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勝ち上がり率の高い海外種牡馬(須田鷹雄)

  • 2014年09月09日(火) 18時00分


◆なんだかんだ言ってマル外は内国産馬全体よりは平均的な成績レベルの高いグループ

 札幌の新馬戦で持ち込み馬のタップザットが勝利し、その2週前にはマル外のイズモが新馬勝ちした。

 一時のマル外ブームは去ったが、なんだかんだ言ってマル外は内国産馬全体よりは平均的な成績レベルの高いグループであり、持ち込みは内国産の中では上位のグループとなる。それでも人気にならないのは、やはり血統に馴染みがないためだろうか。

 タップザットの父Tapitはアメリカのトップサイヤーだが、日本での成績も安定している。実際に購買する馬主にとっては高くなってキツい対象だが、いざ日本に来てしまったらPOGファンにとって購買価格は関係ない。今年の2歳はタップザットの前にはグラブザフラッグも新馬勝ちしている。

 Tapitというとテスタマッタを連想するだろうが、マル外の父は単発の大当たりよりも産駒の中央勝ち上がり率を見たほうが今後の指名には役立つ。Tapitの場合これまで13頭がデビューし11頭が勝ち上がり。残り2頭は3歳5月のデビューで、明らかに順調さを欠いていた。

 イズモの父Malibu MoonはA.P.Indy後継で今年の種付料が95000ドルと、こちらも人気種牡馬。イズモを含め14頭がデビューし10頭が勝ち上がり。未勝利4頭中3頭は牝馬。唯一の牡馬未勝利馬も障害では勝ち上がり、オープンでも連対している。最大の活躍馬はオーブルチェフ(全日本2歳優駿)で、こちらもビッグタイトルと勝ち上がり率を兼ねている。

 この2頭はいずれもビッグタイトルが先に来て後から勝馬率の優秀さが確認された例だが、小当たりを連発していたところから大当たりが出るケースもそのうち見られることだろう。

 ヤマを張ってみる(古馬での成功例はあって、POG期間内の大当たりがない種牡馬)と……

種牡馬    出走-勝ち馬 勝馬率  2014種付け料 2歳登録数
Ghostzapper   5- 4    80.0%  50000US$   1頭
Songandaprayer 14-10    71.4% 5000US$   0頭
Speightstown 10- 8 80.0% 80000US$   1頭

 Songandaprayerの種付料が5000ドルまで値下がりしていたことを知らず、調べたときには二度見してしまった。産駒もセールの平均価格が3万ドルくらいになっているようで、日本人には狙い目かもしれない。輸送費+関税とのバランスは悪いが、HBAセレクションセールでもちょっと気の利いた馬を買ったらトータルコストは同レベル。そう考えると悪くない。

 ところで、こういった種牡馬の問題は「そもそも日本に来ている産駒数が少ない」ということである。先述3頭もご覧のように1、0、1頭だ。やはりこれまでの成績が良いHenny Hughesのように父自身が日本へ輸入されると産駒はもちろんぐっと増えるが、今度は繁殖牝馬の平均レベルという問題も出てくる。そう考えると、やはり「居るうちに指名候補にしておこう」という気になるのである。

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