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香港スプリントへ出走するストレイトガール・田中助手にインタビュー

  • 2015年12月01日(火) 18時00分
競馬の職人

田中助手とストレイトガール



田中助手「どんな競馬でもできるセンスの高い馬で乗り易く素直」

 競馬の神様が舞い降りたジャパンカップ。世界の強豪相手にゴール寸前に強襲したショウナンパンドラが見事な勝ちっぷりでしたね。

 この秋は牝馬限定戦には一切出走させずに天皇賞からジャパンカップと牡馬への挑戦で結果を出した高野調教師もすごかったと思いました。いつお話をお聞きしても「パンドラは強い馬、ほかの馬とは持ってる力が違う」としか言いませんでした。見事に証明してくれました。有馬記念も楽しみが広がってきました。あらためて「おめでとうございます」

 大舞台に強い池添騎手の冷静な騎乗ぶりと最高のGOサインのタイミングの良さが一瞬にかけぬけ手に汗握る瞬間でした。強かったー。結果を見れば2着のラストインパクトのムーア騎手が巧みに内を突く手綱さばきは、さすがだなーと見ごたえありました。一瞬勝ったかな? と思ってしまいました。松田博資先生が来年2月で引退されるので勝ってほしかったですね。

 武豊騎手は2歳馬重賞を3週連続で制覇し新たな記録を打ち立てました。2歳馬の活躍で来年の競馬が益々面白くなってきます。皆さんはどの2歳馬に期待されますか? ワクワクしてきましたね。

 12月13日にシャティン競馬場で行われるロンジン香港国際競走には日本馬もたくさん出走を予定しています。今回も世界にチャレンジする藤原厩舎。香港スプリントに出走を予定しているストレイトガールの田中助手に取材してきました。

常石 ヴィクトリアマイルGI・スプリンターズSGI連勝、おめでとうございます。自在性が際立っているレースでしたね。

田中: ありがとうございます。わずかな隙間をついて競り勝ってくれましたね。

常石 悔しいレースが続いたこともありましたね。

田中: そうなんですよ。2着1回3着2回のスプリントのGIだったので悲願のスプリントGI制覇です。疲れのダメージもさほど出ていなくて飼い葉もよく食べています。

競馬の職人

トレセンでのストレイトガール



常石 次走は、香港スプリントですか? いつ出発ですか?

田中: そうですね。12月3日に出発します。スプリンターズSのあともずっと自厩舎で過ごし順調に来ています。岡田騎手に乗ってもらい追い切りをしています。福山競馬出身の騎手で最後まで諦めずに追ってくれるところがこの馬に合っているのでいい部分を出してくれています。6歳なんだけど長年使ってじっくり仕上げながら作り上げてきた馬なのでスプリントのGI取れたのはうれしいですね。香港で最後になるので有終の美を飾ってくれたらガールに大きな勲章が贈られますよね。頑張ってもらいたいですね。

常石 香港が最後のレースになるんですね。6歳牝馬で一瞬の脚を使っての勝利は、見事なことだと思います。GIはなかなか勝てないですよ。厩舎スタッフの強腕ですね。2歳から4歳の暑い時期はほとんど北海道でのレースが多かったですよね。暑い時期に北海道で過ごし大事にされたお嬢さんなんですね。

田中: スプリンターズSでは1番人気と聞いてびっくりしました。1番人気でGIを勝ってしまったからすごい馬なんだよね。自在性があるから競り合ってもひるまない強さを持っている馬ですね。厩舎開業の時の目標が1番人気でGI制覇をすることって先生から聞いていたので一つ目標達成できてうれしいです。次は、香港スプリントですね。昨年は3着だったから今年は1着狙いです。順調に来ているし頑張りたいです。

競馬の職人

馬房でのストレイトガール



常石 僕も経験あります。1番人気でGIII・小倉3歳Sを勝った時(1997年・タケイチケントウ)です。パドックで掲示板を見ると1番人気になっていてかなりのプレッシャーを感じましたね。その分制覇したときの気分は最高でした。GIはもっとすごいでしょうね。香港も楽しみですね。私事ですが僕のいとこが香港のハッピーバレー競馬場の近くに住んでいるので僕も応援に行きたいですね。

田中: 3頭も出すから応援に来てくださいよ。

常石 馬運車に一緒に乗せてもらおうかな? 自厩舎の馬が一緒だったらガールも心強いですね。そしてぼくも・・・?(苦笑)

田中: どうぞー、飛行機も馬と一緒やで(爆笑)。香港Cにステファノス・香港マイルにフィエロ、そしてスプリントにストレイトガールがそれぞれ出走します。香港は近いので輸送も楽ですが自厩舎の馬が一緒だと落ち着きますね。ガールは2回目なのでその経験も大きいと思います。

常石 海外への輸送を経験しているのはいいですね。馬って覚えているんでしょう。

田中: 覚えていますね。特にガールは賢い馬だから覚えていると思いますね。人間も経験あるのはたすかります。勝手がわからずおどおどしていると馬に伝わりますからね。

常石 ガールの魅力ってどんなところですか?

田中: 3歳時札幌でのレース(摩周湖特別)に負けてすぐに休養させているんですね。オーナーの理解もあって、復帰まで9か月と長かったですが精神面がしっかり成長してくれました。一度叩かれた休み明け2走めで勝利を挙げ、そのあとも連勝してくれたんですね。追い切った後もオープン牡馬と同じくらい飼い葉をたべてくれるので体はシッカリしています。どんな競馬でもできるセンスの高い馬で乗り易く素直。直線は抜群の切れる脚がつかえる。スプリントはあってると思います。脚もきれいに揃っていてこんなにきれいな馬も珍しいくらいです。だからまっすぐに立つことができ軸がずれないんですね。

競馬の職人

脚のケアをしてもらっているストレイトガール



常石 数を使わず大事に走らせて目標のレースをきちんと定めて出走させることってなかなかできないと思いますが藤原厩舎はそれを実行されていることがすごいなーと思います。馬に跨る技術もしっかり持たれているので軸がずれないんでしょうね。香港へ行くことに不安なところはありますか?

田中: 馬も人もいれこまないことですかね。香港スプリントも強い馬が揃うので勝つのは難しいことだと思いますが粘り強く差し切る脚があるので期待しています。応援してください。

競馬の職人

田中助手「香港スプリントも強い馬が揃うので勝つのは難しいことだと思いますが期待しています。応援してください」



常石 ありがとうございました。楽しみにしています。クリスマスのイルミネーションも華やかなのできれいな香港を楽しんできてください。食べ物もおいしいのでガールもご機嫌で頑張ってくれると思います。

***

 藤原厩舎から3頭出走するほかにエイシンヒカリ・サトノアラジン・ヌーヴォレコルトなど有力馬が参戦します。今年で引退予定のストレートガールが世界の女王になる日も近いのではないでしょうか。

 スプリンターズSとヴィクトリアマイルを制覇し短距離界の名馬の仲間入りをし最後の戦いに挑みます。

 大事に丁寧にじっくり馬を作っていく藤原スタッフの強腕にほんの少し触れた気がしました。最後に藤原先生の一言「馬と育てたスタッフがめだったらいい。僕は馬をつくってるだけ」がとっても印象的で男の仕事やなと感じました。

 つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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