すでに「満口」と人気が高い新種牡馬のジャスタウェイ
毎年ここに来ると、次々に登場する種牡馬の豪華な顔ぶれにはため息しか出てこない
生産地のトップを切って、2月10日(火)の社台スタリオンより今シーズンの種牡馬展示会がスタートした。
この日、日高は前夜(9日)から暴風雪に見舞われ、特に我が浦河では、朝起きると、積雪が一気に20数センチも積る大雪となった。風も強く、年に一度あるかどうかという大荒れの空模様。生産牧場にとっては、馬たちの蹄の保護のためにはむしろ恵みの雪ではあるものの、道路や厩舎周辺を除雪する必要があるため、やむなく社台行きを断念した人が少なくなかったのではなかろうか。社台スタリオンは昨年と比較すると参加人数がいくらか少なかったようだ。約700人という発表は、昨年より100人減である。
とはいえ、今年の新種牡馬であるジャスタウェイとベルシャザールがまず登場すると、一斉にカメラのシャッターが切られる光景は、例年と何も変わらない。
中でもジャスタウェイは、この展示会開催の時点ですでに「満口」という人気の高さで、受胎確認後350万円という条件と、初年度という注目度も後押しして、この展示会で実際に馬を見て配合を検討しようと悠長に構えていた中小の生産者は、いきなりアテが外れた形である。
挨拶をするジャスタウェイの大和屋暁オーナー
一方のベルシャザールは受胎確認後50万円のリーズナブルな価格設定だが、芝よりもダートでの実績が目立つ馬なので、この価格になった。概してダート適性の高い種牡馬は安めに設定されている。
リーズナブルな価格設定の新種牡馬ベルシャザール
それにしても、毎年ここに来ると、次々に登場する種牡馬の豪華な顔ぶれには、ため息しか出てこない。新種牡馬の後は今年産駒がデビューするワークフォース、ヴィクトワールピサ、ダノンシャンティ、カジノドライヴ、キャプテントゥーレ、ドリームジャーニーと登場し、続いて、昨年より種牡馬入りし今年初産駒の誕生する(もうすでに生まれている産駒もいるが)エイシンフラッシュ、オルフェーヴル、ロードカナロア、ノヴェリストが次々に展示されて行く。
さらに来年産駒デビュー(つまり今年初年度産駒が1歳)のディープブリランテ、スマートファルコン、タートルボウル、ルーラーシップと、ここまで計16頭が見学者の前に姿を現した。
ふつうならばこれくらいでもう十分過ぎるほどのラインナップだが、社台スタリオンの真骨頂は、むしろここからで、フレンチデピュティ、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァース、マンハッタンカフェ、ダイワメジャーといった、すでに実績を残している種牡馬が続く。
オルフェーヴル
22番目には今年初産駒が3歳になっているキンシャサノキセキとハービンジャー、さらにクロフネ、ゴールドアリュールと来て、いよいよ御三家ともいうべきハーツクライ、キングカメハメハ、最後にディープインパクトが登場し、約1時間半に及ぶ今年の展示会が終了した。
朝のうち日高が吹雪いていたことから天候の悪化が懸念されたが、安平町の社台スタリオンは、幸いにも晴れ時々曇りとまずまずの空模様で、気温は低かった(真冬日)が、風もあまり強くなく助かった。
なお、ジャスタウェイのみならず、今の時点で、エイシンフラッシュやルーラーシップ、キンシャサノキセキ、ハービンジャー、そしてクロフネ以降に登場したディープインパクトまではすべて、「満口」となっている。周知のように、ディープインパクトは今年、種付け料が2500万円に値上げされたものの、相当数の配合申し込みを断らざるを得なかったほどの超人気で、ここだけは不況知らずである。
ディープインパクト
また、一気にこれだけの頭数の種牡馬がすでに申し込み頭数の上限に達している(満口)のも、社台スタリオンならではのことで、日高の他の種馬場では、ヘニーヒューズ(優駿スタリオン)やブラックタイド、ヴァーミリアン(ともにブリーダーズスタリオン)、そして新種牡馬のダンカーク(イーストスタッドにて今年より供用開始)など数頭にとどまる。
まさしく質量ともに圧倒的なラインナップだが、日高の各種馬場でも、それぞれ配合牝馬を1頭でも多く確保すべく、11日以降、19日にかけて展示会を行うことになっている。