◆ラクティを落ち着かせたイナズマの功績
今、この人と一緒にトレセン内を歩くと、こっちまで気分が良くなってしまう。18日の豪GIコーフィールドCを見事に制したアドマイヤラクティを管理する梅田智調教師だ。
22日に帰国したというトレーナーを待ち受けていたのは関係者からの祝福ラッシュ。「おめでとう」「すごいやんか」…こんな言葉を隣でずっと聞いていると、自分ではないと分かっていても、そりゃ気持ちいいものだ。
「なんでこっちで勝てんのやろ(笑)…ってぐらい強い競馬だったね」とはトレーナー。現地の検疫での調整は硬いダートコースだけ。「故障した馬が5頭も出たぐらい」という大変な状況だったようだが、「天皇賞・春(13着)が終わった時点で、遠征から逆算してこっちである程度体をつくっていったからね。全てがうまくいった」。
そして、この快挙の陰の立役者として、師が絶賛したのが帯同馬アドマイヤイナズマの存在だ。遠征中、インターネットのサイトにアドマイヤラクティに乗りかかるイナズマの画像が流れたりもして「こんな写真を載せるなんて…」と不満な表情を見せていたものだが、「そんなこともあったけど、あの馬がいたことでラクティがいつもの落ち着きを持ってレースに臨めた。レース当日もイナズマが隣にいてくれたことが大きかったと思う」。
もちろん、次の大目標であるメルボルンC(11月4日=フレミントン競馬場、芝3200メートル)も当日の違うレースに出走させて、ラクティに帯同させるプランだ。
「自身が出走したレース(ムンガS14着)はいいところがなかったけど、それ以外のところでイナズマが大活躍してくれた。この馬がいなければコーフィールドCの勝利もなかったよ」
改めて海外遠征における帯同馬の重要性を考えさせられた。
(栗東の坂路野郎・高岡功)