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アジアエクスプレスの半弟アジアハイウェイ

  • 2016年02月10日(水) 12時00分
アジアハイウェイ(牡 美浦・手塚貴久 父Montbrook、母ランニングボブキャッツ)
 朝日杯フューチュリティS(GI)とレパードS(GIII)を制したアジアエクスプレス(父ヘニーヒューズ)の半弟。兄と同じくアメリカで誕生し、日本に輸入された。父Montbrookは珍しいBuckpasser系で、現役時代にフランク・J.ドフランシス記念ダッシュS(米G3・ダ6f)を制したスプリンターだった。フロリダで繋養され、米最優秀牡馬スプリンターに選出されたBig Drama(10年BCスプリント-米G1)をはじめ多数の活躍馬を送り出した。02、03、08、09年にフロリダ地区のチャンピオンサイアーに輝いている。母の父Running Stagはヨーロッパでデビューしたあとアメリカに移籍し、香港やドバイにも遠征した国際派。ヨーロッパの芝でもアメリカのダートでも重賞を勝っている。「Orsini×アイアンリージ」という母方の血の影響か、Cozzene産駒でありながらピリッと切れる脚はなく、先行して粘るタイプの競走馬だった。本馬は兄アジアエクスプレスよりもスピード色が強く、ダ1000〜1400mがベスト。荒れた馬場なら芝もこなす。

アルマゲドン(牡 美浦・萩原清 父エンパイアメーカー、母セイウンクノイチ)
 半兄セイウンワンダー(父グラスワンダー)は、朝日杯フューチュリティS(GI)、新潟2歳S(GIII)、エプソムS(GIII)などの覇者。ただ、すでにデビューした他の6頭の兄弟のなかで勝ち星を挙げた馬はいない。本馬は母方にサンデーサイレンスとテスコボーイというスピード血統を抱え、なおかつ父エンパイアメーカーのIn Reality 4×3を継続して5・4×5としている。In Realityの継続はUnbridled系の必勝パターンなので期待できる。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

アンチャン(牝 栗東・小崎憲 父ゼンノロブロイ、母アンナモンダ)
 母アンナモンダはヴィトリオディカプア賞(伊G1・芝1600m)、独1000ギニー(独G2・芝1600m)、オイロパマイレ(独G2・芝1600m)などを制した名牝。母の父Monsunは独リーディングサイアーに3回輝いた名種牡馬で、産駒はドイツ国内にとどまらずフランス、イタリア、アメリカなどでG1を制覇した。Northern DancerやMr.Prospectorはもちろん、Nasrullahすら持たない究極の非主流血統なので現代における存在価値は大きい。アンナモンダは繁殖牝馬としても優秀。リリエンタール(父モンジュー/10年青葉賞-G2・5着)、アンナミルト(父マンハッタンカフェ/準OP)など、日本で走った4頭はすべて勝ち上がっている。本馬の父ゼンノロブロイはアメリカ血統で構成されているので、Monsunのような非主流のヨーロッパ血統とは合いそうだ。芝向きの中距離タイプ。

カフェブリッツ(牡 栗東・池江泰寿 父マンハッタンカフェ、母カフェララルー)
 母カフェララルーは現役時代に未勝利に終わったものの、繁殖牝馬として優秀で、カフェマーシャル(準OP)、カフェシュプリーム(OP)、カフェリュウジン(準OP)と良駒を連発している。これらの父はすべてマンハッタンカフェ。つまり本馬の全兄にあたる。繁殖牝馬となってから本馬を含めて7頭連続でマンハッタンカフェの子を産んでいる。サラブレッドの世界でこのような“一夫一婦制”は珍しい。母方にBlushing Groomを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、ヒルノダムール、ルージュバック、ヤマニンウイスカー、メイショウクオリア、メイショウレガーロ、ベストメンバー、サンディエゴシチー、ココナッツパンチ、オリエンタルロックなどの活躍馬が出ている。馬体や気性に問題がなければ走ってくるだろう。

ダノンボンコ(牝 美浦・高柳瑞樹 父ダノンシャンティ、母ダノンボンジュール)
 父ダノンシャンティは初年度産駒からスマートオーディン(15年東京スポーツ杯2歳S-GIII)を出した。NHKマイルC(GI)を当時のJRAレコード(1分31秒4)で制したスピードと瞬発力は、Halo 3×3という配合に負うところが大きいと思われる。スマートオーディンは、Haloと配合構成がよく似たSir Ivorを母方に持つため、Halo≒Sir Ivor 4・4×4としている。本馬の母ダノンボンジュールはGlorious Song 5×3の牝馬クロスに加え、その父Haloを6・5×4なので、本馬はGlorious Song 3×6・4、Halo 4・4×7・6・5という構成。イチかバチかの大胆な配合だが、成功した産駒とよく似た方向性なのでおもしろい。芝・ダート兼用のマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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