■NHKマイルカップ(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録30頭
【コース総論】東京芝1600m Aコース使用
・コースの要所!
★人気馬の信頼度はソコソコ。中穴を狙ったほうが期待値はグンと高そう。
★枠番の内外での成績差は小さいが、やや内枠有利&外枠不利の傾向にある。
★脚質はハッキリと差し優勢。勝つのは差し脚質が圧倒的に多く重視が基本。
春だけで3回ものG1が開催される「根幹コース」である東京芝1600m。非常にクセのない公平なコースで、人気別成績を見てもきわめてフラットだ。1番人気は勝率こそ30.0%と高いが、連対率や複勝率はそれほどでもなく、狙うなら1着固定がオススメ。それだけ、能力をキッチリ発揮できるコースということだ。
ただし、妙味の面でいうなら4番人気〜6番人気の「中穴」のほうが格段に高く。3連複の軸にはこちらのほうが適しているかも。人気薄の激走も十分に期待できるし、買おうと思えばどこからでも買えてしまう。また、枠番による有利・不利も非常に小さく、レース単位で意識する必要はほとんどナシ。やや内枠有利&外枠不利ではあるのだが、人気薄を取捨する際に、ちょっとだけ考慮する程度で十分だろう。
脚質については、ハッキリと差し優勢。先行脚質よりも連対率や複勝率が高いという「逆転現象」が起きるコースは、そう多くはない。当然、瞬発力の有無は非常に重要で、速い上がりを使えればそれだけで勝ち負けになる──といっても過言でないほど。上がり上位馬の期待値の高さは一目瞭然だ。一発があるのは逃げ馬だが、これはあくまで組み合わせ次第。東京芝マイルの重賞で、そうそう逃げ切れるモノではない。
【レース総論】NHKマイルカップ(G1) 過去10年
・レースの要所!
★近年は大波乱の連続も1番人気馬だけは高信頼度。基本的に「買い」の方向で。
★距離延長組は大幅割引。逆に距離短縮組は非常に強く、必ず押さえるべき。
★馬体重の軽い馬が激走する傾向アリ。大型馬は人気サイドなら信頼度アップ。
先週の天皇賞・春に負けず劣らず波乱傾向が強い、NHKマイルカップ。過去10年でふたケタ人気馬が10回、17番人気以下が3回も馬券に絡んでいるという、かなり本命党泣かせのレースといえる。ただし、1番人気は[5-1-0-4]で勝率50.0%と高信頼度で、昨年もミッキーアイルが見事に1着。ここは素直に買っておいたほうがいい。
逆にアテにしづらいのが、4番人気〜9番人気の中穴ゾーン。トータル[0-4-4-52]で連対率6.7%、複勝率13.3%とイマイチで、平均人気6.5に対して平均着順8.7と、人気を大幅に裏切っている。ココを狙うくらいなら、ふたケタ人気の超大穴で攻めたほうが、このレースに関してはいいはず。勇気をもって、ブンブン振り回すべきだ。
枠番についてはコースデータと同様、ほとんど気にする必要なし。外枠のほうがわずかに信頼度は高いが、これくらいは誤差の範疇だ。それよりに気にするべきは「前走距離」で、積極的に狙っていきたいのが好成績の距離短縮組。昨年2着のタガノブルグのように距離延長組も来るには来るが、ここを狙うのはかなり効率が悪い。
ちょっと面白いのが、最後にあげた前走馬体重別の成績だ。人気薄での激走率が高いのはあきらかに「馬体重の軽い馬」で、人気薄に関しては馬格のないタイプのほうが面白そう。逆に人気馬については、ある程度の馬格を備えているほうが望ましい。前走馬体重500キロより重い馬で馬券に絡んでいるのは、すべて5番人気以内馬である。
【馬場&血統総論】・現在の馬場
素晴らしくフラットな最高のコンディション。気にする必要なし。
・天候予測
現在の好天が週末まで続きそう。良馬場前提の予想で問題ないはず。
・注目血統
ディープインパクト産駒◎、ステイゴールド産駒○、サクラバクシンオー産駒▲、ダイワメジャー産駒△、キングカメハメハ産駒△
最近の競馬はどうも馬場に振り回されすぎている感があって嫌なのだが、現在の東京芝は素晴らしくフラットで、理想的なコンディション。すべては能力次第、展開次第といった印象で、能力と適性さえあれば粘れるし差せる。もっとも、コース自体が差し優勢ではあるので、主軸に据えるべきはやはり「差し馬」だろう。
血統面では、ディープ産駒が勝利数では断然のトップ。しかし「フツーに強いが強すぎることもない」といった印象で、ステイゴールド産駒やサクラバクシンオー産駒、ダイワメジャー産駒などが互角に張り合っている。扱いが難しいのが Harlan's Holiday産駒のアルビアーノだが、東京芝で勝っているのだから、気にする必要はないか。ちなみに、本馬の祖母AuroraはG1馬ヤマニンパラダイスの全姉で種牡馬Archの母と、かなりの名牝系の出だったりする。
★出走登録馬・総論×各論 登録馬が出た段階から筆者が「うわ、さっぱりわかんねえ……」とボヤいたほど難解な、今年のNHKマイルカップ。久々に鉛筆かサイコロでも転がしたくなるほど、決め手に欠けるメンバー構成である。コレという信頼度の高いパターンがないレースで、ぶっちゃけどんなパターンでも来るし、どんなパターンでもコケる。いちばんアテになるのは、おそらくアナタの“直感力”だ!
