◆勢力図がわかりにくい九州ダービー栄城賞
地方競馬でもいよいよ31日から6日間の『ダービーウイーク』。
岩手ダービーダイヤモンドCは、ここまで圧倒的な強さでデビューから5連勝のロールボヌールが断然の中心。前哨戦のやまびこ賞を大差で圧勝したスペクトルが登録のみで回避し、ロールボヌールでは相手が悪いと7頭立ての少頭数となった。
北海優駿は、一冠目の北斗賞を圧勝し、さらに古馬A級との対戦でも圧勝しているオヤコダカの二冠達成が濃厚。
東京ダービーは、一冠目の羽田盃1、2着馬、ストゥディウム、オウマタイムが中心だが、7着馬までが1秒差以内での入線だったため逆転もあるかもしれない。東京湾Cで優先出走権を獲得したドライヴシャフト、ミッドストラーダも有力。そして今年はなんといっても、浦和・桜花賞のララベル、東京プリンセス賞のティーズアライズという、牝馬の二冠を制した2頭も出走予定となっている。
兵庫ダービーは、牝馬のトーコーヴィーナスが関東オークス遠征のため回避となりそうで、そうなるとインディウムが中心。菊水賞2着のあと兵庫チャンピオンシップではインディウムに先着しての4着だったコパノジョージがどこまで迫れるか、もしくは再度の逆転があるのかどうか。
東海ダービーは、牝馬優勢の中でも駿蹄賞を8馬身差で圧勝したハナノパレードが堅い中心。年明け初戦の新春ペガサスCこそ地元馬相手に3着だったが、それ以降の重賞は4戦2勝2着2回。しかも若草賞で先着されたジュエルクイーンはすでに北海道に戻っており、東海クイーンCで先着されたのは兵庫のトーコーヴィーナス。地元馬同士では断然という状況になった。
ここで、ダービーウイークで最初に行われる九州ダービー栄城賞は?と思ったアナタはするどい。“ダービー”は、言うまでもなく誰もが目指すひとつの頂点。であれば、そこへ向けての有力馬というのは、重賞を中心とした3歳線戦を見ていれば、だいたいの想像はつくもの。ときに本番でとんでもない伏兵が勝ってしまったり、馬の移籍が活発になった近年では他地区から移籍したばかりの馬がポッと勝ってしまったりということはあるが、それはあくまでも結果論。“ダービー”へ向けては、どの馬が有力か、もしくは上位の何頭かが拮抗、というような状況はわかりやすくて当然だ。しかし佐賀の九州ダービー栄城賞だけはそれがはっきりしないのだ。
今回の出走馬で有力となりそうな馬の実績を挙げてみると……。2歳時の九州ジュニアチャンピオンを制したイッセイイチダイは、3歳時になって重賞への出走はなく、古馬B級戦を2戦したのみ。3歳になって7戦5勝のキングプライドは、S1重賞の飛燕賞は3着。その飛燕賞の1、2着馬、ダイリンザン、レアファルコンは今回不在。中央未勝利からの転入で3連勝中のマイネルジャストは、重賞初挑戦で特別戦への出走すらない。ほかに3歳馬のS1重賞である花吹雪賞、ル・プランタン賞を制しているユズチャンが休養中というのは不運ではあるのだが。
昨年の九州ダービー栄城賞では、高知のオールラウンドが勝ち、2着がブービー人気のテッドだった、ということは競馬だから、まあアリだろう。1、2番人気に支持されたのは、高額賞金ではあるが特別ですらない佐賀若駒賞2着のマサヤと、1着のミスタージャックで、ともにS2重賞勝ちはあるがS1のタイトルはなかった。
とにかく近年の九州ダービー栄城賞は、勢力図がわかりにくい。これは、佐賀競馬における2013年からの条件クラス重賞の粗製乱造と無関係ではないだろう。近年はほとんどの地方競馬で、地区ごとに重賞路線の体系化がなされている。売上げだけを目的とした佐賀の、いわゆるS2重賞をはじめとする競馬番組は、レース体系をきわめてわかりにくいものにしている。