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小回りのローカルで大駆け/七夕賞

  • 2015年07月11日(土) 18時00分


七夕賞らしくない配当などない

 05年、それまで「26連敗」を続けていた1番人気馬がついに勝ってしまい、福島のファンが最大の誇りとしていた、難解で「波乱など当たり前」の七夕賞の歴史にピリオドが打たれた。

 芝コンディションの改善、整備も大幅に進み、開催の後半になっても、外枠有利(18年連続して外の7枠か、8枠が連対)など、波乱の要素が少なくなったのである。

 しかし、波乱が当たり前のようだった七夕賞が、一転、平穏なハンデ戦に変わるわけがない。難解な七夕賞の歴史が戻ってきた。直近の5年はとくに難しい結果が多い。この5年で福島で行われたのは4回。馬券に関係した13頭(同着1回)のうち半分以上の7頭は「11、6、14、7、7、14、10」番人気馬である。3連単のもっとも低額配当が、同着で2通り的中があった年の「約91000円と、99000円」。七夕賞らしくない配当などないのである。

 ハンデ戦だから大駆け候補は何頭もいるが、中心はフラアンジェリコ(ネオユニヴァース)にしたい。もう7歳だが、上のオレハマッテルゼは6歳時にG1高松宮記念を制し、7歳時も重賞の常連だった。母は、名牝ダイナカールの長女であり、エアグルーヴなどの姉になる。その父がジャッジアンジェルーチというところが、ベストアンドベストの配合が多いこの名牝系にしてはちょっと弱いが、逆にタフであり、また、いままた脚光を浴びるボールドルーラー系なので、夏の平坦に近い小回りのローカルは合っている、とすることができる。

 13番人気だった3走前(昨秋)の福島記念。インを突いてスルスルと進出すると、直線は外に出して鋭く伸びて自己最高の2000m1分58秒3(上がり34秒1)で2着に突っ込む快走だった。田辺騎手はもともと主戦に近く、コンビで[1.7.2.6.2.4]着の良績がある。差し馬に不利な流れではないと思える。

 最近の伏兵は、まだ開催2週目だから、芝コンディションのいい内枠の馬。マイネルディーンは、福島【1-0-2-0】。1分58秒7で勝っている。母方の平坦適性は文句なしであり、柴田大知騎手は、13年に1着、昨14年に3着している。

 ユールシンギングは、この次の新潟が狙いとされるが、夏の新潟は時計(上がり)が速過ぎて、春はともかく、新潟記念は苦しいだろう。最終追い切りに乗った内田騎手、ゴール標を過ぎても闘魂注入の気合のムチを入れて、変わり身を促した。右回りではセントライト記念を鮮やかに勝っている。

 人気馬では、グランデッツァか。勝負弱い一面があり、最近は人気を裏切ることばかりだが、今回は素晴らしくデキがいい。川田騎手、前回は控えたのはいいが、勝負どころでさらに下げる「??」な騎乗で、凡走。ただ、あれで脚質に幅が出る可能性はある。引っ張る馬がいるから、さすがにかかって凡走はないだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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