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函館記念を堅くする馬は?

  • 2011年07月19日(火) 12時00分
 過去10年の函館記念で、全馬の単勝・複勝を均等買いすると回収率はどのくらいになるか、想像できるだろうか?

 函館記念というと荒れる重賞のイメージがあってある程度高い数値になっていそうな気がするが、実際には単勝が66%で複勝が70%。ごく普通か、むしろちょっと堅いくらいの話になっている。

 過去10年といっても、まだ「荒れる函館記念」の真っただ中の時期にあたる2001年と昨年=2010年を一緒くたにして論じるのは無理があるのだが、しかし重賞は年にいっぺんしかないので仕方ない。いずれにしても、近10年の函館記念は荒れる要素の残っていた時期がある一方で、想像以上に堅い方向へのベクトルも働いているということである。

 では、「函館記念を堅くする力」はどの辺りに潜んでいるのだろうか?

 ひとつは前走重賞組だ。過去10年、前走重賞組の成績は[3-2-4-48]で、回収率は単28%・複34%。これだと連対率(8.8%)が全馬平均(13.9%)に比べてだいぶ低いのだが、それもそのはず、前走重賞組は1番人気馬[1-2-0-2]と2番人気[2-0-1-2]しか連対しておらず、3着も6番人気まで。7番人気以下が[0-0-0-33]と足を引っ張る形になっている。つまり、前走重賞組は人気になるレベルならば、妙味こそないが買えるということだ。

 もうひとつが、一部前走重賞組と重なるがレース間隔の開いている馬。中9週以上の馬は[2-1-1-18]で、連対率13.6%は全馬平均とほぼ同じ。ただし1〜3番人気馬しか馬券に絡んでおらず、そのため回収率は単54%・複36%しかない。

 昔の函館記念なら人気馬は問答無用の切りだったが、いまの函館記念においては、先述の条件を満たす人気馬だけは「しぶしぶ買う」くらいの対応にしておいたほうがよいのではないだろうかと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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