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「馬の思いと俺の思いが乗る度に形になっている様に思う」横山典弘騎手にインタビュー

  • 2014年06月24日(火) 18時00分
競馬の職人




 いよいよ今週は上半期の大一番、宝塚記念ですね。

 最大の注目はなんといってもジャパンカップで史上初の連覇を成し遂げた世界の女王ジェンティルドンナ。そしてファン投票1位に支持された昨年の覇者、芦毛の怪物ゴールドシップの連覇なるかなど。有力馬が揃い、総決算にふさわしいレースになりそうです。どの馬が勝っても納得できそうです。

 横山典弘騎手が3週連続で栗東に出張し自らゴールドシップの手綱を取り背中の感触を確かめていました。ここは横山典弘騎手に是非取材しなくてはと思い直撃しました!

常石 典さん取材お願いできますか?

横山 あーいいよ。そういえば昨日草津駅で会っただろう?俺とぶつかってるのに気づかなかったでしょう。無視してたぁ?その時に取材すればよかったのに(笑)

常石 無視なんてとんでもないですよ。気づかなくてすいません。声をかけてもらってよかったです。あっそうか、ご馳走食べながら取材させてもらったらよかったですね。残念(苦笑)

横山 無視するやつにはご馳走できません(笑)。

常石 先週、今週とゴールドシップの手綱を握った感触はどんな感じでしたか?

横山 バッチリ!(うなずく)

常石 手ごたえよかったんですか?

横山 追い切り見ただろ・・・! それで証明。何も言うことなしだね。

常石 ハイ、バッチリ見ました。

横山 じゃあ見たとおり。手ごたえはよかったよ。

常石 (笑)いやいや、典さんがゴールドの背中で感じた感触を僕にも教えてください。今回、新コンビになるでしょう。そのあたりもどう感じているかお聞きしたいです。

横山 初めての感じは、しないな。はまりがいいし、馬の思いと俺の思いが乗る度に形になっている様に思う。CWコースで追い切りをしたんだが、追い切りではなくゴールドとの関係をいいものにしていく、常ちゃんと俺みたいにな(笑)。

競馬の職人

ゴールドシップに跨っている横山典弘騎手



 最初はさ、どんなやつかわからなかったらお互い気を使い合いながら話をしてるだろ。性格とか癖なんかわかってくるとさ、どう攻めようかとかどういじめようかと考えるのよ。(爆笑)

常石 典さん、嬉しいこと言っていただいてますが、それって馬のことですか?それとも僕ですか?

横山 ゴールドのことはいろんな人から話を聞いたりレースを見たりして外見だけはわかるけど内面は何にもわからない。だから最初に乗った時は、先入観に左右されず自分で感触を確かめていくというか、ゴールドの走りを見せてもらいながら「俺ってこんなやつだぜ」とコンタクトを取っていく。2回目は、ゴールドに走りを任せるだけではなくお互いの気持ちを高めあいながら「こんな走りをしような」と気遣いながら、お互いが信頼できるパートナーに変えていきたいと言う思いで乗っているよ。

 今日の追い切りでは(6月18日)時計のかかるCWの馬場だが追っ付けてではなく、ゴールドがすーっと反応してくれた。ステッキを使いたくなかったのでよかったです。また来週、仕上げに来ます。

常石 厩舎に任せないんですか?

横山 ここまできたらもう1回乗ってみたいな。感受性が鋭い馬なので馬の気持ちに逆らわずにこっちの思いも伝えながらコンタクトをとっていきたいね。

常石 ゴールドとスキンシップとっていましたね。スキンシップとコンタクトをとることを大事にするのが典さん流ですよね。走りたい気持ちを損なわずにやんわり負荷をかけていくのは本当にうまいですよね。それにいつもにこやかな顔しながら乗っていますよね。どうして穏やかな顔になれるんですか?

横山 こわばった顔で乗ったら、そのガチガチが馬に伝わるでしょう。話してる時もそうだろう。常ちゃんが笑うから俺も笑えてくる。そんな関係が大事だろ。

常石 なるほど(納得)。厩舎から何か指示はありましたか?

横山 ゴールドはわがままだし走りたい気持ちはいっぱいあるので攻め馬の内容は(須貝)先生と考えていることが同じだったのでとっても乗りやすかったです。馬のことを1番に考えるのは一緒だったし、馬とは勿論だけど追い切りを見て任せてくれたように厩舎スタッフとも信頼関係を作ることが出来たのは大きな収穫だったね。

常石 そういう感じは僕もビビッて感じました。追い切り終わった後に運動している時、ゴールドと典さんと今浪さんがにこやかな顔で歩いてたでしょう。今浪さんが馬を引く時は、少しうつむき加減でゴールドの歩様に併せて黙々と歩くタイプなのですが、典さんの顔とゴールドの顔を見ながらにこやかに馬を引く様子を見て嬉しかったです。今回は長い時間ありがとうございました。最後にファンへのメッセージをお願いします。

競馬の職人

ゴールドシップと今浪厩務員



横山 折り合いも欠くことなくスムーズな走りをしてくれます。緩やかに加速しスピードに乗っていく競馬が理想ですね。そんなパフォーマンスができるように頑張ります。パワーも十分あるからね。ゴールドは「賢い馬だから押し付けるんじゃなく、すいませんけど、初めましてよろしくお願いします」という感じで力をあわせ走らせることができたら能力発揮してくれるでしょう。乗るたびに手ごたえを感じられるようになってきたからね。相性のいい阪神でファン投票1位に応援してくれた皆さんに応えられるような結果を出したいと思います。

常石 追い切りを見て手ごたえが僕にも伝わってきました。阪神競馬場のウイナーズサークルで待ってます。

横山 よっしゃー!

***

典さんの穏やかさの中にある勘の鋭さや丁寧な馬の扱いが伝わってきました。宝塚記念楽しみに応援しています。ナイショなんだけど応援したい馬いっぱいいますよね。

P.S. 今回、ゴールドシップの話だけでなく他の話も一杯お聞きしています。次回も横山典弘騎手のコラムにしたいと思います。つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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