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【東京ダービー密着】『的場さんのために仕上げる』〜名門の意地とアンサンブルライフの可能性

  • 2016年06月03日(金) 18時01分
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▲的場文男 35回目の東京ダービーは、昨年のパーティメーカーと同じ小久保厩舎・アンサンブルライフで臨む(写真:高橋正和)

的場文男騎手の東京ダービー挑戦に密着したコラムの第2回。前回のプロローグでは大井の帝王・的場騎手がなぜダービーだけ勝っていないのか、ダービーに懸ける熱い想いをお伝えしました。今回は来週8日に迫った東京ダービーに向けて、今年のメンバー展望、そして的場騎手が騎乗するアンサンブルライフの可能性を分析します。(取材、文:赤見千尋)

近年稀に見るハイレベル…リーディング騎手も初の戴冠狙う


 今年の南関東クラシック戦線において、ここまでは浦和所属のタービランスが主役と言っていいだろう。2歳のレベルが高い門別から鳴り物入りで南関東へ移籍し、トライアルの京浜盃、1冠目の羽田盃を連勝した。先頭に立つとソラを使ってしまうなど、まだまだ子供っぽい面はあるものの、レース運びも上手で展開の注文もつかないタイプ。現在は順調に追い切りをこなしており、羽田盃以上のデキで東京ダービーに挑む可能性が高い。

 騎乗するのは、全国リーディング快走中の森泰斗騎手。廃止になってしまった宇都宮から船橋へ移籍し、なかなかチャンスを掴めずにいたけれど、一昨年大ブレイクして南関東リーディングとなり、昨年は全国リーディングにまで上り詰めた。しかし現状は、勝利数の印象に対して重賞レースをそれほど勝っておらず、タービランスと共に羽田盃を制したのが初のクラシック制覇だった。森騎手にとっても、悲願のダービー制覇が懸かっているのである。

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▲中央競馬でいう皐月賞に当たる羽田盃を制したタービランスで、自身初のダービー制覇を狙う森泰斗騎手(写真:高橋正和)

 タービランスを脅かす存在なのが、羽田盃でクビ差2着に迫った大井所属のトロヴァオ。このレースが4か月ぶりの実戦だったことを考えると、叩き2戦目の東京ダービーでは大きな上積みが期待できる。凄まじい破壊力のある末脚の持ち主で、羽田盃から200m距離が延びることもプラスに働きそうだ。

 この羽田盃上位組を中心に、牝馬ながら東京湾カップを制したディーズプリモ、羽田盃トライアルのクラウンカップを制したガーニーフラップ、桜花賞馬モダンウーマンなどが参戦予定。中央競馬の日本ダービーと同じく、近年稀に見るハイレベルな戦いとなりそうだ。

 その豪華メンバーの中で、的場騎手が選んだのがアンサンブルライフである。他の有力馬への騎乗機会もあった中で、的場騎手自身が指名したのだ。

「初めて騎乗したレースが忘れられない」


 アンサンブルライフは浦和でデビューし、早くから結果を出してきた。的場騎手は3戦目の『若武者賞』で初めて騎乗し、2着に大差をつけて勝利を収めている。その後左海誠二騎手とのコンビで『平和賞』を制覇。『全日本2歳優駿』でJRA勢相手に3着に粘り、NARグランプリで2歳最優秀牡馬に選ばれた。しかし、3歳になると掛かる面がより強く出るようになり、京浜盃、羽田盃と惨敗が続いている。なぜ的場騎手は、アンサンブルライフを選んだのだろうか。

 的場騎手に伺ってみると「あのレースでの感触が忘れられない」と、初めて騎乗した『若武者賞』を振り返った。この時は出遅れながらも押してハナに立ち、3、4コーナーでエンジンが掛かると直線グングン伸びて勝利した。近走の内容と比較してみると、前半の掛かり方、力み方が緩いように感じる。レースを重ねるごとに掛かる面が強くなり、その分最後に踏ん張れなくなっているようだ。

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▲初騎乗で大差勝ちを収めた若武者賞。最後は後ろを振り返る余裕も(写真:高橋正和)

 管理する小久保智調教師は、「まだ幼くて気性面が難しく、試行錯誤しているんです」と話してくれた。アンサンブルライフはスタートからのダッシュが弱く、そこで押して行くと今度は掛かってしまうのである。スタートダッシュを考慮してチークピーシーズを装着していたけれど、道中あまりにも掛かるということで、東京ダービーでは外すことになった。

 小久保調教師は、昨年ラッキープリンスで東京ダービーを勝っている。そして2着も管理馬であるパーティメーカーであり、鞍上は的場騎手だった。

「去年ダービー勝てたことはすごく嬉しいですけど、『また勝ちたい』『的場さんと勝ちたい』という気持ちが強くなりました。パーティメーカーも人気があったわけじゃないのに、的場さんが選んでくれて、2着に持って来てくれたんです。今年ももちろん勝つつもりで行きますよ。的場さんの騎乗に恥じないよう、精いっぱい仕上げます」

 アンサンブルライフは京浜盃、羽田盃で失速し惨敗したことで、『早熟な馬』『距離が持たない』という印象が強くなっているのではないだろうか。しかし的場騎手は羽田盃直後、こう語っている。

「今日はがっかりしたけれど、初めて乗った時から東京ダービーを意識した馬だから、他の馬を全部断ってこの馬に懸ける。次は(羽田盃で逃げた)ラクテがいないし、フワッと逃げられれば折り合いがつくと思う。俺はまだ諦めていない」

 悲願のダービー制覇へ向けて――35回目の挑戦は、どんなドラマが待っているのだろうか。



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