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二強対決の図式も評価は明暗クッキリ/新潟2歳S

  • 2014年08月27日(水) 18時00分
■新潟2歳S(G3・新潟芝1600m外)フルゲート18頭/登録18頭

【コース基本情報】新潟芝1600m外 Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単勝61%・複勝69% 人気サイドの信頼度高く順当決着傾向

・馬連万馬券出現率
 [標準] 13.2%(平均値↑0.8% 馬連平均配当5179円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 4.9% 連対率 9.6% 複勝率14.2% 複回率 54% 枠番値-0.2
 [4枠〜6枠] 勝率 5.6% 連対率13.6% 複勝率20.4% 複回率 79% 枠番値+0.1
 [7枠〜8枠] 勝率 6.2% 連対率10.2% 複勝率15.8% 複回率 72% 枠番値+0.1
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 4.9% 連対率10.7% 複勝率15.7% 複回率 57% 枠番値-0.1
 [10番〜18番] 勝率 6.2% 連対率11.5% 複勝率17.9% 複回率 81% 枠番値+0.2
 →16頭立て以上のデータでも内枠がやや不振も、影響はそれほど大きくはない

・脚質別信頼度
 差し>先行>逃げ≧追込 中団待機組がここまで強いコースも珍しいほど

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 35.4-25.4-33.5=1.34.3 上がりだけが突出して速い完全な瞬発戦

 バックストレッチの中ほどからスタートして、最初のコーナーまで約550mを走る新潟芝1600mの外回りコース。スタート直後にポジション争いが激化することはほとんどなく、序盤〜中盤は一貫してゆったりとしたペースで流れる。小回りでコーナーの角度がキツいため、最後の直線に入るまでペースが上げづらいコース形態なのである。

 そういう理由もあってか、枠番による有利・不利はそれほど大きくない。厳密にいえば信頼度は「外枠>中枠>内枠」の順なのだが、馬券を買う際には「少しだけ内枠不利」くらいに思っておけば問題はない。距離ロスはないがコーナー部分でゴチャつく懸念がある内枠よりも、外枠の道中スムーズに追走できるというメリットのほうが大きいのだろう。

 レースの流れは、完全に瞬発力勝負。昨年の新潟2歳Sも、前半3F通過が35秒3で、それに対して上がり3Fが33秒8と、1秒半も上がりのほうが速い後傾だった。末脚のキレなしには勝ち負けできないコースであり、脚質も圧倒的に差し優勢。昨年のハープスターのような直線一気はさすがに珍しいが、それができてしまうのもこのコースだからだ。

 展開の紛れが少ないので、基本的には順当決着傾向が強いコース。瞬発力型の人気馬に逆らうのは、かなり難しい。スロー濃厚だろうが何だろうが、ここは差し馬重視の姿勢を貫くのがセオリー。人気の逃げ・先行勢は疑ってみる価値アリだが、差し馬については「長いモノに巻かれる」方針のほうがいいはずである。

【レース基本情報】新潟2歳S(G3)過去10年
・レース平均配当
 単勝717円 馬連1万1731円 3連複5万1314円

・1番人気馬成績
 [5-1-1-3] 勝率50.0% 連対率60.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-3-3-17] 勝率23.3% 連対率33.3% 複勝率43.3%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [2-1-3-24] 勝率 6.7% 連対率10.0% 複勝率20.0%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [1-0-4-25] 勝率 3.3% 連対率 3.3% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-6-0-74] 勝率 0% 連対率 7.5% 複勝率 7.5%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 10.0% [差し] 40.0% [追込] 50.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 20.0% [差し] 46.7% [追込] 30.0%

・性別成績
 [牡馬] 6-6-6-73 連対率13.2% 複勝率19.8%
 [牝馬] 4-4-4-67 連対率10.1% 複勝率15.2%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 1.8% 連対率12.5% 複勝率17.9% 複回率114% 枠番値-0.7
 [4枠〜6枠] 勝率 8.6% 連対率13.8% 複勝率22.4% 複回率 71% 枠番値-0.1
 [7枠〜8枠] 勝率 7.1% 連対率 8.9% 複勝率12.5% 複回率 58% 枠番値+0.8
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 4.5% 連対率12.4% 複勝率19.1% 複回率 96% 枠番値-0.6
 [10番〜18番] 勝率 7.4% 連対率11.1% 複勝率16.0% 複回率 65% 枠番値+0.6

・厩舎所属別成績
 [美浦] 7-8-5-95 連対率13.0% 複勝率17.4%
 [栗東] 3-2-5-45 連対率 9.1% 複勝率18.2%

・前走距離別成績
 [芝1200↓] 0-1-1-30 連対率 3.1% 複勝率 6.3%
 [芝1400m] 7-3-4-59 連対率13.7% 複勝率19.2%
 [芝1600m] 3-5-4-21 連対率24.2% 複勝率36.4%
 [芝1800m] 0-0-1-25 連対率 0% 複勝率 3.8%
 [ダート戦] 0-1-0-5 連対率16.7% 複勝率16.7%

