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【オークス】樫男・福永が語った 2つのV条件/トレセン発秘話

  • 2016年05月18日(水) 18時00分


◆“オークス男”福永が、真っ先に挙げたポイントは「乗りやすさ」

 第77回オークス(22日=東京芝2400メートル)は「桜花賞2着馬シンハライトで堅いのか」。阪神JF&NHKマイルC馬メジャーエンブレム、桜花賞馬ジュエラー不在で迎える3歳牝馬2冠目の焦点はこれに尽きる。シンプルな検証テーマほど、実は多角的な考察が必要。ならばフットワークの軽さと、はにかんだ笑顔で、関係者の懐に飛び込む「トレセン発(秘)話」の高岡功記者の出番だ。“オークス男”から、シンハライト陣営まで、丹念に聞き込みを重ねた敏腕記者のジャッジメントは果たして!?

 最近は機会も減ったが、かつては栗東取材班の「オークス担当」として、毎年のようにレース当日は東京競馬場に出向いたものだ。そこで圧倒的な存在感を発揮したのが福永祐一だった。

 2005年のシーザリオのように、馬の圧倒的な力に助けられた年もあるにはあるが、距離不安がささやかれながらも、絶妙なペースで先行させて勝利に導いた04年のダイワエルシエーロ、ハナ差で1番人気ベッラレイアを捕らえた07年のローブデコルテなど、樫の女王を決めるレースで、その手綱が冴え渡るシーンを何度も目撃してきた。

 オークス3勝は武豊と並び現役最多。連対率3割台の高打率はオークスのポイントを熟知している男と呼ぶにふさわしい。まさに「“樫”はフクナガに聞け!!」である。ならば坂路野郎の向かう先は決まったも同然だ。

 例年、ほぼ全馬が未経験の2400メートルを走る特殊性を強調した“オークス男”福永が、真っ先に挙げたポイントは「乗りやすさ」だった。

「速いペースになることはまずないからね。折り合いとか、動きやすさ…いかに操縦性が高いかが重要になる」

 その後に挙げたのが純粋な「能力の高さ」だ。

「同じ3歳牝馬同士。適距離からは多少長くても、力がある馬ならこなしてしまう。過去のオークスを見ても、そういう例は少なくないからね」

 ここまでヒントをもらえば、もう十分だろう。「乗りやすさ」&「能力の高さ」。ひとつでも満たしていれば、オークスの有力候補になり得るし、両方とも備えていようものなら、もう最有力候補である。

 さて、今年のオークスで1番人気必至なのはシンハライト。GIを勝ったわけでもないのに、ライバルの離脱により、支持票を一気に引き受ける形になった、この桜花賞2着馬は果たして条件を満たしているのか?

「能力の高さ」に関しては疑いようがなかろう。ハナ差で逃した桜のタイトルは「目標にされてしまった分の負け」と池添が振り返った通り、早めに先頭に立って気を抜いたところをジュエラーに差されてしまっただけ。しかも、その差は約2センチ。首の上げ下げのタイミングが少しでも変わっていれば、デビューから無傷のV4を決めていたはずの“幻の桜花賞馬”である。

 もうひとつの「乗りやすさ」。これもノープロブレムと結論付けられる材料はある。距離に関しては「走ったことがないので、絶対に大丈夫とは言い切れない」とはパートナーの池添だが、その一方で折り合いに関しては「馬の後ろで我慢することができているので、そこは大丈夫」と自信を持っているからだ。初戦、2戦目あたりは若干行きたがるそぶりも見られたが、スタートから意識的に出していきながら、馬の後ろで我慢できた桜花賞のレース内容は「操縦性の向上」を雄弁に物語っている。

 皮肉にも、最大のライバルになるであろう桜花賞3着馬アットザシーサイドとコンビを組む男の“オークス論”にのっとると、シンハライトは「最有力候補として何も問題なし」となるのだ。

 シンハライト党のために、もうひとつ安心材料を提供するとしよう。

「競走馬は2着に負けるのが一番疲れる」が天下の池江調教師の持論。勝ち切ってストレスのない、もしくは抜け出す余裕がある1着馬に、一番迫る2着馬が一番疲れる。これは納得がいく仮説なのだが、その2着に敗れた桜花賞後の様子をシンハライト担当の荻野斉助手はこう伝えてくれた。

「普通ならヘトヘトになってもおかしくないのに、すぐに息が入ったし、元気がいいどころか、暴れていたくらい。それだけ心肺機能が高い馬なんだろうね」

 要はポテンシャルが高いのはもちろん、乗りやすく、かつスタミナも持ち合わせているのがシンハライトなのだ。もちろん、「圧倒的人気=目標にされる不利」にもつながりかねないが、オークスを走れる条件を満たしまくりのこの馬ならそれも難なく乗り越えられる、が当欄の結論だ。

 相手はこれから最終追い切りなどをチェックして吟味していくつもりだが…。もちろん“平成のオークス男”福永が騎乗するアットザシーサイドが外せない一頭なのは言うまでもない。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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