武豊も絶賛する好素材メイケイレジェンド/吉田竜作マル秘週報
木原調教師「レース後にユタカがどんな感想を言ってくれるかが今から楽しみなんだ」
いよいよ有馬記念ウイークに突入。2015年のフィナーレがカウントダウンに入った。有力2歳馬を抱える陣営にとっては、来春のクラシック本番に向けて「やり残したことがないか」を確認する段階。“プレ・皐月賞”という意味合いを強くしたGIIホープフルS(27日=中山芝内2000メートル)は、まさにうってつけのレースとなる。
関西馬の中で主役級の評価をされるのは、すでに当コラムに何度となく登場している音無キュウ舎のブラックスピネルと松田国キュウ舎のバティスティーニの2頭だ。
ブラックスピネルは先週の坂路で有馬記念に出走するリアファルをアオる豪快な動きを披露。この快走には音無調教師の鼻息も荒くなる一方で、「2走前(野路菊S2着)は勝ち馬(ロスカボス)と内外で離れてしまったからね。馬体が合っていれば、また違った結果が出ていたと思う。前走の萩Sでは強い馬(スマートオーディン=次走のGIII東京スポーツ杯2歳Sを快勝)を負かし、あれでこの馬の株も上がったんじゃないか。そこいらの1勝馬には負けられない」とキッパリだ。
対するバティスティーニの松田国調教師は、そのブラックスピネルに(スマートオーディンで)苦杯をなめた。今回はいわば“代理戦争”となるだけに気合十分だ。
「この馬はスマートオーディンとは違う資質を持っている。まだ全体的にコロンとしているが、それでもこれだけ走れるんですから。身体能力はすごいものがあるし、実際にレースに行ってもまだ余裕がある。前走(500万下・黄菊賞1着)では次元の違うレースをしてくれましたから。来年を占う意味でも、ここは大事な一戦になると思います」
ブラックスピネルVSバティスティーニはまさに目が離せない対決だが、重要なレースはこのホープフルSだけではない。音無調教師が「(ブラックスピネルだけでなく)ノガロもホープフルSに登録したんだけど(年明けの寒竹賞も視野)、当初は阪神の自己条件に出走する予定だったんだ。ただ、オーナーサイドから“そこもメンバーは強いみたいだし、それなら”ということで」と経緯を説明したホープフルS前日の阪神500万下(芝内2000メートル)。この番組も来年を占う意味でぜひ注目してほしいレースなのだ。
ここには記者がデビュー前から注目してきた木原キュウ舎のメイケイレジェンドが出走を予定している。9月13日の新馬戦(阪神芝内2000メートル)を制した後は放牧に出ていたが、木原調教師が早くから復帰戦に考えていたのが実はこのレース。3か月も前から逆算して狙いすましてきた。
「背が伸びたし体重増で出られるんじゃないかな。牧場でも“早く連れて帰って”と言われるくらい元気いっぱいだったし、帰キュウしてからも順調にきている」と木原調教師は成長ぶりに目を細めているが、3か月前には「ただの平場のレース」だったはずが、前述通り、実質「重賞級の一戦」にグレードアップしてしまった。鞍上をめぐる情勢も大きく変わってしまい、「誰かいないか探していた」ところに、巡り合ったのがなんと天才・武豊だった。
「1週前追い切りにもまたがってくれて“走りますね”と言ってくれた。これまでも乗った人はみんな褒めてくれた馬だし、レース後にユタカがどんな感想を言ってくれるかが今から楽しみなんだ」(木原調教師)
この一戦をモノにできれば、武豊とのタッグ継続も現実味を帯びてくる。果たして、“1着賞金720万円の重賞級の一戦”を制するのは!? 有馬記念、ホープフルSともども注目していただきたい。