いよいよ本格化を迎えたマーティンボロ/トレセン発秘話
◆安田助手「前走時と比べると、かなり馬はしっかりしています。この状態ならいい競馬ができると思います」
厩舎の休憩所などに張られてある番組表を見ると、管理馬に対する期待度がどれほどかわかる時がある。まだ条件馬なのに、2か月先の重賞のところに“予定”を入れているような馬は「このまま勝ち上がって重賞に挑戦するぐらいの意気込みでいるんだな」と思うし、ひと開催先の新馬戦にリーディング上位騎手騎乗が決定している若駒などは「相当に期待しているんだ」と…。
友道厩舎のマーティンボロは前走の小倉記念に出走する前から、すでに新潟記念へ参戦することが厩舎休憩所の番組表に記入されていた。休み明けの小倉記念を叩いて勝負をかけるのは新潟記念…そんな意図が見え隠れする。実際、小倉記念当時は安田助手が「エプソムCを飛節の腫れで回避して、そこから立ち直るのに時間がかかり、まだ緩さが残っています」という状態。最終追い切りに騎乗した藤岡佑も微妙なニュアンスの言葉を残しており、明らかに良化途上だった。
それが、苦手の渋った馬場ながら鋭く追い込んで2着だから驚いた。近走は苦手な道悪をこなして条件戦を勝ち上がり、坂のあるコースも問題なく中日新聞杯で重賞初制覇。さらに仕上がり途上で小倉記念好走と、陣営の期待以上の走りを見せている。これこそ、遅生まれ(8月20日)の馬がいよいよ本格化を迎えたということなのだろう。
「もう少し追い切りが欲しいな、と思っていた前走時と比べると、かなり馬はしっかりしています。この状態ならいい競馬ができると思いますよ」と安田助手。
現在、サマー2000シリーズの優勝最右翼はメイショウナルトだが、これを逆転する可能性があるのはニューダイナスティとマーティンボロだけ。マーティンの場合は勝ったうえで、ナルトが6着以下という条件(15ポイントで並んだ場合は上位着順の多いマーティンが王者)がつくが、今のデキなら逆転優勝も十分可能だろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)