松田博調教師が孫でも見るかのような口ぶりで成長を喜んだ良血馬(吉田竜作)
◆松田博調教師「小さくて、競走馬になれるのかと心配していたくらい」
来年の2月で解散となる松田博厩舎。来年のクラシックでは他厩舎での参戦となるだけに、さぞ今年の2歳戦には力が入っているのかと思いきや…「なあに、俺はいらないんだ。解散となれば、そこから馬と人をセットで移籍とか、いろいろと面倒なことも多い。最初からよその厩舎の方がいいだろう」と松田博調教師はあっけらかんと言い切る。ただ、それでも他厩舎がうらやむような馬が入ってくるというのが、この人の人望だろうか。今年は4日にリーチザハイツが2歳馬としては1番乗りで入厩。「牧場で見た時はすごくちっちゃかったんだ。セウアズールも小さかったが、あれよりまだ小さくて、競走馬になれるのかと心配していたくらい。それが大きくなったというんだからなあ」と孫でも見るかのような口ぶりで成長を喜んでいた。血統はピカイチなだけに、このまま順調にデビューとなってほしいところ。リュラとアラバスターは「ノーザンFの組ではこれが1番順調。すぐにでも連れて行ってもと言われたくらい。リュラは大きくはないが、丸みがあってサイズの小ささを感じさせない。それに姉のこともあるから、ある程度大きくなるだろう。その変は心配していないんだ。アラバスターはもっと大きくなるかと思ったが、ちょうどいいサイズになってくれた。脚も真っ直ぐしているし、順調そのもの」とのこと。こちらも近いうちに入厩となりそうだ。また、ノーザンFしがらきにいるアドマイヤリードも馬房の都合次第で栗東入りとなる見込み。
ワンカラットというと、前出の松田博厩舎の代表馬・ブエナビスタのライバルといった印象が強いが、思い返せば2歳夏の小倉デビュー馬。確か、その当時の評価も“即戦力”に近いものだったはず。それがクラシックをにぎわし、果ては短距離重賞の常連となるのだからサラブレッドの成長というのは面白いもの。そして、その初仔となるワントゥワンも5月末に藤岡厩舎に入厩。現在はゲート練習を中心に調整が進められている。個人的には桜花賞を意識する馬と思っていたのだが、前出のように母も小倉デビューが視野に入る時期にやってきたというのが、何とも運命的だ。「さばきが軽いわ。動きもキビキビしているし、気性もきりっとしている。現状で420キロくらいだが、父がディープならこんなものだろう。お母さんもそこから大きくなったし、桜花賞で450キロくらいになればいうことないね。思ったよりも進んでいて、この感じだとお母さんと同じ小倉を使って、そのまま小倉2歳Sか、使わないでファンタジーSという感じになるかな」と藤岡調教師。個人的にはお母さんが5着に終わった小倉2歳Sのリベンジも見たいのだが…。果たしてどのようになるか。まずはゲート試験をクリアしてくれることを願いたい。
西園厩舎は期待のノンゼロサムが無念のリタイア。今週のデビュー予定をパスして、放牧に出ることになった。代わりにといってはなんだが、同じラフィアン勢のウインクレドが少し遅れて入厩。これがなかなか走りそうなのだ。「牧場でかなりやられているから体も仕上がり切っている。これならすぐにでも使えそう」とは担当の塩満助手。28日の阪神芝1800メートルでデビューの予定となっている。