今回は過去のレースに思いを馳せるなかで、北島三郎オーナーとの秘話も披露してくれました
相変わらずユーザーからの質問が殺到している『太論』ですが、今回はそのなかでも懐かしい馬たちについての質問&リクエストをピックアップ。過去のレースに思いを馳せるなかで、北島三郎オーナーとの秘話も披露してくれました。
(取材・文/不破由妃子)
全日本アラブを勝ったとき、スーツを作ってもらって…
──今回は、懐かしい馬について質問がきています。まずはレジネッタから。「レジネッタのオークスはトールポピーにぶつけられて勝ちを逃してしまいましたが、ゴールを過ぎてから池添さんを追いかけて何やら話をしていましたね。おそらく『汚い真似をするな!』と怒っていたのかと思いますが、はじめは殊勝に聞いていた池添さんが、終いには逆ギレしているように見えました。真相はどうだったのでしょうか? ずっと気になっています」とのことです。
小牧 そうやった? いや〜、そんな出来事はなかったと思うけど…。
──ゴールしたあと、池添さんと何かお話された覚えは?
小牧 ん〜、話してないと思うけど。ましてや追いかけてなんかいないし、そもそもそれほど怒ってないし。あ、ちょっとは怒ってたよ(笑)。あのレースでは、僕以上に助手さんたちが怒ってたわ。で、浅見先生がなだめとった。
──なるほど。ゴール後に流しているのが後ろを追いかけていったように見えただけかもしれませんね。
小牧 たぶんそうでしょう。そういえば、レジネッタの子供、厩舎に入ってきてたんやけど、骨折してしまったね。乗る予定やったんやけどなぁ。
──浅見厩舎のブリゲード(牡3・キングカメハメハ)ですね。
小牧 そうそう。やっぱりちょっと硬かったみたいで、ダートを使う言うてて。まぁ楽しみに復帰を待ちますわ。
──続いては、さらに懐かしいキタサンオーカンについてのリクエストです。「誰も関心がないかもしれませんが、キタサンオーカンの全日本のときの話が聞きたいです。ムーンリットガールの恐ろしい逃げで始まり、それが力尽きて、『後続馬が怒涛のように押し寄せてきた!』という実況とともに追い比べになりました。あんなに面白いレースはなかなかないと思います」とのことです。95年の楠賞全日本アラブ優駿ですね。
小牧 僕が1着で毅が2着で、兄弟決着になったレースやね。弟が乗っていたオーキッドグレイドっていう馬も曾和厩舎の馬で。
──兄弟決着にして曾和厩舎のワンツーだったんですね。
小牧 うん。当時、園田でも全日本アラブは3300万くらい賞金があったんやで。すごいやろ? ウイニングランしたなぁ。もううれしくてうれしくて。
──VTRでレースを観ましたが、中央のムーンリットガール(武豊騎手騎乗)の大逃げに場内が沸いていましたね。
小牧 そうそう。キタサンオーカンはなんせ乗りやすい馬やったから、僕は余裕やったけどね。1000m馬場の2300mいうたらグルグルグルグル回るから、ペースが絶対に遅くなるんですわ。だから、掛かる馬は絶対に無理で、乗りやすい馬が圧倒的に有利。その点、キタサンオーカンはむっちゃ乗りやすい馬やったから、迷わず選んだんですわ。北島三郎さんの馬でね。
──北島三郎さんも競馬場に来ていらっしゃったんですか?
小牧 確か梅田の芸術劇場で公演中やったから来られなくて。でも、いまだにお会いすると、「アラブのあの馬で勝ってくれたよね」って声を掛けてくださいます。
いまだに「アラブのあの馬で勝ってくれたよね」って声を掛けてくださいます
──中央に移籍されてからも、“キタサン”にはたくさん騎乗されていますものね。
小牧 うん。本当にお世話なってます。そういえば、全日本アラブを勝ったとき、スーツを作ってもらったんですわ。うれしかったね。梅田での公演も、曾和先生と何度も観に行かせていただいて。北島さんは曾和先生と親交が厚くて、今でも「直榮、直榮」ってよう言うてはるわ。僕にとってもキタサンオーカンは思い入れの強い1頭やね。
──続いては、「いつも楽しく拝見しています。小牧騎手はとてもお酒がお好きなようですが、一番美味しかったお酒を教えてください」という質問です。
小牧 完全に酒好きのイメージがついてるな。弱いのに…。
──弱いわけがない(笑)。
小牧 ビールはいつでも美味しいけどねぇ。焼酎では甕雫(かめしずく)。イモ焼酎なんやけど、ロックでバンバン飲める。むっちゃくちゃ美味いよ。ホントにすっごく美味い。正月も宮崎の実家でおふくろとペロッと飲んだわ。おふくろも大概酔っぱらって、泣きながらなんか叫んどったわ(笑)。