■安田記念(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録18頭
【コース基本情報】東京芝1600m Cコース使用
・コース回収率
[標準] 単勝80%・複勝79% 中波乱傾向で7番人気〜11番人気あたりに妙味アリ。
・馬連万馬券出現率
[やや高め] 13.2%(平均値↑0.8% 馬連平均配当7582円)
・枠番別複勝率(18頭立て)
[1枠〜3枠] 勝率 5.4% 連対率10.8% 複勝率18.1% 複回率 69% 枠番値+0.2
[4枠〜6枠] 勝率 6.2% 連対率12.6% 複勝率17.5% 複回率114% 枠番値+0.2
[7枠〜8枠] 勝率 5.1% 連対率10.0% 複勝率14.6% 複回率 68% 枠番値-0.3
→極端な差は出ていないが、いちばん期待値が高いのは中枠。外枠やや不利。
・脚質別信頼度
先行≧差し>逃げ>追込 頭を決め打つなら差し脚質、信頼度なら先行脚質
・推定ラップ&タイム
[底力] 33.9-23.4-34.8=1.32.1 序盤〜中盤から一貫して速い底力ラップ
NHKマイルC、ヴィクトリアマイルに続き、この春3回目となる東京芝1600mでのG1レース。同じようなデータを見せられてさすがに食傷気味という方もいるだろうが、奇をてらって無意味なデータを羅列してもそれこそ無意味なので、そのあたりはどうかご容赦いただきたい。
真っ先に意識すべきは、きわめて波乱度の高い条件だということ。全体で見るとそれほど荒れている印象はないのだが、条件を「フルゲートの上級条件」に限定すると、波乱度は猛烈にアップ。実際に、1番人気ミッキーアイルが制した今年のNHKマイルCでは、2着にブービー人気のタガノブルグが、3着には12番人気のキングズオブザサンが激走。また、ヴィクトリアマイルも11番人気のヴィルシーナが制するなど、荒れまくっている。
この波乱傾向の強さは、平均配当から見ても明らか。馬連万馬券の出現率は13.2%と平均値をやや上回る程度だが、馬連平均配当は7582円と、平均値を大幅に上回っている。3連複平均配当は2万7618円、3連単は同18万1015円と、こちらも平均以上。7番人気〜11番人気の好走率の高さからも、穴狙いで行くべきコースと言えそうだ。
枠番については偏りが見られないが、現在の東京芝が内有利であるのは、先週のダービーからも明白。最低でも中枠は欲しいし、外枠を引き当てた馬は人気でもかなりの割引が必要だと思われる。現在の馬場状態とコースデータから、内枠から先行できる馬、もしくは内枠から差せる馬を重視すべき。外枠を引いた馬は、スッと前につけられるダッシュ力のある馬だけを狙うようにしたい。
【レース基本情報】安田記念(G1) 過去10年
・レース平均配当
単勝942円 馬連7077円 3連複4万918円
・1番人気馬成績
[2-0-0-8] 勝率20.0% 連対率20.0% 複勝率20.0%
・3番人気以内馬成績
[6-3-1-20] 勝率20.0% 連対率30.0% 複勝率33.3%
・4番人気〜9番人気馬成績
[4-4-6-46] 勝率 6.7% 連対率13.3% 複勝率23.3%
・10番人気以下馬成績
[0-3-3-84] 勝率 0% 連対率 3.3% 複勝率 6.7%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 0% [先行] 30.0% [差し] 60.0% [追込] 10.0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 3.3% [先行] 20.0% [差し] 50.0% [追込] 26.7%
・年齢別成績
[3歳馬] 1-0-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%
[4歳馬] 1-3-1-35 連対率10.0% 複勝率12.5%
[5歳馬] 2-4-4-52 連対率 9.7% 複勝率16.1%
[6歳馬] 5-0-5-32 連対率11.9% 複勝率23.8%
[7歳↑] 1-3-0-29 連対率12.1% 複勝率12.1%
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[5歳以下] 4-7-5-89 連対率10.5% 複勝率15.2%
[6歳以上] 6-3-5-61 連対率12.0% 複勝率18.7%
・性別成績
[牡馬] 8-9-9-132 連対率10.8% 複勝率16.5%
[牝馬] 2-1-1-18 連対率13.6% 複勝率18.2%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠〜3枠] 5-5-4-46 連対率16.7% 複勝率23.3% 枠番値-0.1
[4枠〜6枠] 2-3-2-53 連対率 8.3% 複勝率11.7% 枠番値+0.3
[7枠〜8枠] 3-2-4-51 連対率 8.3% 複勝率15.0% 枠番値-0.2
