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東西の横綱クラシックへ キャリアの積ませ方が明暗を分ける?/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年01月06日(水) 18時00分


POG的な視点としていろいろな意味で衝撃的だった朝日杯FS、ホープフルS

 昨年の厩舎成績は堀厩舎が最多勝利、最高勝率の2冠。締めとなる有馬記念を勝ったゴールドアクターの存在も相まって、競馬のかじがグッと東に切られた2015年だったと思う。

 POG的な視点で言わせてもらえば、ラスト2週に行われた朝日杯FS、ホープフルSがいろいろな意味で衝撃的だった。朝日杯を制したのはキャリア1戦のリオンディーズ(牡=父キングカメハメハ、母シーザリオ・角居)。日米オークス馬の母や半兄エピファネイアの活躍を見ても、血統的な背景は文句なし。新馬戦の圧倒的なパフォーマンスから「いずれはGI、それもクラシックを勝つのでは」という予感はしていた。

 しかし、同レースにはそれまで2戦2勝、いずれも水も漏らさぬ内容で勝ち上がってきたエアスピネル(牡=父キングカメハメハ、母エアメサイア・笹田)がいた。完成度とキャリアの面でこちらに分があるのでは…と見ていたが、そんな記者の“2段階”は上を行くパフォーマンスでリオンディーズは頂点に立ってしまった。

 坂を上ってグンとライバルを突き放す走りに、武豊が「相手が強かった」と脱帽したのも無理はない。ミルコ・デムーロのはしゃぎようを見ても、この2歳王者の将来は相当に明るいだろう。

 ただ、記者はひねくれ者なので、心の底から「前途洋々」とは思っていない。キャリア1戦でGIを制した馬といえばジョワドヴィーヴル(11年阪神JF)がいる。結果から言うと、この馬にとってはこれが最後のタイトルとなったが、陣営を見ていて何となく感じたのがキャリアの積ませ方の難しさだ。

 もちろん、松田博調教師だから「そんなもん、どうもなければチューリップ賞から」となるのは当然と言えば当然なのだが、この馬の場合はフィジカルに問題があった。420キロを切るかどうかという馬体重だけでなく「管囲(前脚のヒザと球節の中間の周囲。馬体を四肢で支えるので細いより太いほうが丈夫とされる)がいつまでたっても太くならない」とトレーナーはよく口にしていた。

 キャリアを積ませながら丈夫になれば…というのが同師にとって“理想”だったに違いないが、桜花賞6着後に骨折が判明。復帰したものの、ついには調教中のけが(左後肢の開放骨折)で命を落とすことになってしまった。競馬に「タラレバ」は禁物だが、もしジョワドヴィーヴルがすぐに2歳女王にならず、回り道ができていれば、と思う。今となっては検証もできないが…。

 フィジカルに恵まれたリオンディーズなら、ジョワドヴィーヴルのような不運には見舞われないかもしれない。しかし、エピファネイアもそうだったように、この馬も調教では時折難しい面を見せる。気性の成長を妨げることなく、いかに上手にレースを経験していくか…。クラシックだけでなく、この馬の将来にも関わることだけに今年はこの点に注目していきたい。もっとも「世界の角居」なら杞憂に終わる確率のほうが高いのだろうが…。

 そして、ホープフルSを勝ったハートレー(牡=父ディープインパクト、母ウィキッドリーパーフェクト・手塚)。このレースは◎バティスティーニ(牡=父キングカメハメハ、母バプティスタ・松田国)で「十中八九堅い」と思っていたし、鞍上のルメールも上手に乗ってくれたと思う(結果は3着)。しかし、道中の走りを見ていて「やられるならこれか」と思い始め、直線入り口では「えらい化け物が出てきたな」と認識を改めた。リオンディーズと比較すると、クラシックでは輸送のリスクも小さい。次走も「共同通信杯か弥生賞」と、柔軟性を持って選択できる点も、キャリアをうまく積み上げていけそうだ。

 東西の横綱がこの春、どのように階段を上っていくのか。当欄だけでなく、本紙は総力を挙げて追いかけていきますので今年も東スポ競馬をよろしくお願い致します。

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2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

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