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ゴールドシップラストラン ずっと前から決めていた?/トレセン発秘話

  • 2015年12月23日(水) 18時00分


◆一連の流れについて内田博は「俺の騎乗が間違っていなかったことが証明されたのが何よりうれしい」

 長く取材記者を続けていると、対象者からシビれるセリフを聞くことがある。

 2007年オークス。1番人気でハナ差2着に敗れたベッラレイアの秋山は、レース後に聞こえてきた「早仕掛けの分、負けたのでは」「明らかに勝ち急いでしまった」などといった騎乗批判にこう反論した。

「何度あのオークスがあったとしても、たぶん同じ競馬をすると思う」

 そこにあるのは騎手としてのプライドとブレない姿勢。ハッキリと自身を主張するジョッキーは頼りになるし、つい応援したくもなる。

 有馬記念で引退するゴールドシップの最後の手綱を託された内田博は、13年ジャパンC(15着)で降板、そしてこのラストランで再指名となった一連の流れについて「俺の騎乗が間違っていなかったことが証明されたのが何よりうれしい」と口にした。

「俺がしてきた競馬がなければ、その後のゴールドシップ(の活躍)もなかったわけだからね。最後にまた依頼されたのも、そういうことでしょう」と堂々と言い放ち、そして「自分が一番この馬のことを分かっていると思うし、うまく乗れる自信もある」と結んだ。

 この一連の言葉の根底にあるのは秋山と同じく騎手としてのプライドだろう。いつ走るのかサッパリ分からないキャラが定着したゴールドシップだが、今回は走るんじゃないかって気持ちにもなってくる。

 実は今年の天皇賞・春でこんなシーンがあった。ゴールドシップは横山典騎乗で見事に先頭ゴール、GI6勝目を飾った。検量室前で関係者と談笑する須貝調教師。その時、サウンズオブアースで9着に敗れた内田博が荷物を抱えて出てきた。赤と白の上下ウエアを着た内田博は、恐らく須貝調教師にわざと聞こえるように「俺もゴールドシップと同じ色なんだけどなぁ(勝負服が赤白)」とおどけてみせたのだ。それに気付いた須貝調教師は内田博の肩をポンと叩いて「またいつか、ウッチーに乗ってもらうこともあると思うから」。

 あの時、すでに須貝調教師の頭には引退レースの有馬記念=内田博とのコンビで、というビジョンが明確に描かれていたに違いない。

 秋山、安藤勝、ムーア、岩田、ウィリアムズ、横山典…これまで多くのトップジョッキーがまたがってきたが、やはりゴールドシップにはこの男が一番よく似合うと感じているのは坂路野郎だけではあるまい。

 内田博とのコンビなら最後の魂を燃やして、ゴールドシップらしい豪快な走りを見せてくれると信じている。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)
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