生産地だより/田中哲実

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種牡馬展示会、終了

2017年02月22日(水)18時00分

注目数:27人
イーストS展示会全景

イーストS展示会全景


活躍してくれた牡馬をぜひ種牡馬にさせてやりたいと考えるのは当然のこと

 2月20日のイーストスタッドで、今年の一連の種牡馬展示会は終了した。すでに各種馬場ともに交配事業を開始しており、これから概ね6月いっぱいまではどこも多忙な季節となる。

 浦河町西幌別のイーストスタッドは、個人牧場を除くと、新ひだか町以西で唯一の種馬場である。20日は朝からどんよりとした曇り空でやや肌寒い日だったが、午前11時の開始時間には日高管内の生産者を中心に多くの関係者が集まり、ここに繋養されている20頭と、辻牧場繋養のグロリアスノア(武蔵野S、根岸S)の、併せて21頭の展示に熱い視線を送っていた。

 イーストスタッドの今年の新種牡馬は、ダノンレジェンド。ダート重賞9つを制覇したスプリンターで、川崎のJBCスプリントや中山のカペラSの他、大井、盛岡、高知、門別と、全国各地に遠征してきた実績を残している。

ダノンレジェンド

ダノンレジェンド

 また、新たにヴァーミリアンが移動してきて、今年からここで繋養されることになった。もう1頭、タイキシャトルはアロースタッドとの2年交代の繋養となるため、また今年と来年はイーストスタッドで種牡馬生活を送る。

ヴァーミリアン

ヴァーミリアン

 日高東部にあったいくつかの種馬場を統合する形でスタートしたイーストスタッドは、広々とした敷地を生かしたロケーションの良い種馬場だ。近年は新種牡馬の導入にも積極的で、今年3年目を迎えるダンカークや、トゥザグローリー、昨年より繋養されているマジェスティックウォリアーは、いずれも交配頭数が3ケタを記録する人気ぶりである。

ダンカーク

ダンカーク

マジェスティックウォリアー

マジェスティックウォリアー

 その他、地元浦河産のダービー馬2頭(メイショウサムソン、ディープスカイ)もここに移動してきて種牡馬生活を送っている。

 昨今は、社台スタリオン繋養の種牡馬が質量ともに圧倒的な存在感を放つが、日高でもかなり多くの種牡馬が繋養されており、それぞれ交配を行なっている。GIを始め、重賞戦線になかなか産駒を送り出せない種牡馬も多いのだが、競馬の多様性を考えれば、日高で繋養されている種牡馬の中から成功する馬が出て欲しいところ。

 昨年末の数字では、全国で繋養されている種牡馬の総数は232頭いるという。輸入馬が60頭、国産馬が172頭という内訳である。うち北海道に214頭が繋養されており、日高には178頭が種牡馬として繋養されている。種付けされた繁殖牝馬の総数は全国で9490頭。北海道で9275頭。日高で7475頭である。種牡馬1頭当たりの平均交配頭数は約42頭になるが、現実的には、相当なばらつきがあって、社台スタリオン繋養の種牡馬が群を抜いて多くの牝馬を集めている。

 平均値である40頭未満の交配頭数に甘んじている種牡馬も少なくないのが実情だが、個人馬主にとって、活躍してくれた牡馬をぜひ種牡馬にさせてやりたいと考えるのは当然のことであり、ほとんどの場合、その受け皿になるのは、日高の各種馬場ということになる。自己の愛馬を新種牡馬としてデビューさせ、成功まで導くのは容易なことではないが、それもまたオーナーとしての競馬の楽しみ方の一つであり、それを下支えするのが生産地日高ということになるだろう。

 ディープインパクトやキングカメハメハに代表される社台の種牡馬以外の産駒からも、競馬ファンの心を揺さぶるような新たなヒーローが出てくることを願いたい。
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コラムニストプロフィール

田中哲実
田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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