■函館スプリントS(G3・函館芝1200m)フルゲート16頭/登録27頭
【コース総論】函館芝1200m Aコース使用
・コースの要所!
★ふたケタ人気馬はイマイチも、7〜9番人気は高期待値で狙う価値アリ。
★内外で信頼度に2倍以上の大差。内枠がとんでもなく有利なコース!
★差せなくはないが先行有利。開幕週の絶好馬場だけになおさら有利。
コースの起伏が非常に小さい函館の芝コース。2コーナー奥のポケットから発走する芝1200mは、スタートから緩やかな上り坂を駆け上がり、スパイラルカーブの3〜4コーナーを抜けると、ゴールまで緩やかな下り坂というコース形態である。最後の直線は262mと非常に短く、ここで勝負をかけても間に合わない。
このようなコース形態だけに、目立つのが「内枠&先行有利」の傾向だ。最後の直線が下り坂という時点で前有利なワケで、能力的に劣る馬であっても、このふたつを味方につければ好走可能。どんなに力のある馬でも、後方待機からではそうそう勝ち負けには持ち込めない。それは、脚質別成績からも明らかである。
なかでも注目なのが、内枠の強烈なまでの有利さ。単純に内外を比較したデータでも、馬番1〜8番の連対率が17.7%であるのに対して、馬番9〜16番のそれは7.4%と、その差は2倍以上。内枠から先行できる馬の有利さは、他のコースとは比較にならない。これが、当コースで人気薄が意外に強い最大の理由といえる。
【レース総論】函館スプリントS(G3) 函館過去10年
・レースの要所!
★7番人気以下馬は[2-0-2-71]とかなり分が悪い。人気サイドでの決着が基本。
★レースデータでも内枠が圧倒的優勢。人気薄が入った場合も警戒は怠れない。
★前走上がり上位馬が不振。前々で粘れる持久力のほうが要求されるレース。
1番人気馬が猛烈に強いというわけではなく、ときには3連単87万馬券となった昨年のような波乱も起こる函館スプリントS。しかし、上位人気の組み合わせで決まる傾向が強く、6番人気以内馬はトータル[7-9-7-31]で複勝率42.6%、複勝回収率120%という高い期待値を誇っている。対照的に7番人気以下馬は[2-0-2-71]で複勝率5.3%と、明らかに分が悪い成績。4〜6番人気あたりを重視するスタンスが、いちばん儲かりそうである。
また「夏の牝馬」という格言通り、牝馬が猛烈に強いのもこのレースの特徴。[5-3-4-23]で複勝率34.3%、複勝回収率174%と、牡馬との差は歴然である。年齢別成績では、全体的に「若くて勢いのある馬のほうが好成績」という傾向が見られる。高齢馬は、実績馬であってもかなり割り引いて考えたい。
馬番別成績は、コースデータ通りに「内枠圧倒的有利」という結論。馬番1〜4番の連対率は28.6%と、他と比較して約20%も高いという異常事態が発生している。もっとも、これは人気馬が内枠に偏って入ったのが要因で、おおむねコースデータ通りと捉えておいたほうがベター。ここから馬番5〜8番の逆襲があっても、まったく驚けない。
前走距離別では、芝1000mからの距離延長も、芝1600mからの距離短縮も成績はイマイチ。あとは、芝のレースで常に人気を集める「前走上がり上位馬」の成績が振るわないのを、しっかり意識しておきたい。馬券に絡んでいる馬のほとんどが、前走上がり順位「4位以下」の馬。つまり、勝ち負けに必要とされるのは、瞬発力ではなく持久力である。
【馬場&血統総論】・現在の馬場
開幕週のAコース。最高の馬場コンディションで前有利になると予測。
・天候予測
曇りがちの空模様だが、降雨にまでは至らない気配。良馬場前提で。
・注目血統
アドマイヤコジーン産駒◎、ダイワメジャー産駒○、ブライアンズタイム産駒▲、サクラバクシンオー産駒△、ストーミングホーム産駒△
昨年7月20日以来の開催であり、絶好の馬場コンディションで迎えられるのは間違いなし。この中間の北海道は好天が続いており、この週末も降雨はなさそうである。そうなると、ただでさえ有利な「内枠の先行勢」が、さらに有利になる可能性が大。能力面で多少見劣る馬でも、行き切ってしまえば残るコースだけに、必ず押さえておきたい。
