第44回北海優駿を制したスティールキング
着差以上に強い勝ち方であったスティールキング
全国の地方競馬の「ダービー」が、去る5月29日(日)の「九州ダービー・栄城賞」(佐賀)から始まっている。その第二弾である「第44回・北海優駿」が、九州ダービーの翌々日31日(火)に、門別競馬場で行われた。
この日、日高地方はあいにくの雨になり、とりわけ夕刻からは、雷鳴の轟くような悪天候に見舞われた。しかし、最もひどかったのは午後5時〜6時にかけての2歳認定レースの頃であり、その後は徐々に雨が弱くなって、幸いにも午後8時過ぎ、第11レースの頃には西の方から雨が上がってきた。北海優駿はその後の最終12レースに行なわれ、12頭が顔を揃えた。
開幕日(4月20日)の三冠第一弾「北斗盃」を難なく制したスティールキングが、ここでも断然の一番人気で、単勝1.4倍に支持された。前走から2キロ増で万全の態勢に仕上がっており、まず負ける要素が見当たらないほど。続いてジャストフォファンが3.0倍の2番人気。以下はいずれも二桁オッズとなり、この2頭の一騎打ちになりそうな気配が濃厚であった。
悪天候のせいか、北海優駿とはいいながら、場内は人があまり多くない。雨に降られていた第10レースまではパドックの人影もまばらで、メインの北海優駿の出走各馬が登場しても、人垣になるまでは至らない。
12頭が周回し、騎手を乗せて馬道に消えて行く。今回、北海優駿には高知の別府真衣騎手、金沢の吉原寛人騎手も参戦し、それぞれカティサンダ、ピットブルに騎乗していた。
降雨のせいで馬場は重の発表であった。北海優駿は距離2000m。4コーナーからのスタートになる。1着賞金500万円。ただ、2着100万円、3着75万円、4着50万円、5着25万円の「150方式」。ついでながら記すと、その2日前に行なわれた九州ダービー・栄城賞は、1着500万円は同額ながらも、2着115万円、3着45万円、4着25万円、5着15万円と、2着以下の交付金額がかなり違う。こちらは「140方式」である。1着賞金以外の部分に、それぞれの主催者の台所事情が透けて見える。
さて、レースはジャストフォファンが引っ張り、それにフジノパンサーが続く展開。スティールキングは5番〜6番手あたりを追走し、3〜4コーナーで先行馬に並びかけると、直線では楽な手ごたえであっさりジャストフォファンを交わし抜け出した。ここでは実力が違いすぎる印象で、まったく危なげないレース運びとなり、難なく二冠目を手中に収めることができた。着差(2馬身2分の1)以上に強い勝ち方であった。勝ちタイムは2分6秒0。同レース史上、最速タイムとなった。
スティールキングは父シルヴァーチャーム、母グルカッシュ、母の父Machiavellianという血統の牡3歳芦毛で、角川秀樹厩舎所属、桑村真明騎手が騎乗。馬主は菅野守雄氏、生産は登別・ユートピア牧場。これで戦績は10戦3勝2着4回、収得賞金は1550万円となった。
北海優駿の口取り風景
2着は、逃げ粘るジャストフォファンを直線でとらえたキングニミッツが入り、3着はジャストフォファン。二冠を制覇したスティールキングは、次の「王冠賞」(7月28日)に挑戦することになるが、道営5頭目の三冠馬になれるかどうか大きな関心が集まる。
この日の門別は、あいにくの天候だったものの、南関が浦和開催になったことから、ナイターは門別のみの開催で、馬券はずいぶん売れた。入場人員こそ、636人と昨年の実績(689人)をやや下回ったが、売り上げは4億2984万円に達し、昨年の2億2582万円の倍近くまで数字を伸ばした。もっとも、昨年は大井開催と重複していたこともあり、単純な比較はあまり意味をなさないとは言えるが。
ともあれ、ホッカイドウ競馬は、ようやくここにきて12レース編成となり、出走頭数が揃い出したようだ。この日は12レースで124頭が、その翌日(6月1日)にも12レースで107頭が出走し、開幕当初のような6頭立て以下のレースは激減してきている。
重賞の組まれていなかったこの翌日も、入場人員は466人にとどまったが、馬券は3億8389万円を売り上げ、ネット発売のおかげで好調に推移している。
いよいよ今週9日には交流重賞の「北海道スプリントカップ」が行なわれる予定で、JRAからは4頭のいずれも重賞馬ばかりが参戦することになっている。戸崎、大野、デムーロの各騎手も来場し騎乗するとのこと。騎手はともかくも、馬の方は15年間JRA遠征馬に歯が立たない状況が続いており、そろそろ一矢報いたいところではある。