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外国産2頭で“夢を追う”中竹厩舎河嶋助手/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年10月15日(水) 18時00分


◆「未知なる夢では腹は膨らまない」が独身の若いスタッフはまだ身軽だけに夢を追える

 デビュー前の2歳馬は我々競馬記者だけでなく、当事者でもある調教師やスタッフのテンションをも上げる存在だ。「デビューするまではみんなダービー馬」という言葉がその高揚感をよく表している。記者も若い時などは「血統のいい新馬ばかり担当できていいじゃないですか」などと関係者に軽口を叩いたものだ。いやはや、今となってはお恥ずかしい限り。もちろん厩舎スタッフにとって未来が詰まった2歳馬の存在はうれしくないはずがないが、あくまで時と場合による。

 現在は厩舎スタッフが特定の担当馬を持たない「プール制」(簡単に言うと厩舎で稼いだ賞金を均等に分配)が広まってきたとはいえ、やはり基本にあるのはスタッフが1頭ないし、2頭を担当するスタイル。仮に一人のスタッフが新たに2歳馬を担当するとしよう。入厩からデビューまではゲート試験なども考慮すると、早くても1か月はかかる。「基本給+賞金の分配金」がトレセンで働く人間の収入となるのだが、このケースでは最低でも1か月は収入のうちの「賞金分」が入らないことになるのだ。

 最終的に担当した馬がデビューできればまだいいが、ソエやストレスなどで牧場へUターンということも多々ある。さらに代わりが「また新馬」となると、再び基本給だけの生活を強いられることに。実際に「こちとら半年も競馬に使えてない」などとこぼす関係者も結構少なくない。

 もちろん、管理する調教師などはこうしたスタッフの事情を考慮して担当馬を振り分けている。それでも近年はオーナーサイドの“声”が大きくなり、調教師の思惑通りに馬の入れ替えができないケースも増えているのがまた厄介。「条件戦でコンスタントに使えて、コツコツ稼いでくれる馬の方がいい」と口にする関係者が数多くいるのもまた現実。「未知なる夢では腹は膨らまない」のだ。

 その点、独身の若いスタッフはまだ身軽だけに夢を追える。中竹厩舎では河嶋助手がまさにそれに当たろうか。大黒柱のダコールが放牧中とあって、現在はデビュー前の2頭の2歳馬を担当。そのうちの1頭が次週26日の東京ダート1600メートルでデビューを予定している外国産馬アヴェーヌモン(牡=父Lantana Mob、母Princes Melissa)だ。

「今の(担当している)2頭を好みで言えばこっちかな」と河嶋助手。先週の坂路では4ハロン55.2-12.8秒と上々のタイムをマークしており、このまま順調にいけば新馬戦から好勝負になりそうな雰囲気だ。

 ちなみに同じく外国産馬のもう1頭、エルブダムール(牡=父Unbridled's Song、母Only First Class)は「バネの利き方とかはいいので、先々はこっちの方が走ってくるかも」と将来性を評価していた。

 今の稼ぎはなくとも、彼にも愛馬にも計り知れない未来があるし、体質の弱かったダコールを辛抱強く育て上げた“腕”もある。この新馬2頭が河嶋助手の助けを借りてどう化けていくのか。「恐らくどちらもダートの短いところかな」とは中竹調教師だが、もちろん、そうした予測すら超えて大きく羽ばたく可能性を秘めている。

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