キズナは“春天”のグレードを保つよりどころ/トレセン発秘話
◆天皇賞・春 断然の主役へ
イスラボニータが左前脚の打撲で出走を回避したとはいえ、それでもGI馬6頭が参戦する豪華な一戦となった今年の大阪杯。これだけのメンバーが集結した理由についてキズナを管理する佐々木調教師は「ある意味、当然だろう」と話す。
「天皇賞・春の3200メートルが今となっては特殊な距離になってしまっているから、このレースが実質的には本番になってしまう。本来、大阪杯は前哨戦のはずなんだけど、ここを使っても天皇賞には行かない馬が何頭もいるからな。それだけ中距離のレースを求めている馬が多いということなんだろうね」
今までも何度か触れてきたが、スピード競馬全盛の現代において、天皇賞・春の3200メートルという距離が、関係者から嫌われる傾向にあるのは間違いない。大阪杯を使った後は6月に英国遠征するプランのスピルバーグも、関係者は口を揃えて「春に国内で適したレースがない」と発言している。
そんな中、早くから大阪杯→天皇賞・春のプランを打ち出したキズナは春天が大好きなGIのひとつである坂路野郎にとって、とても頼もしい存在だ。阪神大賞典を勝ったゴールドシップは回避濃厚なうえに、阪神大賞典を直前回避した昨年の菊花賞馬トーホウジャッカルも挫石からの回復が微妙な状況。キズナという大きな核は、春天のグレードを保つよりどころになる。
骨折からの復帰戦だった京都記念(3着)後に「次の大阪杯はあっさり勝っておきたい」と話していたのは佐々木調教師。週末の雨予報、強力なライバルも楽々とクリアして、昨年に続く連覇を達成し、天皇賞・春に断然の主役として向かってもらいたいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)