ゴールドアクターが負けるとすればトゥインクル/トレセン発秘話
◆1番人気が予想される本命馬の鞍上が、一番強敵視しているのは…
「天皇賞(春)は20年間レース時に雨が降っていないらしいよ」とは牧田厩舎のあるスタッフ。
えっ、マジっすか? 確かに高速決着になることが多く、道悪競馬の印象はあまりないが…。調べてみたら、これは間違い。過去20年でレース時に雨が降った年は2回あった。それでも20回のうち稍重馬場が1回のみで、あとは全て良馬場で行われているのだから、基本的にいい馬場で開催されるイメージが定着してしまっているのだろう。
なぜ、牧田厩舎が春天の天気を気にしているかといえば、もちろん出走するトゥインクルが名うての道悪巧者だからに他ならない。全馬が泥だらけになるほどの極悪馬場(なぜか発表上は稍重)で行われたダイヤモンドSを圧勝。今回も上位争いできるかどうかの一番のカギは馬場状態が握っている。
「ウチの厩舎に来てからは休みなくずっと使い続けてきたからね。前走後の休養が初めての休みらしい休み。それが良かったみたいで、体全体がリラックスして、疲れがすっかり取れた感じです。自分で体をつくる馬だから、間が空いたからって割り引く必要はない。あとは馬場が渋ってくれれば。当日の天気次第では色気も出てくるよね」と担当の古閑助手。
で、聞き捨てならないのは次に出てきた言葉だった。
「なんかゴールドアクターの吉田隼人が“負けるとすればトゥインクル”って言ってるらしい。アイツもこの馬には乗ったことがあるからね。そんなことを言ってくれるのは素直にうれしいよ」
1番人気が予想される本命馬の鞍上が、一番強敵視しているのは、実はこのトゥインクル? 道悪になったらという意味なのか、能力的にということなのか、伝聞の伝聞なのでその真意は定かではないが…。
「とにかくスタミナは相当にあるから、前走みたいに早めに動く競馬が理想。同じステイゴールド産駒のゴールドシップみたいなレースをしてほしいね」
ここ7年、1番人気が馬券外に飛び続け、もはや「荒れるGI」というよりは“荒れて当たり前のGI”と化している春天。レース当日、めったに降らない雨が降るようなら…トゥインクルに“天運招来”となりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)