──────────────────────────────
[01番〜09番] 6-7-5-72 連対率14.4% 複勝率20.0% 枠番値+0.2
[10番〜18番] 4-3-5-78 連対率 7.8% 複勝率13.3% 枠番値-0.2
・厩舎所属別成績
[美浦] 5-3-4-51 連対率12.7% 複勝率19.0%
[栗東] 4-6-4-77 連対率11.0% 複勝率15.4%
[外国] 1-1-2-22 連対率 7.7% 複勝率15.4%
・前走距離別成績
[芝1200m] 1-0-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
[芝1400m] 2-3-1-44 連対率10.0% 複勝率12.0%
[芝1600m] 4-4-8-75 連対率 8.8% 複勝率17.6%
[芝1800m] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%
[芝2000m] 1-2-1-7 連対率27.3% 複勝率36.4%
[芝2200m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
[ダート戦] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
・前走クラス別成績
[中央G1] 4-0-1-21 連対率15.4% 複勝率19.2%
[中央G2] 3-7-7-80 連対率10.3% 複勝率17.5%
[中央G3] 0-0-0-10 連対率 0% 複勝率 0%
[OP特別] 1-1-0-11 連対率15.4% 複勝率15.4%
[条件戦] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
[海外戦] 2-2-2-24 連対率13.3% 複勝率20.0%
・主要ステップ別成績
[京王杯スプ] 2-3-1-43 連対率10.2% 複勝率12.2%
[ヴィクトリ] 2-0-1-13 連対率12.5% 複勝率18.8%
[大 阪 杯] 1-2-1-2 連対率50.0% 複勝率66.7%
[高松宮記念] 1-0-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
[NHKマイ] 1-0-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%
[マイラーズ] 0-2-5-29 連対率 5.6% 複勝率19.4%
[上記以外R] 3-3-2-57 連対率 9.2% 複勝率12.3%
・注目出走パターン
[買い] 前走での上がり3F順位が2位以内(複勝率34.0%、複回率139%)
[買い] 前走1800m以上戦で3着以内(連対率27.3%、複勝率36.4%)
[全滅] 前走海外組をのぞく前走10着以下(0-0-0-19)
[全滅] 前走6番人気以下かつ6着以下の日本馬(0-0-0-16)
[不振] 前走京王杯SCで5着以下(0-1-0-18)
[不振] 前走での上がり3F順位が6位以下(0-2-3-59)
[不振] 馬体重459キロ以下馬(0-1-1-18)
[不振] 前走4角3番手以内で2着以下(0-0-2-21)
1番人気馬が[2-0-0-8]と大不振。かなりアテにしづらい印象を受けるが、単勝平均配当は942円と3ケタの範囲内。つまり、それなりに上位人気が勝っているののだが、馬連平均7077円3連複平均4万918円と、ヒモ荒れ傾向が非常に強い。特に目立っているのが3連複配当で、過去10年で万馬券とならなかったのはウオッカが制した2009年の1回だけ。3連複は万馬券になって当たり前、くらいに思っておいたほうがいいレースである。
続いて脚質面だが、3着以内馬の76.7%までが差し・追い込み脚質と、圧倒的に差し優勢。勝ち馬も70.0%が中団〜後方からの競馬であり、逃げ〜先行から馬券絡みを果たすのは非常に難しい。かなり内有利&前有利なバイアスにある現在の馬場状態だが、それでも差し・追い込み勢の優位を揺るがせるかどうかは微妙なところだろう。
年齢別では、3歳〜4歳の若い馬よりも、5歳以上馬のほうが高信頼度。枠番に関しては、内枠である1枠〜3枠の複勝率が23.3%と突出しており、やはり外よりは内のほうがベターと言えそうだ。あとは、関西馬よりも関東馬のほうが圧倒的に好成績だというのも、安田記念の大きな特徴。数あるG1のなかでも、関東馬のほうがここまで優勢なレースは珍しい。
それ以外では、前走2000m戦出走組の成績が飛び抜けて高いというのも、ぜひ押さえておきたいポイント。主なローテは大阪杯からの出走となるが、過去10年で6頭が出走して4頭が馬券に絡んでいるとのは、やはり見逃せない。今年の登録馬では、カレンミロティック(※回避予定)とショウナンマイティの2頭が、このパターンに該当。昨年の2着馬でもあるショウナンマイティは、人気薄でも激走の可能性アリと見た。
