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1強ムードのAJCC、「展開次第で面白い馬」とは!?

  • 2015年01月23日(金) 18時00分


◆「出走頭数の多さ」というリスク

 今年のAJC杯はなんといってもゴールドシップがポイントだが、これが普通の強い馬ならともかく、走るか走らないかやってみないと分からないゴールドシップというところがまた厄介だ。

 同馬は有馬記念でもっと位置を取っておけばよかったという悔いが鞍上にもあるようだから、今回前付けも考えられる。そうなるとリスクは下がるが、一方で後攻めになると出走頭数の多さがリスクになってくる。ここでまた、「前付けしようとしてもできないことがある馬」だという点が問題になってくる。どれだけ考えても厄介な馬である。

 個人的には、その力量を認めつつ、しかしゴールドシップ自体にオッズ的なうまみは無い(全ファンの注目を集めるので、過小人気にはならない)と考え、敢えて2着付けのほうを強調した買い方にしてみようかと考えている。ただ、基本的にAJC杯では有馬記念組が強いので、この馬を蹴った馬券は考えられない。

 2番人気はフェイムゲームか。実績は十分だが、馬場は昨年の中山のほうが向いていたようにも思う。脚質もこの頭数ではリスクで、この馬が届いているときはゴールドシップも届いていそう。本命党向きの選択肢となる。

 エアソミュールは逆に、昨年の中山記念時は馬場が極端すぎたので、いまくらいの馬場のほうがベターか。積極的に前に行くタイプではないが、5〜6番手あたりが取れれば面白い。これまでは2000m以下に出走することがほとんどだったが、距離そのものは2200mもこなせるはずだ。

 クリールカイザーは安定味があるのでなんらかのシルシは回したいところ。上がりが速くなると対応できないので、速めに捲るような競馬が望ましい。ただ今回は頭数が多くなっているので、コーナーで仕掛けると派手に距離損をする危険もある。3角手前の緩やかな曲線部分で仕掛けると面白い。

 展開次第で面白いのがディサイファ。ここ2走はさすがに相手が悪かったが、天皇賞は着差的にはそうひどくはない。条件馬時代のように先行する競馬を試すとチャンスは増すと思うのだが、ここまで脚質転換してきた以上、それは望みづらいか。

 ショウナンラグーンはまだ若いという点で伸びシロはあるのだが、いかにも受身な脚質が中山では苦しいところ。相手も強い今回だけに、展開恵まれて3着、くらいかと見る。

 先行タイプが不足している今回だけに、注目したいのがミトラ。初距離はもちろんリスクだが、距離の額面だけスタミナが要求されるとは限らない。シンボリクリスエス産駒にしては速い上がりが使えるだけに、スローで台頭してくる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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