血統面では、サクラバクシンオー、ダイワメジャー、クロフネ、アドマイヤコジーンなどなど、スピードとパワーに秀でた種牡馬の産駒が好成績。いわゆる「瞬発力型のサンデー産駒」が得意とするフィールドでないのは間違いなく、洋芝に対応できるパワーが必要不可欠である。血統の字面で魅力を感じるのは、サクラバクシンオー×ブライアンズタイムのスギノエンデバーと、母系に重厚な血が入るローブティサージュの2頭だ。
★出走登録馬・総論×各論 徹底的に内枠有利なコースだけに、枠番を見るまでは何も決められない──というのが正直なところ。ここからガラッと評価が入れ替わる可能性が大であることを、あらかじめご承知いただきたい。
トップ評価を競ったのは、コパノリチャードとローブティサージュの2頭。甲乙つけがたいが、昨年好走の実績と牝馬であること、血統面でのプラス評価なども加味して、ここは
ローブティサージュのほうをトップ評価としたい。高松宮記念が17着惨敗だったが、もともとムラっぽい馬でもあり、アッサリ巻き返しておかしくないはずだ。
そして、58キロを背負う
コパノリチャード。函館スプリントSで58キロ以上を背負った馬は集計期間内に4頭いるが、そのうち3頭が馬券に絡む大活躍。昨年の覇者ガルボ、一昨年の覇者パドトロワと、2年連続で勝ち馬が出ているパターンでもある。スッと好位につけられる先行力があるので、内枠を引き当てればスーパーリーチ。馬券絡みの確率自体は、ローブティサージュよりも上と思われる。
三番手評価に
サトノデプロマット、四番手評価に
マジンプロスパーと、穴っぽいところが浮上。いずれも先行力と持久力をしっかり備えており、枠番のアシストさえあれば、激走が期待できると見ている。高齢馬のマジンプロスパーよりも、若くて勢いのある前者を上に評価した次第だ。
五番手が快速牝馬
アンバルブライベンで、ここまでが上位評価組。以下は、ティーハーフ、スギノエンデバー、メイショウイザヨイ、タガノアガザルといった序列である。もっとも、アンバルブライベンが内枠を引けば、一気に本命候補にまで評価はアップ。逆に、トップ評価のローブティサージュも、外枠ならばヒモまで評価を落とすつもりだ。
■ユニコーンS(G3・東京ダ1600m)フルゲート16頭/登録22頭
数ある重賞のなかでも、トップクラスの「堅さ」を誇るユニコーンS。昨年は、1番人気のアジアエクスプレスと2番人気のメイショウパワーズが沈み「前走3着以下」からレッドアルヴィスとバンズームが巻き返したが、それでも3番人気→4番人気→7番人気での決着。このレースが大荒れとなるイメージなど、微塵も浮かばない。
そういう性格のレースでもあり、連対候補は「前走オープン特別〜重賞2着以内」に絞り込みたいところ。この条件をクリアするのは、アルタイル、カフジテイク、ノンコノユメ、ラインルーフの4頭だけだ。特例で同列に扱うのが、前走がドバイのUAEダービー3着だったゴールデンバローズ。レースの格を考えれば、妥当な判断だろう。
あとは、鞍上が継続騎乗の予定であるかどうかも重要なファクター。乗り替わり想定のアルタイル、カフジテイク、ゴールデンバローズの3頭よりも、継続騎乗の予定である
ノンコノユメと
ラインルーフの2頭を上に取りたい。人気の一角となりそうなタップザットは、ドバイでの前走を度外視しても、データ的に買いづらい部分アリ。ここは思い切って「消し」勝負といきたい。
■総論×各論・先週の馬券回顧
1着 06エイシンヒカリ
2着 02サトノアラジン
3着 12ディサイファ
久々に武豊ジョッキーの凄味を感じたレース。絶妙のペース判断で、あの難しいエイシンヒカリを勝たせたのだから素晴らしい。普段からもっと逃げればいいのに……と思ってしまうよね。しかしまあ、我ながらド下手クソな馬券を買ったものである(嘆息)。
※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。