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『勝ちにいったね』見せ場十分だった秋華賞のレース回顧

  • 2014年10月28日(火) 18時00分
小牧太

秋華賞では、見せ場十分の3着! だからこそだと思いますが、レース後の小牧騎手はいつになく悔しそう…


タガノエトワールで挑んだ秋華賞では、見せ場十分の3着! だからこそだと思いますが、レース後の小牧騎手はいつになく悔しそうでした。今回は、その秋華賞のレース回顧とタガノエトワールのお話を中心に、今週アルテミスSに出走するシングウィズジョイについても感触をうかがいました。
(取材・文/不破由妃子)


一瞬でも“勝った!”と思ったから、余計にガックリやわ

──今週は、「秋華賞の回顧を」というリクエストがたくさんきておりまして。結果は残念ではありますが、すごくいい競馬だったと思います。 

小牧 あれねぇ、内枠だったら勝ってたかもしれん。4コーナーでは「勝った!」と思ったんやけど、直線の真ん中でパタッと止まった。やっぱり、ひと脚しか使えんのやね。

──勝った浜中さんも、まったくロスのない完璧なレースでしたからね。

小牧 そうやね。4コーナーでの浜中の動きを見て、「ここから内に行くのか!?」と思ったよ。詰まるんちゃうかと思ってたけど、うまく抜けたよね。勝つときはそんなもんなんやなぁ。

──レース後は、悔しさを全面に出してらっしゃいましたね。

小牧 うん。一瞬でも勝ったと思ったから、そのぶん余計にガックリきた。勝ったと思うのが早かったわ(笑)。「ああ、これ勝つわ」とホントに思ったからねぇ。かわされたら一気に力が抜けた。

──ユーザーからの質問で、「位置取りも良く、スムーズなレース運びだったように思います。あれは勝ちにいったぶんの3着と考えてよいのでしょうか」と。

小牧 うん、勝ちにいったね。でも、わからんねんなぁ…。もうちょっとゆっくり行ってたら勝ってたんかなぁ、いや、勝ってはいないね。ゆっくり行っても2着までやな。前の日にね、たまたま曾和先生に会ったんですわ。そのときに、「慌てて乗るなよ」って言われて。ずっとその言葉が頭の中にあるんやけど、仕掛けが早かったのかどうなのか…、自分でももうひとつわからんねん。でも、自分がどう乗ろうと、浜中が勝ってたのは間違いないね。ん〜、ホンマにわからん。何が正解なのか。

──ちなみにレース後、曾和先生とはお話されましたか?

小牧 してない。「(仕掛けが)早い!」って怒られそうやから(笑)。でも、電話してみよ。

──GIで馬券に絡んだのは、2012年のNHKマイルC(クラレント3着)以来でしたね。

小牧 そうやねぇ。そういえば、僕がGIを最後に勝ったのは何年やったっけ? 

──2009年の朝日杯フューチュリティS(ローズキングダム)です。

小牧 そっか、まだ5年しか経ってへんのか。昨日、ペロヴィッチたちとご飯を食べに行ったんやけど、「GIはもう7、8年勝ってないからねぇ」なんて話をして。嘘をついてしまったわ(笑)。

──思いっ切り嘘ですね(笑)。それにしても、9月に未勝利を勝ったばかりの馬が、その1か月半後にはGIで際どい3着にくるんですから、これからが楽しみですね。

小牧 もともとすごく期待していた馬だったみたいやで。ちょっと弱いところがあったんでしょうね。前にも話したけど、ローズSの前に川田も「この馬、やれると思いますよ」って言ってたくらいやから。まだまだ良くなるやろうし、なんせ僕自身、どういう乗り方をすればいいか、2回乗ってわかってきたところがある。

──どんなところに素質や能力を感じさせる馬ですか?

小牧 小さくて細いんやけど、けっこう馬力があるんですわ。そうやなぁ、調教は乗ったことないけど、返し馬で“いいなぁ”と思わせてくれるような馬。2戦乗って作戦は立てやすくなったけど、この先、僕が乗れるかどうか。そればっかりはわからんね。

──次はエリザベス女王杯という報道もありましたが、賞金的に厳しそうですね。

小牧 うん。登録はするけど、入らないんちゃうかって言ってた。

──この秋は、関東圏への遠征が多いですね。

小牧 そうやね。レッドアリオン(富士S3着)、シングウィズジョイ(アルテミスS)と続くね。毎日王冠がアカンかったから、なんとか走ってもらいたいね。そこで結果を出せれば、またGIへつながっていくわけやし。シングウィズジョイは今日追い切ったけど、すっごくいい動きやったわ。メンバーは強いけどね。

─でも、野路菊Sでダノンメジャーの2着ですから、牝馬同士なら間違いなく勝ち負けですよ。

小牧 うん、チャンスやと思ってる。男馬はダノンメジャー、女馬はシングウィズジョイで春までいけたらいいなぁ。桜花賞というより、オークスタイプやな。結果を出さなければ、すぐに乗せ替えられてしまう時代やからね、なんとか勝ちたいね。

小牧太

結果を出さなければ、すぐに乗せ替えられてしまう時代やからね、なんとか勝ちたいね



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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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