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とにかく瞬発力重視で!/阪神ジュベナイルF

  • 2014年12月10日(水) 18時00分
■阪神ジュベナイルF(G1・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】阪神芝1600m外 Aコース使用

・コース回収率
 [標準] 単勝71%・複勝77% 人気馬も強いが中穴激走率の高さに注目!

・馬連万馬券出現率
 [高め] 14.7%(平均値↑2.3% 馬連平均配当6916円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 4.8% 連対率 9.0% 複勝率12.4% 複回率 45% 枠番値-0.5
 [4枠〜6枠] 勝率 5.3% 連対率10.6% 複勝率17.2% 複回率 83% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 6.6% 連対率13.8% 複勝率20.4% 複回率 91% 枠番値+0.4
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 5.3% 連対率 9.2% 複勝率13.1% 複回率 58% 枠番値-0.2
 [10番〜18番] 勝率 5.8% 連対率13.1% 複勝率20.3% 複回率 88% 枠番値+0.2
 →単純に内外で比較しても連対率や複勝率の差は歴然。外のほうがいい。

・上がり3F順位別成績(1000万下〜重賞)
 [1位] 勝率25.0% 連対率43.8% 複勝率60.0% 複回率187%
 [2位] 勝率14.7% 連対率33.3% 複勝率49.3% 複回率136%
 [3位] 勝率17.6% 連対率33.8% 複勝率44.6% 複回率183%
 ───────────────────────────────
 [1位〜3位] 勝率19.2% 連対率37.1% 複勝率51.5% 複回率169%
 [上記以外] 勝率 3.1% 連対率 6.7% 複勝率11.3% 複回率 63%
 →上がり3Fさえ速ければ上のクラスでも勝ち負けになるコース

・脚質別信頼度
 差し>先行>追込>逃げ 1着馬については差し優勢だが前も相応に残る

・推定ラップ&タイム
 [底力] 34.8-24.7-34.5=1.34.0 2歳牝馬戦ながら激流となるケースもある

 昨年、要約すると「よくわかりません」と述べた、阪神芝1600mのレース傾向。コース形態や騎手のコメントからは確実に内有利&外不利と思われるのだが、実際にデータを調べてみると、結果としてはどう見ても、外のほうが有利なのである。これがミステリであれば、探偵役が「誰かが嘘をついている!」とコメントしそうなところだ。

 結論から先に言ってしまえば、やはりこのコースは外のほうが有利。単純に内外を比較したデータにおいて、連対率で約4%、複勝率では7%以上という大きな差が出ている以上、たとえ理屈として不自然であろうとも、認めないわけにはいかない。競馬というものが、いかに多くのファクターによって成り立っているかを、再認識させられた。

 おそらく、ファンが思っている以上に馬群のインがゴチャつきやすいのだろうし、瞬発力の要求度が非常に高いコースであるのも、大きく影響しているはず。速い上がりを使えることが、このコースでいかに大きな武器となるかは、「上がり3F順位別成績」のデータをご覧の通り。机上の空論だが、最速上がりの馬が読めるだけで大儲けできてしまう。

 そういった特性のコースであるため、基本的には差し優勢。ただし「ものすごく」差し優勢かといえばそんなことはなく、ペースや展開次第で、前もあっさり残る。上のクラスで逃げ切るのはかなり難しいが、先行勢に関しては、人気薄でも激走の余地は十分アリ。また、直線が長いので追い込みも届くが、過信は禁物である。

