昨年のオータムセール風景
価格は手頃でありながら、どんな逸材が混じっているか分からないのが1歳市場
来週月曜日(10月5日)より、1歳馬市場としては今年度最後となる「オータムセール」が新ひだか町静内の北海道市場で開催される。
7日まで3日間の日程で、上場申し込み頭数は751頭。昨年よりマイナス20頭になるが、ほぼ前年並みの頭数が揃った。
HBA日高軽種馬農協主催のサラブレッド市場は今年、5月のトレーニングセールから好調が続いており、セレクションセール、サマーセールといずれも前年を大きく上回る好成績で推移している。もちろん、それを受けて今回のオータムセールにも期待がかかる。
昨年は771頭の名簿登録数中、703頭が上場され、436頭が落札された。売却率は、サマーセールの61.34%をやや上回る62.02%を記録し、総額12億3042万円を売り上げた。ただ、毎年のことだが、平均価格はサマーセールから比較すると一気に下降し、282万2070円。中間価格も216万円まで下落してしまった。
総じて低価格の取引馬の割合が多くなるのがオータムセールの特徴だが、価格は二の次でも何とか行き先を決めておきたいと生産者の多くは考える。小規模牧場は、放牧地や厩舎(馬房数)などに限りがあり、場合によっては、オータムセールで1歳馬を売却しなければ今年生まれた当歳を離乳できないケースも出てくる。したがって、何とかここで「決めたい」のである。
昨年初日に1560万円で取り引きされた「ホクトペンダント25」(牡鹿毛、父ワークフォース、母ホクトペンダント、母の父パークリージェント)
上場馬を種牡馬別に見て行くと、かなりの偏りが見られる。ざっと名簿を繰ってみた限りでは、3日間に二桁の名簿登載数のいる種牡馬は50音順に挙げて行くと、だいたい以下の通りだ。
アドマイヤマックス14頭(牡5頭、牝9頭)、ヴァーミリアン13頭(牡2頭、牝11頭)、カネヒキリ18頭(牡10頭、牝8頭)、カジノドライヴ13頭(牡6頭、牝7頭)、カンパニー11頭(牡4頭、牝7頭)、キャプテントゥーレ10頭(牡4頭、牝6頭)、キングヘイロー11頭(牡3頭、牝8頭)、キンシャサノキセキ12頭(牡5頭、牝7頭)、グラスワンダー10頭(牡5頭、牝5頭)、ゴールドヘイロー10頭(牡4頭、牝6頭)、サムライハート14頭(牡10頭、牝4頭)、シニスターミニスター11頭(牡3頭、牝8頭)、ジャングルポケット12頭(牡4頭、牝8頭)、スターリングローズ12頭(牡6頭、牝6頭)、ストリートセンス13頭(牡9頭、牝4頭)、ストーミングホーム17頭(牡8頭、牝9頭)、スマートファルコン13頭(牡2頭、牝11頭)、タイキシャトル12頭(牡4頭、牝8頭)、タニノギムレット13頭(牡7頭、牝6頭)、ディープスカイ14頭(牡5頭、牝9頭)、ナカヤマフェスタ15頭(牡7頭、牝8頭)、パイロ14頭(牡6頭、牝8頭)、バトルプラン11頭(牡1頭、牝10頭)、フォーティナイナーズサン10頭(牡5頭、牝5頭)、フリオーソ15頭(牡7頭、牝8頭)、プリサイスエンド15頭(牡6頭、牝9頭)、ベーカバド16頭(牡6頭、牝10頭)、ローエングリン15頭(牡5頭、牝10頭)、ロージズインメイ17頭(牡8頭、牝9頭)、ロードアルティマ10頭(牡4頭、牝6頭)。
すでに欠場馬が今日現在で47頭報告されており、実際の上場頭数はこの通りにはならないものの、おおよその分布というか傾向はこれで掴める。交配頭数、生産頭数の多寡にもよるが、それぞれ個々に事情があるとはいえ、この時点まで「残っている」1歳馬たちである。しかしながら、名簿の冒頭にカラー頁で紹介されている北海道市場出身の最近の活躍馬の中には、クリノスターオー(シリウスS、平安S、アンタレスS)が2011年の、ジャジャウマナラシ(兵庫ジュニアGP)が2013年の当セールで取引された馬たちだ。北海道市場全般に言えることだが、価格は手頃でありながら、どんな逸材が混じっているか分からないのが1歳市場である。
活発な取引を期待したいと思う。
【次回公開日変更のお知らせ】
※次回更新は筆者取材のため10月8日(木)18時とさせていただきます。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。