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一強ではなく三強という可能性も!?/函館スプリントS

  • 2014年06月18日(水) 18時00分
■函館スプリントS(G3・函館芝1200m)フルゲート16頭/登録17頭

【コース基本情報】函館芝1200m Aコース使用

・コース回収率
 [やや低め] 単勝70%・複勝73% 人気サイドの信頼度高く順当決着傾向

・馬連万馬券出現率
 [低め] 8.9%(平均値↓3.5% 馬連平均配当4214円)

・枠番別複勝率(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率 8.9% 連対率17.1% 複勝率26.0% 複回率 99% 枠番値+1.1
 [3枠〜4枠] 勝率 9.3% 連対率18.6% 複勝率26.3% 複回率101% 枠番値+0.3
 [5枠〜6枠] 勝率 2.8% 連対率 6.1% 複勝率10.9% 複回率 39% 枠番値-0.7
 [7枠〜8枠] 勝率 4.0% 連対率 8.5% 複勝率12.1% 複回率 38% 枠番値-0.7
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 9.1% 連対率17.8% 複勝率26.2% 複回率100% 枠番値+0.7
 [09番〜16番] 勝率 3.4% 連対率 7.3% 複勝率11.5% 複回率 39% 枠番値-0.7
 →内外で比較しても内有利が歴然。特に1枠〜2枠は圧倒的に有利

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>>>差し>>>追込 平坦&小回りなので当然ながら前有利

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 33.1-35.1=1.08.2 スプリント戦らしい完全な前傾の流れ

 先週から開幕した今年の北海道シリーズ。最初の重賞となる函館スプリントSの舞台が、この芝1200mである。バックストレッチ側の引き込み線からスタートして、コーナーをふたつ回るコース形態。完全な平坦ではなく、芝コース全体での高低差は3.4mあるのだが、馬券を買う上ではそれほど意識する必要はないと思われる。

 当コースの特徴として真っ先にあげたいのが、露骨なまでの「内有利」である。単純に内外を比較するだけでも完全に内有利で、連対率ベースで約10%、複勝率ベースでは約15%という大差が出ている。複勝回収率や枠番値も同様で、勝ち馬もヒモもかなり内枠重視の姿勢でチョイスしたいところ。枠番値が+1.1と特に高い1枠〜2枠については、かなりの人気薄でも警戒が必要だ。

 そして脚質だが、スプリント戦でもあり圧倒的に前有利。これは、コーナー中盤〜直線のなかばまでが下り坂というコース形態にも起因している。その上、最後の直線が短いとなると、差しや追い込みがそうそう決まるワケがない。ある程度の先行力は、勝ち負けの必須条件と言える。

 レースはまず間違いなく前傾の流れになるが、前が止まらないコース形態であるのは、先に解説した通り。また、開幕2週目で良好な馬場コンディションが保たれているのも、前有利の傾向を加速させそうだ。ハイペースで先行可能で、最後まで粘りきる底力も備えているという「典型的スプリンター」を狙うべきである。

【レース基本情報】函館スプリントS(G3) 函館過去10年
・レース平均配当
 単勝1380円 馬連3531円 3連複1万2443円

・1番人気馬成績
 [2-3-0-4] 勝率22.2% 連対率55.6% 複勝率55.6%

・3番人気以内馬成績
 [7-4-3-13] 勝率25.9% 連対率40.7% 複勝率51.9%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [1-5-4-44] 勝率 1.9% 連対率11.1% 複勝率18.5%

・10番人気以下馬成績
 [1-0-2-46] 勝率 2.0% 連対率 2.0% 複勝率 6.1%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 66.7% [差し] 22.2% [追込] 11.1%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 18.5% [先行] 40.7% [差し] 33.3% [追込] 7.4%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-2-1-14 連対率11.8% 複勝率17.6%
 [4歳馬] 3-1-2-10 連対率25.0% 複勝率37.5%
 [5歳馬] 4-1-2-25 連対率15.6% 複勝率21.9%
 [6歳馬] 2-4-3-26 連対率17.1% 複勝率25.7%
 [7歳↑] 0-1-1-28 連対率 3.3% 複勝率 6.7%

