スマートフォン版へ

阪神JFの傾向から有力馬の強味と弱味を考える

  • 2015年12月11日(金) 18時00分


◆後方3頭の組み合わせも考えられる

 阪神JFは差し決着の割合が相当に高いレース。前後半がイーブンなら先行勢にも多少残る余地が出てくるが、少しでも前傾ラップなら、差し馬圧倒的有利。展開次第では道中後方の馬3頭の組み合わせまで考えられる。

 人気になりそうなメジャーエンブレムは、これまで前で競馬をしてきたことだけが引っかかる。ここで差しに転じて成功する可能性もあるが、枠を考えると簡単には引けないはず。そうなると、あとは地力でどこまでカバーできるかの戦いになる。

 そのメジャーエンブレムを前走で負かしたデンコウアンジュは、当時が人気薄での勝利だっただけに、どこまで本物なのかが見極めにくい。ただ、差しタイプ、外枠、スタミナに余裕があってこれまで1600〜1800mを使われてきたというのは、このレースの傾向にはぴったりだ。

 当時3着だったクロコスミアはその後赤松賞を勝って賞金を確保。ただローテがきつくなったことはマイナスだし、この馬のようなレース消化数が多いタイプは最近の阪神JFでは来ていない。差しに構えて、展開が向いてどこまでというところか。

 アットザシーサイドはここまで2戦2勝で両方とも差しというのはプラス要素。一方で1400mしか経験していないことと、ここで乗り替わりというのはマイナス要素。あとはそれぞれを勘案し、オッズに照らして我々がどう判断していくかだろう。

 500万条件組ならば、一度負けているとはいえ1600mを使われてきたアドマイヤリードのほうが馬券の選択肢としては良いように思う。ただ中1週のローテがきついのも事実。本命というよりはヒモ候補にしておき、当日の気配まで見極めたい。

 ブランボヌールは重賞実績からしても格上的存在ではあるが、距離とコースが問題。1400m以下から来た馬と1600m以上から来た馬の成績差も歴然だし、この馬自身はスピード色の強い血統。このレースで好走して来た馬のうち、1600mが距離の上限というタイプは少ないだけに、強くは推しづらい。

 キャンディバローズのほうが距離への対応力はあると思うが、ここ2走が好位からの競馬であることがポイント。同じ位置から残すことは、このレースでは厳しい。アッゼニ騎手はまだコースを熟知しているとは思えないので、厩舎からどのような指示が出ているのか興味深いところだ。

 クードラパンは前走こそ先行だったが差しの競馬ができることは証明済み。田辺騎手が阪神でも曲者ぶりを発揮してくれれば面白い存在だ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング