同じ石坂厩舎で同じデビュー戦 同期2頭で大一番/トレセン発秘話
◆今では馬房も隣同士の2頭はまさに仲間であり戦友のサンクボヌールとタッチングスピーチ
同一厩舎の重賞2頭出しというのは珍しくないが、デビュー戦が一緒という“同級生”が時を経て同じ重賞に出走するというケースはそんなに多くはないだろう。
GIIローズS(20日=阪神芝外1800メートル・3着までに秋華賞優先出走権)に出走するサンクボヌールとタッチングスピーチはまさにそれ。厩舎入厩がほぼ同じ時期で、これまで何度も一緒に併せ馬を行い、同じデビュー戦(14年11月9日=京都芝内1600メートル新馬戦(牝))を走った同志が、その後は違う道をたどりながら互いに賞金を加算し、この秋華賞トライアルに顔を並べてきた。今では馬房も隣同士というから、まさに仲間であり戦友だ。
「今まで追い切りでもレースでもタッチングスピーチに勝ったことがないんですよ」
こう言って笑うのはサンクボヌールを担当する浜名助手。新馬戦ではタッチングスピーチ3着に対して、こちらは5着。坂路で行われた1週前追い切りでも先着を許した。それでも、だ。前走の勝ちっぷりは際立っていた。道中後方から直線は一気に伸びて、1000万下で連対歴のある実力馬リーサルウェポンをあっさりと差し切る豪快V。使った上がり3ハロン33秒台の決め手は、今夏の小倉芝1800メートル以上の距離ではほかに準オープン以上のレースでしかマークされていない極めて優秀な末脚だ。
“同志”も負けていない。タッチングスピーチの前走は道中とても届かないような位置で運んだが、直線一気の末脚で同じく秋華賞を狙う同世代の馬たちをあっさりなで斬りにした。1週前追い切りの感触を「すごく良かった。これまでいろんな馬の追い切りに乗ってきたけど、なかなかないぐらいの反応だった」と桑村助手は絶賛。もともとこの世代の牝馬では厩舎トップの期待を寄せられていた馬。前走の勝ちっぷりはまだ序章にすぎないのかもしれない。
「もし2頭とも権利を取れたら、本番ではお互い口を利かなくなりますよ(笑い)」と隣の桑村助手に向かって冗談を飛ばす浜名助手。いいライバルがいるからこそ、負けないように切磋琢磨する。そんな関係が互いを高め合っていければ…本番さながらの強豪が相手となるこのレースでも一発が期待できるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
【次回公開日変更のお知らせ】
次回公開の「東スポ×netkeibaコラボコーナー(水)」は、祝日による東京スポーツ紙面発行の都合により9月30日18時の公開となります。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます