでA級馬だ。先行抜け出しのレース運びにもムダがない。しかし、伏兵サンライズペガサス(サンデー産駒の上がり馬)にゴール前は首差まで追い詰められたあたり、意外に迫力はなかった。2000m前後がベストのマイラーという印象も強い。父デインヒルはシャトル種牡馬のチャンピオン。両半球でG1馬を送っているが、その父ダンチヒの父系からマイラー色が強いのは当然。万能型とはいいながら、さすがに3000mには不安がある。レース後の伊藤雄師のコメントのトーンも、菊花賞への出走は5分5分の印象だった。クロフネは太めで気合不足だった。それでも差す形で1分59秒6は立派。56キロで出走できる天皇賞(秋)は十分に圏内だろう。