1800m組には厳しいデータ
近年になるほど、前半は無理せずにタメ、勝負は最後の長い直線660mの攻防に集約されるレースになってきた。最近5年間のレースの中身は、
▽年:前後半800m=勝ちタイム(レース上がり)
▽2013年:47秒9-46秒6=1分34秒5(33秒8)
▽2012年:46秒9-46秒6=1分33秒5(34秒6)
▽2011年:48秒3-45秒5=1分33秒8(33秒1)
▽2010年:48秒3-46秒2=1分34秒5(34秒2)
▽2009年:47秒8-46秒6=1分34秒4(33秒8)
年ごとにバラつきはあるものの、すべて前半800mの方が遅いバランスの、いわゆる「スロー」。したがって、最近5年の勝ち馬13年ハープスター、12年ザラストロ、11年モンストール、10年マイネイサベル、09年シンメイフジの上がり3ハロンは、順に「32秒5、33秒4、32秒7、33秒5、32秒9」の鋭さである。
それも、シンメイフジ、ザラストロ、ハープスターの3頭は、ほとんど最後方からの大外一気の追い込みであり、「先行して勝った馬は1頭もいない」ところが最大の特徴。
今年あたり、ふつうのペースで先行して粘る馬が出現して不思議はないが、18頭のうち、逃げ切り勝ちの記録を持つのは2頭だけ。それも超スロー。やっぱり直線まで我慢して、最後のスパートに賭ける馬がほとんどか。レース後半の爆発力=エンジン全開のスピード能力こそ、多くのマイラーにとって素質の優劣なのである。
ただ、スローといっても、各馬の新馬戦ほどの超スローはないから、このレースが1600mになって過去13年、距離1800mで勝ってきた馬は「1頭も連対していない」という記録がある。流れがあまりに異なるからである。そう信用すべきデータではないが、人気の
アヴニールマルシェ以下、
ゴッドバローズ、
コメート、
ギンパリにはちょっと死角があるかもしれない。
キャリア3戦、ハイペースを経験している強みを買って
ワキノヒビキ(父オンファイア)を狙いたい。前回のダリア賞1400mの内容は、決してレベルがそう高いものではないが、渋馬場の内回りで「前半34秒5-46秒4-58秒5…」は2歳戦とすればハイペースに属する。外から一気に差し切ったワキノヒビキの上がり3ハロン「34秒8」は平凡なように映るが、スローの外回りの上がり時計ではなく、3コーナー過ぎからのカーブを入れての上がり3ハロンである。
道中のペースが違うとはいえ、先週の古馬1000万豊栄特別の1-2着馬も、2週前のNST賞1600万の1-2着馬も、内回り1400mでの上がり3ハロンは「34-35秒台」だった。最後、自身は「推定11秒5-11秒3」で猛然と差し切って上がり34秒8のワキノヒビキの記録を、スローの外回りの直線勝負を「32-33秒台」で勝った馬と比較して、見劣るとするのは正しくない。今回、上がり32秒台を求められては苦しいかもしれないが、外回りで33秒台前半なら対応できるだろう。
流れに乗れそうな
ミュゼスルタン、1800mの新馬勝ちはいやだが、新潟ではなく東京だから価値はありそうなアヴニールマルシェ、勢いにのるハーツクライ産駒の切れる
ナヴィオンが強敵。穴馬に、
ブリクスト、キャリアのギンパリ、思い切って行ったら展開有利になるゴッドバローズ。
札幌のキーンランドCは、動き絶好の3歳馬
エイシンブルズアイで大穴狙い。初めては大きな死角でも、本質はスピード型。1200mは合う可能性がある。