【参考レース情報】阪神ジュベナイルF(G1) 過去8年
・レース平均配当
 単勝695円 馬連6605円 3連複6万7433円

・1番人気馬成績
 [2-2-1-3] 勝率25.0% 連対率50.0% 複勝率62.5%

・3番人気以内馬成績
 [4-3-3-14] 勝率16.7% 連対率29.2% 複勝率41.7%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [4-2-2-16] 勝率16.7% 連対率25.0% 複勝率33.3%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [0-2-2-20] 勝率 0% 連対率 8.3% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-70] 勝率 0% 連対率 1.4% 複勝率 2.8%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 0% [差し] 87.5% [追込] 12.5%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 4.2% [先行] 20.8% [差し] 54.2% [追込] 20.8%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 4.2% 連対率10.4% 複勝率14.6% 複回率 41% 枠番値-0.2
 [4枠〜6枠] 勝率 4.2% 連対率14.6% 複勝率20.8% 複回率123% 枠番値+0.1
 [7枠〜8枠] 勝率 8.3% 連対率 8.3% 複勝率14.6% 複回率 43% 枠番値+0.1
 ─────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 4.2% 連対率12.5% 複勝率16.7% 複回率 78% 枠番値±0
 [10番〜18番] 勝率 6.9% 連対率 9.7% 複勝率16.7% 複回率 60% 枠番値±0

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-4-4-38 連対率10.6% 複勝率19.1%
 [栗東] 7-4-4-82 連対率11.3% 複勝率15.5%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 0-0-0-14 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1400m] 1-5-5-51 連対率 9.7% 複勝率17.7%
 [芝1600m] 4-3-3-41 連対率13.7% 複勝率19.6%
 [芝1800m] 3-0-0-8 連対率27.3% 複勝率27.3%
 [芝2000m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G2] 1-1-1-6 連対率22.2% 複勝率33.3%
 [中央G3] 2-4-2-37 連対率13.3% 複勝率17.8%
 [OP特別] 0-0-1-21 連対率 0% 複勝率 4.5%
 [500万 ] 3-2-2-37 連対率11.4% 複勝率15.9%
 [未勝利] 1-0-0-9 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [新馬戦] 1-1-2-9 連対率15.4% 複勝率30.8%

・前走上がり3F順位別成績
 [1位] 勝率 9.8% 連対率19.6% 複勝率27.5% 複回率 89%
 [2位] 勝率12.5% 連対率20.8% 複勝率29.2% 複回率 85%
 [3位] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 0% 複回率 0%
 ──────────────────────────────
 [2位以内] 勝率10.7% 連対率20.0% 複勝率28.0% 複回率 88%
 [3位以下] 勝率 0% 連対率 1.5% 複勝率 4.4% 複回率 49%

・注目出走パターン
 [絶好] 前走外回りコースで上がり3F順位2位以内(連対率36.4%、複勝率40.9%)
 [必要] 前走4着以内かつ前走上がり順位2位以内(連対率20.8%、複勝率29.2%)
 [買い] 関東所属ジョッキーへの乗り替わり(複勝率28.6%、複回率320%)
 [不振] 馬体重439キロ以下馬(2-0-2-38)
 [不振] 関西所属ジョッキーへの乗り替わり(0-2-2-38)
 [不振] 前走上がり3F順位が3位以下(0-1-2-65)
 [全滅] 前走5着以下馬(0-0-0-38)
 [全滅] 着差0.6秒以上にて敗北(0-0-0-34)

 外回りコースでの開催となった2006年以降の過去8年、このレースを制した馬はすべて5番人気以内。当然、単勝平均配当は695円とかなり低めであり、頭が大きく紛れる性質のレースではないといえる。しかし、単純に人気馬が強いわけではなく、3番人気以内馬が[4-3-3-14]であるのに対して、4番人気〜6番人気馬[4-2-2-16]と、成績に差はほとんどなし。中穴ゾーン狙いのスタンスが、もっとも効率がいいといえそうだ。

 続いて脚質だが、勝ち馬はすべて差し&追い込みと、完全に差し優勢。これは、前哨戦よりも格段に厳しい流れになるケースが多いのが、大きく影響しているのだろう。4コーナー10番手前後がこのレースの「勝ちポジ」で、逃げ&先行からの勝ち負けはかなりキツそう。「差し→差し&追い込み」または「差し→先行」での決着を想定しておきたい。

