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目標は桜花賞、名牝エリモピクシーの娘レッドベルダ

  • 2014年09月24日(水) 12時00分
デルマヤブラコウジ(牝 栗東・荒川義之 父ジャングルポケット、母サトルスマイル)
 母サトルスマイルはマンハッタンカフェの半妹にあたる良血。現役時代は1勝を挙げるにとどまったが、繁殖牝馬としてはミッキースマホ(父アサクサデンエン/準OP)、ジャングルスマイル(父ジャングルポケット/10年白山大賞典-JpnIII・2着)を出している。本馬はジャングルスマイルの全妹。マンハッタンカフェの母サトルチェンジの牝系はジャングルポケットと相性がよく、ほかにアプリコットフィズ(10年クイーンC-GIII、10年クイーンS-GIII)、ダービーフィズ(13年セントライト記念-GII・2着)が出ている。芝中距離でいいところがありそうだ。

バンゴール(牝 美浦・尾関知人 父キングカメハメハ、母ローザブランカ)
 母ローザブランカは現役時代に芝1800mで3勝を挙げた中距離馬だった。セールスポイントはその良血で、半弟ローズキングダムはジャパンC(GI)と朝日杯フューチュリティS(GI)の覇者。2代母ローズバドはフィリーズレビュー(GII)とマーメイドS(GIII)を勝ったほか、GIでも2着を重ねた追い込みの名牝。本馬の父はキングカメハメハなので、ローズキングダムとは4分の3同血(父が同じで母同士が親子)の関係にある。母の父にパワー型のクロフネが入っているものの、俗に「薔薇一族」と呼ばれるこのファミリーには独特の柔らかさがあるので芝向きに出るはず。1600〜2000mあたりがベストだろう。

ヒロフォーシーズン(牡 栗東・羽月友彦 父ハーツクライ、母ラブレター)
 リアルヴィーナス(父ネオユニヴァース/13年ファンタジーS-GIII・5着)、クレスコモア(父マンハッタンカフェ/3勝)の4分の3弟。Danzig、Mr.Prospector、Damascus、Nijinskyを併せ持つハーツクライ産駒なので、ダービー馬ワンアンドオンリーと配合構成が似ている。DanzigとMr.Prospectorを併せ持つハーツクライ産駒には他にオークス馬ヌーヴォレコルトがおり、晩成傾向がある同産駒を3歳春に開花させる鍵となる血ではないかと思われる。ベストディスタンスは1600〜2000mあたり。

レッドサヴァージ(牡 美浦・二ノ宮敬宇 父ステイゴールド、母ヒカルラフィーネ)
「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせは、ドリームジャーニーとオルフェーヴル兄弟、ゴールドシップ、フェイトフルウォーを出している有名なニックス。本馬はそれらと同じくノーザンダンサーのクロスを持っており、なおかつハイペリオンをベースとした底力満点の配合なので評価できる。母ヒカルラフィーネは現役時代4戦未勝利で、しかも繁殖牝馬として送り出した3頭は現時点でいずれも未勝利。全姉ステイバンクも5戦未勝利で引退した。本馬は牡で、前記の活躍馬はすべて牡だったので姉とは違った結果が出るのでは、という期待が掛けられる。二ノ宮調教師は過去にナカヤマフェスタ、ナカヤマナイトというステイゴールド産駒の大物を手掛けている。この点は心強い。

レッドベルダ(牝 栗東・安田隆行 父ディープインパクト、母エリモピクシー)
 リディル(父アグネスタキオン/11年スワンS-GII、09年デイリー杯2歳S-GII)、クラレント(父ダンスインザダーク/11年デイリー杯2歳Sなど重賞6勝)、レッドアリオン(父アグネスタキオン/13年ニュージーランドT-GII・2着)の4分の3妹、サトノルパン(14年ファルコンS-GIII・2着)の全妹にあたる。母エリモピクシーはエリモシック(97年エリザベス女王杯-GI)の全妹で、姉よりも距離適性は短く、1600〜1800mぐらいがベストだった。テスコボーイが強く出ていたものと思われる。そのため産駒は総じてマイル前後で良績を残している。本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ3×2という相似な血のクロスの持ち主。スマートレイアー(14年阪神牝馬S-GII)、アヴニールマルシェ(14年新潟2歳S-GIII・2着)も同じクロスを持っている。桜花賞向き。

ロードユアソング(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母レディバラード)
 全兄ダノンバラードはアメリカジョッキークラブC(GII)、ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII)の勝ち馬。2代母Angelic Songは、Glorious Song、Devil's Bag、Saint Balladoなどと全きょうだいの関係にある良血で、父ディープインパクトはこれらの血ときわめて相性が良い。これらのうちどれかを母方に抱えた産駒はJRAで23頭が出走し、全兄ダノンバラードをはじめヴィルシーナ、フレールジャック、マーティンボロ、アダムスピーク、アトム、タイセイドリームなどの活躍馬が出ている。仏1000ギニー(G1)を制したBeauty Parlourもこの血を持っている。兄同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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