……と逃げ口上をかましたところで、まずは好走の必要条件から。過去10年の連対馬20頭のうち17頭までが「前走重賞1着または着差0秒5以内」であったという点を重視したい。グァンチャーレ、クラリティスカイ、フミノムーンなどはこの条件をクリアできておらず、上位には評価できないと判断した。
あとは「距離短縮組」もしくは「ニュージーランドTを人気で好走」してきた馬で、瞬発力のある脚質&血統であれば申し分なし。こういった条件を付加して考えると、上位に評価すべき馬もある程度は絞り込める。この大混戦で上位に評価したのは、アヴニールマルシェ、グランシルク、ミュゼスルタンの3頭である。
アヴニールマルシェは共同通信杯から中11週での出走。これは割引材料なのだが、それ以外はプラス評価の項目が多く、上位に食い込む可能性が十分にあると判断した。写真で見るかぎり馬体も仕上がっているようで、「ディープ産駒のマイル戦」も好材料。東京芝実績もあり、ここはかなり買いやすい。
ゲートをちゃんと出ると読むなら、
グランシルク本命もアリ。中山であの位置から2着まで来るのだから、瞬発力だけなら間違いなくナンバーワンだ。また、長期休養明けをひと叩きされ、上積みが大きそうな
ミュゼスルタンも侮れない存在。前走も最速上がりでキタサンブラックから0秒5差にまで来ているのだから、やはり力がある。
ここまでがトップグループで、アルマワイオリ、アルビアーノ、ヤマカツエース、ダノンメジャーの4頭が二番手グループ。とはいえ、オッズ次第で評価順が大きく入れ替わりそうなレースであり、どの馬がふたケタ人気となるのかを確認した上で、最終的な判断を下したいところ。人気薄を買ってナンボのレースであるだけに、上位に評価した馬の組み合わせから、徹底的に手広く流して買う所存である。
■新潟大賞典(G3・新潟芝2000m)フルゲート16頭/登録26頭
レースの単勝回収率が42%と非常に低い新潟大賞典。1番人気馬は[2-1-1-6]とけっこう崩れているのだが、過去10年の勝ち馬はすべて6番人気以内馬で、少なくともアタマに関しては堅めの決着となっている。ふたケタ人気の激走例も多いレースだが、こちらはヒモで狙ったほうがベターだ。
ハンデ戦ながら軽ハンデ馬の激走例は少なく、前走で負けていた馬に関してはとくにその傾向が顕著。トータル[0-1-1-31]と信頼度の低い「斤量54キロ以下の前走2着以下馬」については、性別を問わず軽視をオススメしたい。また、ハンデ56.5キロ以上馬も不振で、こちらは[1-1-2-39]で複勝率9.3%。平均人気7.2に対して平均着順8.6と乖離が大きく、積極的に嫌ったほうが好結果を呼び込めそうである。
つまり、このレースで買うべきはハンデ55キロ〜56キロ馬。前走ひとケタ人気、かつ5着以内であれば、連対率39.5%、複勝率50.0%と信頼度は非常に高い。また、直線が長く瞬発力が要求されるコースでもあり、前走での上がり3F順位が上位であるかどうかも、重視すべきファクター。勝ち馬のじつに8割が、前走上がり順位3位以内という条件をクリアしていた。
出走できそうな登録馬で以上の好走条件をすべて満たすのが、
アズマシャトル、
アルフレード、
ハギノハイブリッド、
マテンロウボスの4頭だ。人気を問わず好走可能なパターンで、ここは買う価値アリ。高配当も狙えそうなラインナップなので、実際にどのような人気になるか、今から楽しみである。
■京都新聞杯(G2・京都芝2200m)フルゲート18頭/登録24頭
ポルトドートウィユ、トーセンバジル、アルバートドックなど、昨年のPOGドラフトで人気を集めていた馬が顔を揃えそうな、今年の京都新聞杯。確実に出走できるのが9頭で、残りは1勝馬による15分の9の抽選となりそうだが、前走で新馬や未勝利を勝ち上がったばかりの馬は[0-0-2-30]とサッパリ。「前走500万下で3着以内」というのが、好走するうえで最低限のハードルといえる。
前走で500万下に出走していた馬については、3着以内だけでなく「5番人気以内」というのも、好走の必要条件。また、前走で皐月賞や毎日杯など重賞に出走していた組については、騎手の騎乗パターンが大きな分岐点となる。簡潔にいえば、継続騎乗であれば「力一杯買い」が正解。乗り替わりの場合は、単純に当日3番人気以内であれば買い、そうでなければ消しジャッジとなる。
あとは、順当決着傾向が強く、ふたケタ人気馬が[0-0-2-59]と大苦戦していることや、馬番12番〜18番が[0-0-2-40]と思いっきり不利であることも、意識しておきたいポイント。アルバートドック、サトノラーゼン、シュヴァルグラン、スピリッツミノル、スワーヴジョージ、ダノンリバティ、トーセンバジル、バイガエシの8頭からいかに絞り込むかは、枠番決定後にしっかり考えたい。
■総論×各論・先週の馬券回顧
1着 01ゴールドシップ
2着 14フェイムゲーム
3着 02カレンミロティック
見せ場もなくマケレレ(白旗)。さすがはこの馬、この鞍上といったレースで、アレで押し切っちゃえるんだからバケモノだよなあ。ゲート入りからゴールまで、延々とゴールドシップ劇場だったといいますか。予算20%増量で臨んだというのに、まるで意味ナシ!
※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。