 枠番別データでは大きな差が見られないが、勝率がもっとも高いのは、やはり外枠である7枠〜8枠。枠番に評価の序列をつけるなら「外→中→内」の順番となりそうだ。内枠だからダメというほどではないが、中〜外に入った馬のほうが、レースはしやすいはず。より具体的にいえば「5枠〜7枠から中団の位置が取れる馬」が良さそうだ。

 今年は2歳戦の番組が再編成されているのでアテにはしづらいが、ファンタジーS組などの「前走1400m以下戦組」については、今年も引き続き期待薄となるはず。芝1600m以上の距離、できれば直線の長いコースで速い上がりをマークしていた馬が中心であるのは、間違いない。前走での上がり3F順位はかなり重視すべきで、これが3位以下だった馬は、トータル[0-1-2-65]と大不振。好走は望み薄と考えたほうがいい。

 そのほかにも好走条件は数多く存在するのだが、ちょっと面白いのが「馬体重」というファクター。ディープ産駒のデビュー以降は扱いを変えるべきなのかもしれないが、当日の馬体重439キロ以下の小柄な馬は、トータル[2-0-2-38]で連対率4.8%、複勝率9.5%と信頼度が非常に低い。今年はコレに該当する馬がけっこう多いと思われるので、頭のすみっこに入れておいて損はない……と思う。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコース。時計はそれほど速くはなく、適度にパワーも要しそう。

・天候予測
 中間で降雨はあるが週末は晴れ模様。良馬場前提での予想で問題なし。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率16.7% 連対率29.0% 複勝率40.5%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ダイワメジャー産駒○、ステイゴールド産駒▲、ハーツクライ産駒△、ファルブラヴ産駒△

 ディープインパクト産駒が「一強」といえるほどの強さを見せている当コース。出走数の多さを考えると、複勝率40.5%は驚異的な数値である。また、ダイワメジャー産駒も連対率22.0%、複勝率32.1%と、適性の高さはなかなかのもの。意外なところではファルブラヴ産駒も好成績で、あとはステイゴールド産駒やハーツクライ産駒なども、プラス評価の対象となった。

 現在の馬場については、やや前有利&内有利といった塩梅で、この傾向は今週末も継続しそう。例年よりも少し時計を要しているので、末脚一辺倒型の配合よりも、どこかに少し重さが感じられる血が入っているようなタイプのほうが向きそうだ。血統の字面だけでいえば、ステイゴールド×デインヒルのココロノアイや、母母の血が重厚なコートシャルマンやショウナンアデラあたりか。

★総論×各論

 このコースで勝ち負けするために、瞬発力がいかに重要であるかは繰り返し述べた通り。ディープインパクト産駒が異様に強いというのも、その証明に他ならない。そして阪神ジュベナイルFは、こういったコースの傾向が、結果にキッチリ反映されているレース。鋭い差し脚が使えるかどうかで、勝負が決まるといっても過言ではない。

 しかし、今年の登録馬を見ると、前走での上がり3F順位が「2位以内」である馬が、意外に少ないのだ。この条件をクリアしているのは、アルマオンディーナ、アローシルバー、オーミアリス、コルボノワール、コートシャルマン、ペルフィカ、レッツゴードンキ、ロカの8頭。ちなみに、上がり順位が3位だった馬は6頭である。

 また、前走で芝の1600m以上戦を使われてきた組は9頭で、前述の「上がり3F」条件も満たしているのは、アローシルバー、コルボノワール、ペルフィカ、レッツゴードンキ、ロカの5頭だけ。つまり、賞金的に出走が確実な馬では、レッツゴードンキしかこれらの好走条件を満たさない──ということになる。

 そういう事情もあり、トップ評価はレッツゴードンキに。これまで好走実績のないアルテミスS組だが、過去2年分しかデータはないわけで、あまり気にする必要ナシ。重賞での好走実績や芝マイル以上戦での実績など、プラス評価できるファクターの多さはかなりのもので、ここは素直に上位評価しておきたいところだ。

