◆ダービーウイークで他地区の騎手が勝った例はさすがに少ない
日本ダービーが行われた5月29日から、地方競馬では今年も佐賀から『ダービーウイーク』が始まった。
昨年まではほぼ1週間のうちに行われていたダービーウイークだが、今年は九州ダービー栄城賞から、6月16日の兵庫ダービーまで、19日間で6レースとだいぶ日程がバラけた。特に地方競馬IPATでの発売が行われるようになってからは、1週間のうちに実施しようとすれば、地方競馬IPATで発売されない日に当たってしまう主催者が出てしまう。また主催者ごとの他のレースとのローテーションの都合などもあったのだろう。
イベント的には1週間にぎゅっと凝縮したほうが盛り上がるような気もするが、個人的なことを言わせてもらうと、予想をするにも取材に行くにも、今回くらいの間隔があったほうが余裕をもってできるので、ありがたい。長期間楽しみが続くということもある。短期間に集中するか、主催者ごとの都合を優先して今回のようにある程度の期間をおいたほうがいいかは、賛否が分かれそうだ。
さて、余裕をもった日程になったからなのかどうか、今年はスゴイ記録が達成されようとしている。金沢の吉原寛人騎手が、ダービーウイークの全6レースに騎乗する予定となっているのだ。この原稿を書いている時点で岩手ダービー以降の4レースはまだ出馬投票が行われていないので騎乗が確定しているわけではないが、吉原騎手自身がFacebookでダービーウイークの騎乗予定馬を書いている。ちなみにダービーウイークには含まれていないものの、6月19日の高知優駿でも騎乗依頼を受けているそうだ。
2007年に始まったダービーウイークで、他地区の騎手が勝ったという例はさすがに少ない。2014年の東京ダービーをハッピースプリントで制した吉原寛人騎手、同年の東海ダービーをケージーキンカメで制した金沢の青柳正義騎手がいるだけ。吉原騎手は大井所属馬に騎乗依頼を受けての勝利で、青柳騎手は金沢から馬とともに遠征しての勝利だった。ちなみにその2014年には佐賀の九州ダービー栄城賞を、高知のオールラウンドが制したが、鞍上は地元佐賀の田中純騎手だった。
そして今年、他地区からの騎乗依頼で注目されているのは吉原騎手だけではない。5月31日に行われた北海優駿をスティールキングで制した桑村真明騎手が、大井の東京ダービーで牝馬のリンダリンダに騎乗予定となっている。
リンダリンダは、デビューしたホッカイドウ競馬ではもともと桑村騎手が主戦で、2つの重賞を制した。大井移籍後には大井の真島大輔騎手が主戦となって2戦したが、真島騎手はその後怪我のため戦線離脱。4月21日の東京プリンセス賞では北海道から呼ばれた桑村騎手が勝利に導いた。そして東京ダービーでも引き続き桑村騎手が騎乗することになったようだ。
これまでダービーウイークで同一年に複数の“ダービー”を制したという騎手はいない。桑村騎手には初めてのその記録がかかるが、もちろんあと4戦を残した吉原騎手にもそのチャンスはある。所属地区以外での騎乗がある程度自由になった今であればこそ、期待される記録だ。