▲2009年オークス馬ブエナビスタ、桜花賞オークス共に単勝1倍台に応えての勝利(撮影:下野雄規)
今年デビューを迎える“名牝の初仔”たちの特集。前回は、ディープインパクト×アパパネ「12冠馬配合」のモクレレをご紹介しました。後編の今回は、ブエナビスタ(2009年)、サンテミリオン(2010年アパパネ同着)、 エリンコート(2011年)の、3世代オークス馬の初仔たちをピックアップ。2歳馬取材のスペシャリスト須田鷹雄さんの目に、未来のスターホースたちはどう映ったのでしょうか。(取材・文:須田鷹雄)
(前回のつづき)
日に日にブエナビスタに似てきている
いま思い返しても、ブエナビスタという馬は不思議な馬だった。
決してグッドルッキングホースではなかった。むしろ、馬を見ただけでは、その強さを想像することはできなかったはずだ。特にGIやGIIのパドックで男馬にまじって歩いていると、強さや人気と見た目のギャップは明らかなものになっていた。
見た目だけでは分からない。この傾向はビワハイジの血統全体にあてはまるところがある。アドマイヤジャパンやトーセンレーヴはともかく、アドマイヤオーラは牡馬としてはやや淡白な雰囲気さえある馬だった。
ジョワドヴィーヴルやサングレアルは馬体重からも明らかなように小さかったし、2歳4月のこの時期は特に線が細く映った。逆に牝馬で唯一パンチの効いたタイプだったアーデルハイトは1戦しか消化できず、真価を計ること自体ができなかった。
だから正直なところ、「ブエナビスタの仔はどういう形であるべきなのか」というのは分からない。それを分かるという人がいたら、なにかを偽っていると思う。
▲ブエナビスタの初仔コロナシオン、常識で測れない血統、はたしてどんな将来が待っているのか(提供:赤本編集部)
このように書くと、ブエナビスタの初仔、コロナシオン(牝、父キングカメハメハ、栗東・池添学厩舎)に心配な点があってフォローしようとしているのか? と思われるかもしれない。そんなことはない。
むしろ牝馬で460キロ台というのは十分なサイズだし、幅もある。バランスの良さが目立つタイプではないが、牧場では「日に日に母に似てきている」との評価だし、柔らかさは母よりあるという。