・性別成績
 [牡馬] 3-7-6-85 連対率 9.9% 複勝率15.8%
 [牝馬] 6-2-3-18 連対率27.6% 複勝率37.9%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 5-3-3-17 連対率28.6% 複勝率39.3% 枠番値-1.0
 [3枠〜4枠] 1-3-2-26 連対率12.5% 複勝率18.8% 枠番値+0.7
 [5枠〜6枠] 0-2-1-31 連対率 5.9% 複勝率 8.8% 枠番値-0.8
 [7枠〜8枠] 3-1-3-29 連対率11.1% 複勝率19.4% 枠番値+1.0

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-3-5-45 連対率 9.1% 複勝率18.2%
 [栗東] 7-6-4-57 連対率17.6% 複勝率23.0%

・前走距離別成績
 [芝1000m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1200m] 5-7-5-57 連対率16.2% 複勝率23.0%
 [芝1400m] 4-1-2-15 連対率22.7% 複勝率31.8%
 [芝1600m] 0-1-2-14 連対率 5.9% 複勝率17.6%
 [芝1800↑] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-13 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 2-2-3-17 連対率16.7% 複勝率29.2%
 [中央G2] 2-0-1-9 連対率16.7% 複勝率25.0%
 [中央G3] 2-3-2-21 連対率17.9% 複勝率25.0%
 [OP特別] 2-3-2-42 連対率10.2% 複勝率14.3%
 [条件戦] 1-1-1-10 連対率15.4% 複勝率23.1%

・注目出走パターン
 [買い] 3番人気以内の関西馬(連対率69.2%、複勝率76.9%)
 [買い] 前走G1で5着以内(連対率57.1%、複勝率71.4%)
 [買い] 前走4番人気以内の牝馬(連対率60.0%、複勝率70.0%)
 [不振] 前走マイル戦以外に出走の7歳以上馬(0-0-1-27)
 [不振] 前走2番人気以下、かつ4角10番手以下(0-1-1-32)
 [不振] 前走上がり順位3位以内、かつ2着以下(0-1-0-14)
 [不振] 前走が4番人気〜9番人気、かつ4着以下(0-0-2-34)

 1番人気の信頼度はイマイチも、3番人気以内馬の成績は[7-4-3-13]となかなかのもの。7番人気以下馬の[1-1-2-72]という成績を見てもわかるように、かなり順当決着傾向の強いレースである。単勝平均配当は1380円とソコソコ高いが、馬連平均配当は3531円とかなり低めの水準。人気薄が1着に激走して高配当──といった決着は考えづらい。

 脚質についてはやはり先行有利だが、厳しいラップが刻まれるためか、逃げ切りは過去10年で一度もナシ。3着以内の3分の1が差し馬なのだから、コースデータよりはかなり差せるレースだと言える。年齢別では7歳以上馬の不振が目立っているが、それ以外はさほど差がない様子。7歳以上馬だけを割り引く方針で行きたい。

 そして性別だが、夏競馬らしく牝馬が[6-2-3-18]で複勝率37.9%と絶好調。今年も8頭のエントリーがあるが、やはりここを牡馬よりも重視する姿勢をオススメしたい。枠番についてはコースデータでも「内枠が断然有利」と結論づけたが、1枠〜2枠の強さはレースデータでも健在。人気馬がここに偏っているのも事実だが、ここまで成績が突出しているとなると、そうそう逆らえないというのが実際のところだ。

 あとは、前走芝1200m〜1400m戦出走馬が圧倒的優勢であることや、関西馬の強さなども目立っている項目。また、注目出走パターンで「買い」とした3項目は、いずれも複勝率70%オーバーという特注級の代物である。これらの条件に最も合致するのは、ストレイトガールだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週に引き続きAコース。洋芝らしく時計はかかるが前有利の状況。

・天候予測
 金曜日まで雨模様だが週末には天候回復。稍重あたりを想定しておきたい。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率10.0% 連対率18.3% 複勝率27.5%

・著者の注目血統
 ファルブラヴ産駒◎、デュランダル産駒○、フジキセキ産駒▲、クロフネ産駒△

 現在、北海道ではまるで梅雨のような天候が続いており、週末までは雨模様。土曜日からは回復しそうだが、晴れるタイミング次第では、日曜日になっても良馬場に回復しないケースが考えられる。発表が良馬場であってもそれなりに水分は含んでいるだろうし、しかも時計のかかる洋芝。かなりパワー型の馬場となってもおかしくない。