・前走クラス別成績
 [新馬戦] 5-6-5-70 連対率12.8% 複勝率18.6%
 [未勝利] 2-2-2-31 連対率10.8% 複勝率16.2%
 [OP特別] 3-2-3-38 連対率10.9% 複勝率17.4%

・前走上がり3F順位
 [1位] 8-6-7-56 連対率18.2% 複勝率27.3%
 [2位] 1-2-3-32 連対率 7.9% 複勝率15.8%
 [3位] 0-0-0-15 連対率 0% 複勝率 0%
 ────────────────────────
 [2位以内] 9-8-10-88 連対率14.8% 複勝率23.5%
 [3位以下] 1-2- 0-49 連対率 5.8% 複勝率 5.8%

・出走間隔別成績
 [中1週] 0-1-0-11 連対率 8.3% 複勝率 8.3%
 [中2週] 1-2-2-38 連対率 7.0% 複勝率11.6%
 [中3週] 2-2-1-30 連対率11.4% 複勝率14.3%
 [中4週〜8週] 7-4-6-54 連対率15.5% 複勝率23.9%
 [中9週以上] 0-1-1-7 連対率11.1% 複勝率22.2%

・注目出走パターン
 [特注] 前走1400m〜1600m戦で最速上がり(複勝率40.5%、複回率120%)
 [買い] 前走小倉以外で単オッズ1倍台の支持(複勝率41.2%、複回率183%)
 [不振] 前走での上がり3F順位が3位以下(1-2-0-49)
 [不振] 前走で1800m戦に出走(0-0-1-25)
 [不振] 前走4角先頭(0-1-1-17)
 [全滅] 前走が4番人気以下かつ2着以下(0-0-0-18)
 [全滅] 前走で1200m以下戦に2番人気以下で出走(0-0-0-24)

 1番人気馬がトータル[5-1-1-3]と優秀な結果を残しており、単勝平均配当は717円とかなり低めの水準。ところが、馬連平均配当は1万円を上回っており、過去10年で4回も馬連万馬券が出ている。つまり、新潟2歳Sは「ヒモ荒れ」での決着が非常に多いレースなのである。アタマは堅いがヒモは荒れるというのを念頭に置いて、予想を進めるべきだ。

 なかでも特徴的なのが、10番人気以下の超人気薄が[0-6-0-74]と、6回も2着に食い込んでいること。15番人気以下での連対例が3回もあるというのは、ちょっと驚いてしまう結果である。情報量がまだ少なく、ともすれば過剰人気になりがちな2歳戦だけに、中位〜下位人気の取捨はかなり丁寧に行ったほうがいいと思われる。

 続いて脚質面だが、勝ち馬の9割が差し・追い込み脚質という圧巻の結果。3着以内馬についても、先行勢のシェアは4分の1に満たない。コースデータよりもさらに差し優勢といえる結果であり、軸馬は必ず先行勢以外から選ぶべき。勝ち負けに、ここまで先行力が必要ない重賞も珍しい。

 続いて枠番だが、こちらは1枠〜3枠の勝率が1.8%と非常に低いのが目立つ。枠番値の低さもかなりのもので、まだレース経験の少ない2歳馬にとって、内枠で揉まれるのは大きな不利となる様子である。特に人気薄については、外枠重視で行ったほうがよさそう。スムーズに走れるかどうかが、好走と凡走を分ける分水嶺となっているのだ。

 前走で出走しているレースの「格」はいっさい問われないが、好走馬は前走1400m〜1600m出走組ばかり。また、瞬発力が最優先で問われるレースであるため、前走での上がり3F順位が3位以下だった馬は、その時点できわめて期待薄となってしまう。これが2位以内であるのは必要条件で、できれば1位であるのが望ましい。

 注目出走パターンは7つほどあげたが、なかでも注目は、特注扱いとした「前走1400m〜1600m戦で最速上がり」という条件。今年の登録馬でこれを満たすのは、ディアコンチェルト、ナヴィオン、ブリクスト、ミュゼスルタン、ワキノヒビキの5頭である。出走してくれば、当然ながら要注目。この5頭が、上位を独占する可能性もありそうだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコース。新潟にしては時計を要している印象で、意外に前が残る。

・天候予測
 中間で多少の降雨があるも週末は晴れ〜曇り。おそらく良馬場か。

・勝利数トップ種牡馬
 ハーツクライ 勝率15.9% 連対率27.0% 複勝率30.2%

・著者の注目血統
 ハーツクライ産駒◎、ディープインパクト産駒○、キングカメハメハ産駒△

 典型的な瞬発力コースであり、その申し子であるディープインパクト&ハーツクライの産駒が絶好調。いずれも複勝率が30%以上という信頼度の高さで、勝率や連対率も申し分ない。完全に「二強」であり、以下とは適性面でかなり差を感じる。それ以外でプラス評価の対象になるとすれば、キングカメハメハ産駒くらいのものだ。