前走での上がり3ハロン順位が2位以内だった馬の好走率もかなりのもの。こちらはグランデッツァ、サダムパテック、トーセンラーの3頭が条件に合致している。あとは、グロリアスデイズとジャスタウェイという、前走海外組をどう扱うか次第か。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
引き続きCコース。内枠有利の馬場バイアスもおそらく継続。
・天候予測
木曜日から天候が崩れて日曜日も雨模様。重馬場〜不良馬場となる可能性も。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率12.2% 連対率23.9% 複勝率32.4%
・著者の注目血統
ダイワメジャー産駒◎、ディープインパクト産駒○、ハーツクライ産駒▲、クロフネ産駒△
ディープインパクト産駒が大挙7頭も登録しており、その他もいわゆる「瞬発力型のサンデー系」が登録馬のほとんどを占めた、今年の安田記念。勝利数トップはディープインパクト産駒だが、内容に関してはダイワメジャー産駒も互角といえる。それに少し離れて続くのが、連対率23.8%のハーツクライ産駒だ。
とはいえ、出走馬の血統がここまで偏ると、血統というファクターを気にする必要自体がなさそう。それよりも、当日の馬場がどういう状況になるかのほうが、はるかに重要度は高い。しかも、今週末にかけて天候が崩れる予報が出ており、下手すると不良馬場でのレースとなる可能性もアリ。土曜日、そして当日の馬場チェックは欠かせない。
★総論×各論
昨年秋から見違えるような強さを見せ、ついに「世界最強」の座にまで上り詰めたジャスタウェイ。衝撃のドバイデューティフリー以来となる出走で、ここでどのようなレースを見せるのか、じつに興味深い。それ以外にも、屈腱炎からの復活を果たしたワールドエースに、昨年秋のマイル王者トーセンラー、遅咲きながら抜群のマイル適性を見せているフィエロなど多士済々。間違っても、ジャスタウェイ「一強」ではない。
そのジャスタウェイだが、海外遠征明けで2ヵ月の休養明け緒戦であるのは、やはりプラスとはいえない要素。昨年のロードカナロアのように、休養明けでも勝ち負けになるレースではあるのだが、それでも割引は割引だ。また、マイル実績は十分も、純然たるマイラーではないというのも気がかり。圧勝してもおかしくはないが、過信は禁物──というのが、データ面から見た同馬のジャッジとなる。
当データ分析からの評価順は、ワールドエース、トーセンラー、グランデッツァ、ジャスタウェイ、フィエロ。いずれも「とんでもなく」僅差であり、以下もショウナンマイティ、クラレント、レッドスパーダ、ホエールキャプチャと、ほとんど差がなく続く。展開ひとつでどの馬も勝ち負け可能という、イメージ以上の大混戦である。
ワールドエースやトーセンラーは、マイナス材料のなさから上位に浮上。前走でとんでもないレコードを出したグランデッツァについては、当初予定していたエプソムCではなく、強気にこちらを選んできたというのも気になる材料だ。逆に、ミッキーアイルは脚質が大マイナスで、香港馬グロリアスデイズは過去2回のイマイチな結果から、ここは軽視すべきと判断している。
どの馬も本当に一長一短で、序列をつけるのにここまで悩んだレースは珍しいほど。ジャスタウェイの着順次第では、とんでもない高配当が出現してもおかしくない。あとは、やはり「枠番」と「馬場」次第。ひとケタ馬番の先行〜差し脚質を中心に、枠番が出てから改めてじっくり考えてみたい。
■鳴尾記念(G3・阪神芝2000m)フルゲート16頭/登録13頭
現在の開催時期へと変更されてから、今年で3年目となる鳴尾記念。正直なところまだデータ不足ではあるのだが、過去2回の勝ち馬であるトゥザグローリーとトウケイヘイローは、いずれも4コーナーを2番手以内で回っていた。内回りコースで、しかも開幕週であるという点は、しっかり意識しておく必要がありそうだ。
また、阪神芝2000mはディープインパクト産駒が複勝率なんと47.0%をマークする、バツグンに適性の高いコース。ステイゴールド産駒も互角に張り合っているのだが、今年の鳴尾記念には残念ながら登録なし。あとは、ハーツクライ産駒の強さも目立っている。いわゆる、瞬発力型サンデー系種牡馬の産駒が強いコースである。
あとは、好走馬が前走G2〜G3出走組に集中していることや、前走着順は不問だが前走人気は結果に直結する傾向にあることなども、押さえておきたいポイント。となると、人気の一角となりそうなカレンミロティックを嫌う理由がない。先行力や血統、臨戦過程など数多くの項目でプラス評価となっており、信頼度はピカイチといえる。
相手候補は、サクラアルディート、トウカイパラダイス、フラガラッハ、メイショウナルトの4頭。そう大きく荒れるとは思えないので、シュアなバッティングでシングルヒットを狙いたい。
※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。