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中小生産者の面白さ(須田鷹雄)

  • 2014年09月23日(火) 18時00分


◆面白いのは、日高の大手と中小牧場という2グループに分けた場合、両者の差がそう大きくはないということだ

 わけあって、HBAオータムセールに関するデータ調査をしている。

 セールにおいて価格に影響を及ぼすのは血統、次いで馬体だが、個人的には生産牧場も重要だと考えている。競走馬は生まれたときからアスリートとしての育成が始まっており、実際にはそれどころか胎内にいるときから差がつき始めている。

 母体から受け継ぐ栄養や初期・中期育成での運動量というのは後から補えるものではなく、それゆえ一部の牧場では早くからその時期の環境づくりに取り組んできた。ボディコンディションのチェックや放牧地の広大化などである。

 ただ中小の牧場になるとかけられる資金や所有する土地面積には限界もあるし、それでいて売りに出す際の外貌上の特徴は大きく変わるわけでもない。よって所与の条件に任せてしまうケースも多い。そんな中で、もともと土壌に恵まれているとか、場主が獣医で適切な飼養ができているとか、他の牧場とは違う事情でアドバンテージを持っており、結果的に見ても生産馬が走っている牧場というのもある。

 面白いのは、日高の大手と中小牧場という2グループに分けた場合、両者の差がそう大きくはないということだ。

 現3〜12歳世代で中央に在籍した馬の平地成績を調べてみると、今年の夏競馬終了時点で「社台グループ以外の内国産馬」の成績は、勝馬率が28.7%、1頭あたり賞金985万円、1走あたり賞金107万円となっている。

「日高の大手」をどう定義するかが難しいが、期間内の平地競走で生産馬が2000走以上している牧場を対象とし、実質的に大手とみなせる牧場を加えて調整した。

 それらの牧場を除いた場合の生産馬パフォーマンスは、勝馬率27.4%、1頭あたり賞金927万円、1走あたり賞金927万円。下がりはするのだが、その程度は大きくない。ファンの持つブランドイメージの差よりはずっと小さいことだろう。

 一方で、大手牧場の生産レベルというのは一定の範囲に収まるが、中小の牧場は玉石混交である。今回のオータムセールに生産馬を上場している生産者を見ても、3〜12歳世代で60頭以上が中央で走り勝馬率50%超という牧場もあれば、同じくらいのサンプル数で11.5%という牧場もある。運不運もあろうが、それだけでは片づけられない差だ。中期育成までの間になんらかの差がついていると考えたくなるところだ。

 この乖離具合は、本来ならゲームの対象としては面白いところである。POGではローカルルールとして「ディープインパクト産駒は○頭まで」といった縛りをかけるケースもあるが、例えば「過去10世代の生産馬○頭未満の生産者から1頭取る」といったルールを課すと、ゲームのスパイスになるかもしれない。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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