 そして馬場だが、長期開催に備えてしっかり馬場を造りこんできたのか、いまだに内を通る馬でも好走可能な状況。普段の新潟よりも時計はかかり気味で、展開次第では先行勢もけっこう残せている。人気薄の前残りも馬場的にはありうるのだが、コースがコースだけに、あって2着か3着。差し優勢の図式は揺るぎないと思われる。

★総論×各論

 昨年の勝ち馬が桜花賞馬ハープスターで、2着馬が皐月賞馬イスラボニータ。前々から活躍馬を出してきたレースではあるが、昨年の結果でレースとしての「格」が一気にアップしたイメージである。今年も前途有望な若駒が、フルゲートぴったりの18頭がエントリー。年末のG1や来年のクラシックを占う意味でも、目が離せない一戦となった。

 人気の中心は、前評判通りの強さで新馬戦を快勝してきたアヴニールマルシェと、デビュー戦で上がり32秒7という驚異的な末脚を見せたナヴィオンの2頭。いずれも甲乙つけがたい好素材だが、当データ分析での評価はハッキリと分かれた。結論からいえば、アヴニールマルシェよりもナヴィオンのほうが、信頼度は格段に高いはずだ。

 東京芝1800mの新馬戦を勝ち、中10週で出走となるアヴニールマルシェ。この「前走芝1800m」と「中10週」というのが、ちょっと引っかかるのだ。中10週のローテに関してはまだ目がつむれるが、過去10年で1頭も連対していない前走芝1800m組というのは、大幅割引となる材料。「前走最速上がりのディープインパクト産駒」で、前評判も高かった馬だけに軽くは扱えないが、本命に推すにはネガティヴな材料が目立ちすぎる。

 対照的に「前走最速上がりで芝1600mの新馬を勝ったハーツクライ産駒」であるナヴィオンは、このレースでいかにも好走しそうなプロフィルの持ち主。ハーツクライ産駒の扱いに長ける橋口厩舎というのもプラスに働くだろうし、瞬発力勝負バチコイ型の馬であるのは、前走でハッキリ証明済み。不安なのは鞍上だけ──といっても過言ではない。

 また、新潟2歳Sが非常にヒモ荒れ傾向の強いレースであるというのも、アヴニールマルシェの評価を割り引いた理由のひとつ。この2頭で決まる可能性は意外に低いと見て、少しでも人気薄の馬を積極的に評価したい。そういった観点から、二番手にはブリクスト、三番手にはディアコンチェルト、五番手にニシノラッシュと、好走可能なバックボーンがある人気薄を上位に。アヴニールマルシェは四番手評価とした。

 以下はミュゼスルタン、ワキノヒビキという評価順で、あとは枠番や直前の気配を見ての評価の上げ下げとなる。高配当狙いのスタンスで行くなら、ギンパリ、テイケイラピッド、コメート、ハナモモの4頭もヒモに押さえておきたいところ。ナヴィオンの1着固定から手広く流す馬券を、現時点では推奨しておこう。

■キーンランドC(G3・札幌芝1200m)フルゲート16頭/登録19頭

 函館で開催された昨年は、フォーエバーマーク、ストレイトガールと人気サイドで順当に決着。3着にもシュプリームギフトが入るなど、牝馬がこの時期らしい強さを見せた。札幌で開催された過去7回でも、牡馬[3-5-4-62]に対して牝馬[4-2-3-26]と、牝馬が強さを見せていたレース。今年は牡馬が人気の中心となりそうだが、警戒は怠れない。

 好走がもっとも期待できるのは、函館スプリントSの上位馬が出走してきた場合だ。函館スプリントSを勝って出走してきた馬は[2-1-3-1]で複勝率85.7%という、驚異的なほどの強さを誇っている。今年の勝ち馬であるガルボは残念ながら登録がないが、同レース2着のローブティサージュや3着のクリスマス、5着のフォーエバーマークなどが登録。クリスマスは除外対象だが、これらの馬が好走する可能性はかなり高い。

 また、スプリント戦ながら「前走最速上がり」の馬が強いのも、キーンランドCの特徴のひとつ。前走中央芝コースで最速上がり&当日4番人気以内という条件を満たした馬は、トータル[4-0-1-2]で勝率57.1%、複勝率71.4%という破格の信頼度である。登録している前走中央芝コースで最速上がりの馬は、サンカルロ、レッドオーヴァル、ローブティサージュの3頭だけだ。

 過去7回中6回の勝ち馬が4番人気以内と順当決着傾向の強いレースだけに、スノードラゴンやスマートオリオン、マジンプロスパーなどを軽くは扱えないのだが、データ面からもっとも推奨できるのは、ローブティサージュ。例年とは傾向が異なる結果が出ると見て、ここから振り回してみるのも面白そうだ。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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