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天皇賞・春の鍵となる展開、有力各馬はどう出る?

  • 2015年05月01日(金) 18時00分


◆キズナは意外と難しい立場

 今年の天皇賞春、1番人気はキズナ、2番人気はゴールドシップかアドマイヤデウスだろうか。ただキズナとゴールドシップはこのレースで人気を裏切った身であり、アドマイヤデウスは明け4歳で古馬GI初挑戦。絶対的な存在がいるわけではない。

 ステップレース別に見ると、まず阪神大賞典はゴールドシップの完勝だった。ただそれは過去2年も同様。今回を前2回と違う結果にするためには、枠順を生かすしかないだろう。スタートを切れればもちろん、切れなくても可能な限り出していって、前々で競馬をするのが好ましい。スタミナは無尽蔵にあるのだから、それを生かすことで一瞬の切れ味が無い点を補う形である。少なくとも馬が行く気になっているときは行かせたほうがよいと思う。

 当時の2着だったのはデニムアンドルビーだが、この馬は阪神>京都ではないかと思う。それよりは当時3着のラストインパクトが先行集団につけた場合や、内枠を引いたカレンミロティックが早めの競馬をしたケースのほうがチャンスはありそうだ。ただ、ラストインパクトは菱田騎手のほうが良い意味で無茶な位置取りもするタイプであり、川田騎手だと無難な6〜7番手を選択しそうな気はする。川田騎手が京都大賞典のときのイメージで競馬をしてくれるほうが好ましい。カレンミロティックも問題はテン乗りで、蛯名騎手が馬の特性を理解しているか、キレないがバテないこの馬の競馬をしてくれるかがテーマだ。

 ハナを切るのはスズカデヴィアスだろう。ネオブラックダイヤも可能性はあるが、秋山騎手は極端な競馬をするタイプではないので、同馬が何度か打ったような、極端な逃げはないはず。そうなると、流れを握るのは番手タイプの馬で、先述したカレンミロティックや、ラブリーデイがどこまで逃げ馬をつついていくか。これら先行グループの利益のためには、ペースを遅くすることよりも、有力差し勢に対して道中大きなリードを取ることのほうが重要だと思う。

 有力差し勢の筆頭格がキズナ。昨年はこの馬にしては早めに捲り上げたが、それでも足りなかった。天皇賞春の傾向を考えるともっと積極的な仕掛けをしたほうが1着には近づくが、そうすると今度はこの馬の強みである決め手を損なう可能性もある。意外と難しい立場でもある。

 アドマイヤデウスはキズナよりは位置が取れるので、勝つための最低ラインである4角8番手以内、さらに有望となる4角5番手以内を取ることも可能だ。ただ、キズナを待つ形になると共倒れもある。結果論としての早仕掛けになることを恐れず、自分で先行勢を潰しにいくくらいの気概をもったほうがよい。ただ一方で今回は大外枠を引いてしまい、初手の位置が後ろになる危険もある。そこは正直マイナス材料だ。

 サウンズオブアースは前走が極端な競馬で強く見えるのだが、天皇賞・春であれをやったら上位争いは無理。菊花賞では積極的に位置を押し上げていって2着出来たのだから、同じ競馬でよい。当時は折り合いを欠くシーンもあったので、きれいに折り合えればチャンスは広がりそうだ。

 他にはフェイムゲームやホッコーブレーヴあたりが穴人気か。ただこれらは脚質的にこのレースで1着を取る形は考えづらい。3連単の3着候補までと見る。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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