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日高の種牡馬展示会〜続編

  • 2015年02月25日(水) 18時00分
日高スタリオンでの展示会風景

イーストスタッドでの展示会風景


今週はビッグレッドファームや優駿スタリオンでの展示会からスタート

 2月16日(月)は、ビッグレッドファームと優駿スタリオンの新冠2場で種牡馬展示会が開催された。天候はやや曇りがちながらもまずまずで、風も弱く、定刻の午前10時よりまずビッグレッドファームの展示会が予定通りに開始された。

 今年、ビッグレッドには新種牡馬がおらず、昨年と同じ9頭のラインナップでシーズンを迎える。大将格は何といってもアイルハヴアナザーで、初産駒は来年いよいよデビューとなる。種付け料も、日高の中ではかなり高額の部類で、受胎確認後320万円。123頭が今年も出産予定となっており、そのうち47頭が、ビッグレッドファームとコスモビューファームの繁殖牝馬で、総帥の期待の大きさが見て取れる。

ビッグレッドファーム

ビッグレッドファームでの展示会風景



 ビッグレッドファームの展示会は、新種牡馬がいないことと、恒例の総帥による“解説”もなかったことから、ひじょうに淡々とした流れで終了した。

 その後、移動時間を挟んで、舞台を優駿スタリオンに移動し、午前11時より展示会が始まった。天候は相変わらずの薄曇りだったが、穏やかに経過し、約400人の関係者が集まった。

優駿スタリオン

優駿スタリオンでの展示会風景



 優駿スタリオンは、日高の中では現在最も活気にあふれる種馬場のひとつで、すでに満口の種牡馬が2頭(ヘニーヒューズ、アドマイヤオーラ)いる。また、新種牡馬も2頭(サダムパテック、サンカルロ)新たにスタッドインしており、全16頭の陣容で交配シーズンに臨む。キングヘイロー、カネヒキリ、ダービー馬ロジユニヴァースなどバラエティに富んだ顔ぶれが揃い、元気な姿を披露した。

 翌17日は、浦河の日高スタリオンにて展示会が開催された。今年は、2年ぶりの展示会で、繋養種牡馬13頭のうち7頭が展示された。新種牡馬はアメリカJCCなど5勝を挙げたダノンバラード。父ディープインパクトの初年度産駒では、すでにスマートロビンが昨年より種牡馬デビューしているが、今年もトーセンラーとこのダノンバラードが新たに種牡馬入りする。また1歳年下のトーセンホマレボシは一足早く種牡馬になっており、今年3シーズン目を迎えるが、過去2年とも100頭以上の牝馬と交配するほどの人気ぶりで、ディープインパクトの後継種牡馬たちの争いは今後ますますし烈になるはずだ。

ダノンバラード

日高スタリオンで繋養される新種馬場のダノンバラード



 18日は日高町のブリーダーズスタリオンにて展示会が行なわれた。残念なことに、2月に入ってすぐの5日に、日高の代表的な人気種牡馬であったステイゴールドが21歳で死去したニュースが報じられ、関係者のみならず多くの競馬ファンにも衝撃が走ったのはまだ記憶にも新しい。ステイゴールドは現役期間、休養らしい休養もせずに走り続けたタフなイメージが強かったので、今回の急死はいささかショックであった。

ブリーダーズスタリオン

ブリーダーズスタリオンでの展示会風景



 ブリーダーズスタリオンに集まったのは、約400人。社台スタリオンは別格としても、日高の種馬場の中で昨年最多の交配頭数を記録した同スタリオンは、すでにヴァーミリアンとブラックタイドの2頭が満口となっている。いずれも産駒成績の良さが評価され人気が高く、今後はこの両馬が看板となってスタリオンを支えて行くことになりそうだ。

 ブリーダーズスタリオンの今年の新種牡馬はトーセンジョーダン。また新たにカンパニーが転厩してきてお披露目された。

トーセンジョーダン

ブリーダーズスタリオンの今年の新種牡馬、トーセンジョーダン



 一連の種牡馬展示会の締めくくりは、19日のJBBA静内種馬場(新ひだか町)であった。この日も晴天に恵まれて、午前10時の展示会開始には数多くの関係者が集まり、パレードリンクを囲んだ。

 今年のJBBAの注目株は、新種牡馬のケープブランコ。父ガリレオの産駒としては本邦初のお目見えとなり、今回、この馬を目当てに足を運んだという生産者も数多い。

ケープブランコ

今年のJBBAの注目株は、新種牡馬のケープブランコ



 すでに申し込みは締め切っており、エンパイアメーカー、ヨハネスブルグとともに、JBBA御三家として生産地の期待が集まっている。最後に登場したケープブランコは、ゆっくりと周回した後、中央で立ち姿を披露し、多くの人々を前にしても動じることなく落ち着いた展示であった。

 以上、ダーレースタリオンを除いた全9か所の種馬場の展示会を歴訪したことになるが、複数の生産者から耳にした「気になる点」を2つ挙げておきたい。

 まず、展示順に関することである。普通は、新種牡馬が一番最初に姿を現し、集まったギャラリーに展示される。丁寧なところでは、他の種牡馬の展示が全て終了した後、もう一度引き出され、改めて展示を行なうところもあるくらいだ。しかし、JBBAだけは、従来から新種牡馬が最後まで登場しない。これはいったいなぜなのだろうか? という疑問を呈する人がいるのは事実で、理由がどうもはっきりしない。最初に見せると、途中で帰ってしまう人が少なくないから、なのであろうか。それとも他にもっと明確な理由があるのか。一度、伺いたいと思っている。

JBBA

JBBAでの展示会風景



 また、どの種馬場でも、一部の人気種牡馬を除いて、今や「出生条件」での種付け料支払いも設定されている種牡馬が少なくないのに、JBBAは依然として、受胎確認後の支払いまでしか認めていない。しかし、時代の趨勢は、より配合しやすい条件の方向に徐々にシフトしてきており、前記3頭などは別としても、配合頭数の少ない他の種牡馬などは、出生後支払いの条件を設定しても良いのではないか。こうしたことが配合頭数の増加に繋がるような気がするのだが・・・・。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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