 しかし、抽選待ちの馬を含めてよければ、評価はロカのほうが上。1戦1勝馬ながら、「芝1800m外回りを最速上がりで1番人気に応えて快勝」という臨戦過程は申し分なく、馬格や鞍上の継続騎乗予定など、それを後押しする材料も豊富。もし出走してきた場合には、高く評価してしかるべきだろう。

 三番手評価に、アルテミスSの勝ち馬であるココロノアイ。前走上がり順位は4位以下だが、自分から早めに動いて押し切ったという強い内容で、2走前には未勝利戦を最後方から一気の脚で差し切っている。血統面でも後押しがあり、鞍上の乗り替わり予定もナシとなれば、自然「買い」ジャッジとなる。

 人気薄となりそうな組では、四番手評価であるペルフィカが面白そう。ファンタジーSは8着に敗れたが、その際は上がり順位2位の末脚を見せている馬。前走の白菊賞も、破れはしたが上がり順位は2位と、コンスタントにいい脚を見せている。中穴人気に推されるようであれば、思い切ってここから入るのもアリかも。ぜひ、抽選をくぐり抜けてもらいたい1頭である。

 ここまでが上位評価組で、以下はコルボノワール、コートシャルマン、ショウナンアデラ、アローシルバー、アルマオンディーナ、ダノングラシアス、ロッカフラベイビーという評価順。この中で抽選をクリアし、さらに「5枠〜7枠から中団の位置が取れる」中穴人気の馬を重視する方針で、最終的な結論を出したい。

■チャレンジカップ(G3・阪神芝1800m外)フルゲート18頭/登録15頭

 レース名から「朝日」の二文字が消えて、62年ぶりに「チャレンジカップ」となったこのレース。たった二文字の有無で、これだけでまったく別のレースに感じてしまうのだから不思議なものだ。12月施行やハンデ戦への変更にすらまだ慣れていないのに、名前まで変わるのか……と、オールドファンとしては少しボヤきたくなってしまう。

 過去2年のデータなど「まったく」アテにはならないが、ハンデ55.5キロ以上馬が全滅している点は、重視しておきたいところ。馬券に絡んだ6頭すべてが斤量54キロ〜55キロであったことを考えると、ここはハンデが軽すぎても重すぎてもダメだと思われる。無敗の5連勝中であるエイシンヒカリは、ちょっと買いづらいか。

 また、継続騎乗で3着以内に来た馬が1頭もいないことや、4歳〜5歳の信頼度が高いレースであることなどから考えると、意外に面白そうなのがバッドボーイ。あとはウインフルブルーム、アズマシャトルの2頭も好走可能と見て、注目馬にあげておきたい。

■カペラS(G3・中山ダ1200m)フルゲート16頭/登録54頭

 2008年に創設され、今年で7年目を迎えるカペラS。1番人気馬は[0-1-0-5]とさっぱりアテにならず、3番人気以内馬のトータルも[2-3-1-12]とイマイチな成績に終わっている。しかし、ふたケタ人気の大穴も[0-1-1-38]と激走率はそれほど高くはなく、真にアツいのは4番人気〜9番人気あたり。いずれにせよ、けっこう波乱含みのレースである。

 年齢別では、4歳〜6歳が[6-6-5-54]と好調であるのに対して、それ以外は[0-0-1-22]と明らかに低調な成績。また、前走重賞組も成績不振で、JBC出走組も絶不調と、前走で走っていたレースの「格」が結果にまったく影響していない印象である。オープン特別や準オープンを使われてきた組のほうが信頼度が高いなど、格よりも勢いが重要なレースといえそうだ。

 あとは、前走で「適度に速い末脚」を使っていた馬が好調であるのも、意識しておきたいファクター。人気サイドではダッシャーワン、穴馬からはランウェイワルツを、現時点での注目馬にあげておこう。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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