◆今回は、どんな種牡馬の仔が「小さくても大丈夫」なのか調べてみた
原稿仕事の合間にオータムセールの測尺を見て、「小さっ」とかボヤている今日この頃。今回のテーマは「小さい馬」にしてみようかと思う。
セールにおいては、購買関係者が色々と理屈を述べるものだが、結局のところ大きい馬が売れやすい傾向にある。反対に言えば、小さい馬は人気がない。ディープインパクトが一声で落札されたとか、プリンセスメモリーが同世代の千葉セリ上場社台ファーム生産馬で唯一の主取り馬だったとか、小さかったセリ馬にはいろいろと伝説もある。
POGでも2歳春時点で小さめな馬はどうしても人気が出ないものだが、そんな中から活躍馬が出ることもある。今回は、どんな種牡馬の仔が「小さくても大丈夫」なのか調べてみた。
対象とするのは現3〜12歳世代の2歳時成績。あまりサンプルが少なくなってもいけないので、430キロ以下での出走時成績をまとめてみた。勝率と複勝率はクラスを無視したものなので補助的な指標として見ていただき、走りっぷりの目安としては1走あたり賞金を参考にしていただくと良いと思う。
種牡馬 着度数 勝率 複勝率 1走あたり賞金 父最高体重
ディープインパクト 22- 20- 15- 94/151 14.6% 37.7% 218万円 452
ステイゴールド 21- 24- 15-297/357 5.9% 16.8% 120万円 436
キングカメハメハ 14- 12- 12-121/159 8.8% 23.9% 96万円 504
サクラバクシンオー 12- 18- 15-106/151 7.9% 29.8% 126万円 504
スウェプトオーヴァーボード 12- 14- 11-183/220 5.5% 16.8% 74万円
タニノギムレット 11- 20- 19-252/302 3.6% 16.6% 58万円 480
アグネスタキオン 11- 13- 13- 64/101 10.9% 36.6% 133万円 500
ダンスインザダーク 11- 9- 11- 91/122 9.0% 25.4% 114万円 506
クロフネ 11- 9- 10- 96/126 8.7% 23.8% 108万円 520
スペシャルウィーク 10- 11- 12-113/146 6.8% 22.6% 90万円 486
ダイワメジャー 10- 6- 5- 52/ 73 13.7% 28.8% 139万円 546
ブライアンズタイム 10- 3- 10-103/126 7.9% 18.3% 82万円
トワイニング 8- 6- 4-115/133 6.0% 13.5% 71万円
ハーツクライ 8- 6- 4- 49/ 67 11.9% 26.9% 146万円 500
マヤノトップガン 8- 4- 4-156/172 4.7% 9.3% 47万円 472
マイネルラヴ 7- 8- 8-124/147 4.8% 15.6% 69万円 514
ネオユニヴァース 6- 8- 11-149/174 3.4% 14.4% 50万円 500
ジャングルポケット 6- 7- 9-125/147 4.1% 15.0% 66万円 478
フジキセキ 6- 6- 9- 69/ 90 6.7% 23.3% 93万円 508
アドマイヤマックス 6- 6- 7- 85/104 5.8% 18.3% 68万円 490
日本で走った馬は父の最高体重も添えてみた。ディープインパクトとステイゴールドの成績が良いことは分かっていたので父のサイズと相関があるのか知りたかったのだが、あまりその気配は無い。むしろ、種牡馬ごとの問題のようだ。
ネオユニヴァースが悪いのは、牝馬が足を引っ張っているものと想像できる。いい意味で意外だったのはダイワメジャーで、自身も産駒の多くもボリューム感があるのだが、小さい産駒も走っているようだ。ハーツクライも小さい産駒のリスクが小さい。ただハーツはものすごい人気になっているところなので、実際のセリで狙うとしたらメジャーのほうだろう。
グループとして法則性があるのはロベルト系で、総じて小さい産駒の2歳成績は奮わない。総大将のブライアンズタイムはまだいいとして、タニノギムレットやマヤノトップガンは、430キロ以下全馬の平均(1走あたり賞金63万円)を下回っている。ちなみにシンボリクリスエスは34万円、グラスワンダーに至っては22万円。ロベルト系の平均は50万円で、サンデーサイレンス系の74万円よりだいぶ低い。
セリで上場馬を見るときにはよく父母のサイズが引き合いに出されるが、こうして見ると別な切り口も必要なように思える。POGにおいても同様である。