 勝利数ではサクラバクシンオー産駒がトップに立っているが、これは出走数の多さにアシストされた結果であり、内容はファルブラヴ産駒やデュランダル産駒、フジキセキ産駒、クロフネ産駒のほうが格段に上。なかでも爆発力があるのがファルブラヴとデュランダルの産駒で、人気薄での激走にも期待が持てる内容となっている。

★総論×各論

 コパノリチャードが回避したことで、完全にストレイトガールの「一強」ムードとなった、今年の函館スプリントS。洋芝適性やコース適性についてまったく心配する必要がない上に、スプリント戦線で見せてきたパフォーマンスも他とは段違いとなると、人気になって当然である。実際、当データ分析でも断然のトップ評価となった。

 とはいえ、懸念材料がないワケではない。純然たるスプリンタータイプが強いコース&レースだと解説してきたが、同馬は前走のヴィクトリアマイルでも3着に好走しているように、瞬発力も高いレベルで備えているからである。また、徹底先行脚質ではないのも「短距離馬ではあるがスプリンターではない」と思わされる要素。中団待機から差し届かずといった決着も、なくはないはずなのだ。

 あとは、このレースで1番人気馬の信頼度がイマイチである点や、「前走上がり順位3位以内かつ2着以下」という条件を満たしているのも気になるところ。データ的に最右翼であり、勝つ確率も圧倒的に高いと思われるが、それでも過信は禁物というややこしい見解となってしまった。

 逆転があるとすれば、昨年函館で行われたキーンランドCで、実際にストレイトガールを下しているフォーエバーマークだ。コース適性に関してはストレイトガールとタメを張れるし、前述の「徹底先行型のスプリンター」という条件にもしっかり合致。ファルブラヴ産駒という血統面の後押しもあり、ここは積極的に買うべきタイミングと見る。

 あとは、スマートオリオンも上位に評価すべき1頭。フォーエバーマークほどではないが、こちらもスプリンター色はかなり強い。高松宮記念からのローテは非常に大きなプラスであり、ハナではなく好位からの競馬になりそうなのも強調材料。こちらも、ストレイトガールを逆転する可能性を秘めている。

 以下は「ものすごく離れて」ハノハノ、ツインクルスター、レオンビスティー、デュアルスウォードと続くが、このあたりは完全にどんぐりの背比べ。展開ひとつ、枠番ひとつで大きく結果が入れ替わると思われる。いずれにせよ、重視すべきは「内枠」「先行」というふたつのファクター。枠番決定後に、3着をどのように拾うかをしっかり精査したい。

■ユニコーンS(G3・東京ダ1600m)フルゲート16頭/登録21頭

 昨年もここでボヤいたが、尋常ではないほど「堅い」のがユニコーンS。3着がソコソコ紛れた昨年にしても、勝ったのは3番人気のベストウォーリアで、2着が1番人気のサウンドリアーナと、連対馬は相変わらず非常に堅い。6番人気以下馬の[0-1-6-101]という成績を見るだけで、いかに穴党に厳しいかを理解してもらえるはずだ。

 確実に1番人気となるであろうアジアエクスプレスについては「人気馬だから買い」という投げやりな分析結果に。単勝オッズ1倍台で出走した馬はすべてこのレースを制しているし、2.0倍〜2.9倍でも連を外したのはたったの1頭。この馬の単勝オッズが3.0倍以下ということはないだろうし、ならば素直に買うのが正解である。「前走芝で出走」を理由に消す手もなくはないが、その場合はお金をドブに捨てるくらいの覚悟は必要となろう。

 ダート路線からの出走馬については「前走連対」かつ「前走ひとケタ人気」であるのが必要条件であり、さらに「継続騎乗」の「牡馬」であるのが望ましい。また、前走で500万下を勝ち上がったばかりの馬については、当日それなりの人気を集めていることが、好走する上での条件。単勝5番人気以下での好走は、かなり期待薄である。

 以上のような条件でふるいにかけて、割引材料が見当たらないのはアナザーバージョンくらいのもの。以下もメイショウパワーズ、グレナディアーズ、コーリンベリー、アスカノロマン、レッドアルヴィスといった評価順で、やはり徹底的に堅い。多少なりとも高配当を狙うなら、アジアエクスプレスが後続をぶっちぎると決め打って、「前走上がりが優秀だった人気薄の無欲の追い込み」狙いをオススメしたい。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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