最終週の小倉の馬場で評価さらに上昇のゼンノイザナギ/吉田竜作マル秘週報
◆開催最終週の荒れた馬場ならデビュー前の「ダート馬」の特徴が最大限に生かせるだろう
先週の新潟2歳Sはブリクストの5着が関西馬の最高着順。ちょっと前に「関東馬の反攻」をこのコーナーで予告したが、もう結果となって表れた? 特に敗れたとはいえ、2着アヴニールマルシェのレースぶりは衝撃的だった。あれだけ外を回しながら、勝ったミュゼスルタンとはハナ差。上がり3ハロン33秒0も秀逸な数字。昨年上位のハープスター、イスラボニータのようにクラシックまで進撃してしまうかも。
一方で「昨年のピークトラム(3着)よりも自信がある」と橋口調教師が送り出したナヴィオンは6着。記者の◎ヒルノマレットはいいところなしの10着。関西の陣営は「これまでと同じではアカン」と感じたことだろう。これが刺激となり、さらに東西でしのぎを削ればもっと日本の馬のレベルも上がるはずだ。
夏の小倉開催を締めくくる小倉2歳Sは、地理的にも関西馬が主役。しかし、今年の小倉は雨の影響が大きく芝の新馬勝ちタイムは軒並み低調だ。地元の新馬戦V馬有利が2歳重賞の鉄則だが、今年は他場での勝ち上がり組、また未勝利勝ち組(抽選対象)からも目が離せない。
当欄が推すのは、まずゼンノイザナギ。デビュー前は「おそらくゆくゆくはダートを走ることになると思います。走りが力強いですから」と安田調教師は“ダート馬”とイメージしていたゴールドアリュール産駒。ただ周知の通り、この時期はダートの番組が少ない。そこで「使えるうちは芝を」となり、ここで思わぬ才能を披露することになった。
ここまでの芝3戦すべて上がり3ハロンは出走馬ナンバーワン。前走は今回と同じ舞台にも対応した。走破時計の1分08秒6はブラッククローバーと並ぶ2回小倉の2歳一番時計。そのブラックは“直接対決”で負かしているのだから、高く評価されていいはずだ。「短期放牧を挟みましたが、牧場でも順調でした。あとは何とか出られれば」と同師。開催最終週の荒れた馬場ならデビュー前の「ダート馬」の特徴が最大限に生かせるだろう。
2頭出しとなる今野厩舎のオメガタックスマンにも注意を払いたい。フェニックス賞を勝ったレオパルディナとは新馬戦でクビ差2着。「順調に調教できています。この時期の2歳としてはセンスがいいし、前走のように追い込んでもいい脚を使ってくれる。何とか出してあげたい」と厩舎スタッフも力が入る。
夏の2歳重賞、1勝馬は新馬勝ちの馬に優先出走権がある。小倉2歳Sは現時点で「6」の枠をめぐって、9頭が抽選対象。その抽選の結果次第で小倉2歳Sの展望も大きく変わってくるのは間違いない。
抽選結果が出る木曜(4日)の午後にどのようなドラマが生まれるだろうか。
願わくば、記者の注目しているこの2頭はぜひともスタートラインについてほしい。