これも“武豊都市伝説”の影響なのか…/トレセン発秘話
◆伝説が“伝染”してしまったのか? そう思いたくなるのがアルバタックスの…
ひと昔前、「武豊の騎乗馬は除外されない」という“都市伝説”があった。「武豊の騎乗馬は馬券が売れるので、わざわざ主催者がそんな馬を除外させない」という発想がその発端。もちろん、実際にはコンピューターによる公平な抽選なので、もとからありえない話なのだが…。下級条件馬の成績上位優先出走システムが出来上がった今では、この都市伝説も完全に風化してしまった。
しかし、業界の第一人者には、この手の話題が尽きることはない。武豊に関わる新たな都市伝説として「GIの武豊はピンク帽(8枠)になりやすい」が誕生した。
こちらはデータ上、ある程度証明されている。2010年以降、武豊はJRA・GIに96回騎乗。そのうち8枠が実に25回で、次位の4枠=14回を圧倒的に引き離す26%の「当選確率」を誇る。7、8枠は3頭枠になるケースもあることを考慮しても、この“引き”は異常。まさに現代競馬における七不思議のひとつだろう。
伝説がGI以外にも“伝染”してしまったのか? そう思いたくなるのが、関屋記念に出走するアルバタックスの近2走だ。かかりやすい面があって内枠で前に壁をつくるのが理想のこの馬に「試練のピンク帽2連発」。2走前のモンゴル大統領賞はかかって沈没(12着)したため、前走の中京記念(6着)は折り合い専念で後方から競馬をさせざるを得なくなった。
「本当なら馬混みで折り合いをつけて運びたかったんだけど。それでも、しまいはいい脚を使っていたし、久々の重賞挑戦ということを考えれば内容自体は悪くなかった」と上田助手。レース後、武豊自身も「次も乗りたい」と話していたというが、札幌遠征のため騎乗できず、今回は内田博に乗り替わる。
ジョッキーが替わった途端に内枠を引き当てようものなら、武豊はJRAに文句を言っていい? もちろん、その時のアルバタックスの馬券は“買い”である。
(栗東の坂路野郎・高岡功)